相互に関係ないはずの物語の構造に相似を見つけると、言及&保存しなければ気がすまない。弊ブログでは過去に…
京都府宮津市「つかずの鐘」の物語が韓国慶州「エミレの鐘」のそれにそっくりな件 - 🍉しいたげられたしいたけ
プラトンの『饗宴』と仏典『法華経』の構造が似てるんじゃないかと思っている - 🍉しいたげられたしいたけ
なんてことをやった。他にもあったはず。
追記:『ちびくろサンボ』と三島由紀夫の短編『卵』というのも、やった。
三島由紀夫はなぜ『卵』を好んだか? - 🍉しいたげられたしいたけ
追記おわり
先に言っておきますが、この手の拙エントリーの常で、結論やオチはありません。
以下、ディズニー&ピクサー映画『』と手塚治虫作マンガ『』のネタバレが含まれます。
先週(9/27)の『金曜ロードショー』で『バズ・ライトイヤー』が地上波放送された。人気シリーズ『トイ・ストーリー』のスピンオフ作品である。
主人公バズ・ライトイヤーとバズの上官にして親友であるアリーシャ・ホーソーンらを乗せた宇宙探査船は、居住可能であるが奇妙で敵対的なムチ状の生物が跋扈する惑星に不時着した。
乗組員らは惑星にコロニーを建設すると同時に、バズは地球に帰還するための燃料を開発するため、惑星が公転する恒星をUターンする軌道でテスト飛行を繰り返す。
だがそのテスト飛行は光速に近い超高速であるため、相対性理論のウラシマ効果により1度の飛行でバズはほとんど年を取らないがバズ以外の世界は4年以上の月日が経過する。
にもかかわらずバズは、不屈の精神でテスト飛行を繰り返す。その結果ついに地球への帰還を可能にする燃料の再発見に成功するのであるが、そのときバズ以外の世界は60年以上の時間が経過しており、年老いたアリーシャは亡くなり、バズとアリーシャ以外の乗組員が惑星に構築したコロニー社会は惑星への定住を決定していた。
そのコロニー社会からバズは反逆者の扱いを受けるのだが、そのコロニー社会は謎のロボット軍団という外敵により攻撃を受ける。バズは、相棒であるネコ型ロボットのソックス、アリーシャの孫イジー・ホーソーン、大男だがおっちょこちょいでミスの多い兵士モー・モリソン、爆弾作りの名人のダービー・スティールとチームを作り、ロボット軍団の正体をあばき反撃することを試みるのである…
本稿で着目したいことの1つめは、前半の、ウラシマ効果によりバズとバズ以外の世界の時間がとめどなくズレていくという、フィクションにたまにある無限後退というか永劫回帰というか悪夢のようなパートが存在することである。このまま際限なく繰り返しが続いたらどうなっちゃうの? という不安を視聴者に抱かせることである。
2つめは、実はこの部分は序章にすぎず物語の本番はバズたちがチームを作って外敵に立ち向かいかつ地球への帰還を試みる部分だということである。
放送を観てから一週間くらい経って、とつぜん頭に浮かんだことがあった。この物語構造って、『火の鳥 望郷編』にそっくりじゃね?
『望郷編』は『火の鳥』シリーズの中でも屈指の問題作である。ヒロインのロミは恋人の丈二とともに、辺境の惑星に移住する。逃避行である。だがその惑星は人類の移住先として快適とは言い難い環境で、丈二は事故によりあっけなく命を落としてしまう。惑星をあっせんした悪徳不動産屋(?)はロミに言い寄るが、ロミは「私は私と丈二の子カインと結婚する」と宣言して不動産屋を射殺し、カインの育成をロボットに任せ人口冬眠に就く。
人口冬眠から醒めたロミは、成人したカインとの間に7人の子を成すが、いずれも男の子ばかりだった。カインはロミに、もう一度人口冬眠して彼らのうち一人と結婚するよう促す…
読者は、もしこんなことがいつまでも繰り返されたらどうなるの? と不安になりません?
この近親相姦が繰り返される悪夢のようなパートはやはり序章に過ぎず、何度目かのコールドスリープから醒めたロミは、火の鳥の仲介で彼女の子どもらとムーピーという地球外非人間型生物が交配することにより種の保存に成功した社会を目にするのである。
ちなみにムーピーは、『』にも登場する。
人類とムーピーの混血社会においてロミは女王の待遇を受けるのであるが、彼女はやがて望郷の念を抱き、すなわち地球への帰還を夢見て、彼女の子孫の一人である主人公・コムとともに旅立つ。そして地球への帰途でたまたま命を救った両性生物ノルヴァ、それに『』の主人公でもある牧村と、チームを結成する。
私は年寄りなので、『望郷編』が雑誌「月刊マンガ少年」に連載されていた当初から読んでいた。連載初期のハシラに「主人公はまだ登場していない」という煽りが載っていたことがあって、それが「すげーかっこいい」と思ったことがあった。
そう思ったのは私だけではなかったようで、栗本薫が『魔界水滸伝』の何巻めかのあとがきで「主人公はまだ登場してないもんね」とパクっていたはず。
追記:
調べました。『魔界水滸伝5』カドカワノベルズ版P219でした。以下、引用。
さいわい、「あとがきつき」第一弾がご好評をいただきましたので、しばらくつづけさせてもらいます。しかし、キャラ・ベストテンは、まだ考えてみると全キャラの十分の一も出そろってないし、大体主役がまだ登場してない(おおっ大胆な発言!)のであるから、ムリですね、これは。
「主人公」ではなく「主役」でした。やっぱり記憶はアテにならないです。
追記おわり
ということで短くまとめると、物語構造の相似は
・序盤に、悪夢のようなリフレインのパートがある
・物語の本番は、リフレインのパートが終わって主人公が新たなチームを結成してから
という2行で終わってしまう。
ディテールまで含めれば
・舞台は、未来の、地球以外の(あまり快適でない)惑星
・リフレインは、主人公/ヒロインの時間が停滞し主人公/ヒロイン以外の世界の時間がとめどなく進行するという形態をとる
・時間が進行した世界では、主人公/ヒロインになじみのないコミュニティーがそれなりに発展している
も相似している。構造とディテールはどう違うか、書いている当人もあまりよくわかっていないまま書いている。
ただし相似はここまでで、ラストは『バズ・ライトイヤー』はひと捻りあるといえハッピーエンド、『望郷編』はまごうことなきバッドエンドだった。
追記:
よく考えたらディズニー&ピクサーは基本的に、みなハッピーエンドと言って悪ければ予定調和だし、
『火の鳥』はどれも、希望を残すものはあれどだいたいバッドエンドか。
追記おわり
ところで本稿を書くために検索したところ、『望郷編』は2023年に『火の鳥エデンの宙』『火の鳥エデンの花』というタイトルでリメイクされていたというではないか! 『エデンの宙』は配信、『エデンの花』は劇場版だそうだ。ただしネット情報によると、近親相姦が繰り返される部分はばっさりカットされているとの由。
ぜんぜん気づかんかった! いつもながら、私のアンテナ低っ! それともどこかで見かけたけど忘れていたから、『バズ・ライトイヤー』を観て『望郷編』を思い出したのだろうか?
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