言うまでもないことだが、国の制度を始めとする社会のシステムは、相互監視によって秩序を維持し社会を安定させるように構築されている。
「それをどれだけ抜いたら崩れるかゲームでもしているのか」と言いたくなるニュースが、ほんの一週間ほどの短い間に続けざまに報じられた。
国土交通省による基幹統計データ書き換えに関する、現時点(12/20)での「はてなブックマーク」最新ホッテントリの一つはこれかな。見出しのインパクトが強烈だ。
一部、引用。
検査院が9月に国会に提出した報告書では、①19年12月分以降は書き換えをやめるよう、国交省が都道府県に指示②21年4月分以降は書き換えをせずに集計――と記載。ただ、国交省職員の書き換えや二重計上については指摘しなかった。検査院は取材に「①と②をしっかり書き分けたことで、国交省が書き換えを続けた経緯を行間に書き込んだつもりだ」と説明。
何度も読み返しているのだが、この説明というのが私にはどうにも理解できない。
国の期間統計データが損なわれるデメリットは、すでにいろんな人が書いている。統計の数字が信用できない → 官庁・自治体・企業が適切な計画を立てられない → 海外投資家が日本に投資しなくなる…等々、我々の生活に直接の悪影響を及ぼすと言えば、他人事でないことが少しは伝わるだろうか?
相前後しての「はてブ」ホッテントリ。
少し前にツイッターで「2021東京五輪の食料品は廃棄したのにね」という皮肉を見て、巧いなと思ったのでリツイートしたことがあったが、「国の基幹統計データは廃棄したのにね」という新たな、そしてより深刻な皮肉が見つかったことは、全く喜ぶ気になれない。
この件に関しては、問題点を鮮やかに箇条書きにしたツイートを見かけた記憶があったので、ちょっと苦労したがサルベージした。FF 外から引用失礼します。
赤木裁判、すごいハックだなと思った。
— オジョンボンX (@OjohmbonX) 2021年12月16日
・認諾(原告の主張を丸呑み)で裁判を終わらせれば証人尋問もなし、再度の訴訟は不可
・認諾を防ごうと賠償額を大きくすると、訴訟費用が高額になり原告負担が増える
・地方公共団体には住民監査請求があるが、国にはなく賠償金=税金の使途は咎められない
「不正の究明を阻むためなら、血税を無益に浪費しても構わない」と国政の政治家が思えば、そうできる、というシステムになっている。それが、外交や安全保障ですらなく、「政治家が知人への利益供与のため、役所に不正を働かせた」みたいな話でやるんだから、実に情けない話だと思う。
— オジョンボンX (@OjohmbonX) 2021年12月16日
蛇足をつけ加えるとしたら、この決定のもうひとつ悪質な点はSNSのバカウヨどもに「大金を貰った」という攻撃の口実を与えたことだと考える。
残念ながら我が国のネトウヨのレベルはそこまで低いし、政府はそれを知っててやったとしか思えない。
記事を検索するとき、そういった言舌が目に入らないようにするのに少し苦労した。
税金と言えば、これも酷い話である。
ブコメには、当時の大阪府知事であった 松井一郎 現大阪市長が「IR、カジノには一切税金使いません」と明言している資料のURLが示されていた。
一部引用。
(松井大阪府知事)
今ご意見がありましたけれども、ある特定のそういう政党はよくカジノに税金使うと言いますけど、カジノに税金は一切使いません。これは民間が投資する話なので、皆さんの税金がIR、カジノ―カジノ、カジノといいますけど、これ統合型リゾートですから。
特定の政党がこういう間違った情報を流布してますけど。これだけはっきり言っときます。
IR、カジノには一切税金使いません。逆です。民間事業者が大阪に投資してくれるんです。その額は、もしできるとすれば民間のお金が5,000億から1兆円大阪に投資されると。
税金は一切そちらには入りませんから。そこはご心配いただかないようにしてください。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/cmsfiles/contents/0000369/369027/16122218hirano.pdf P24~25
ところで12月20日現在、ドバイ万博というのが開催されているのをご存知の方は、どれくらいいらっしゃいますか? 会期: 2021年10月1日~2022年3月31日 だそうです。
12月11日には「ドバイ万博ジャパンデー」というのが開催されたそうですが、ご存知でしたか?
IR、カジノは意外とレッドオーシャンで、ソウルなどいろんなところにあるが基幹産業と言えるほどの収益を上げているところはラスベガスやマカオなど一握りだ。そういうところに後発として乗り込んでいって、成功する勝算はどれほどあるだろうか?
IRと並んで原発輸出や武器輸出もアベノミクスの成長戦略の柱に掲げられていたように記憶しているが、後者二つは成功しただろうか?
あちこちに何度か書いているが、どうもこの国の政策決定者には「禁じ手に手を出せばそれだけで上手くいく」みたいな楽観論というより幻想があるように思えて仕方ないが、成功するためには成功するだけの切り札や秘策のようなものが必要なはずじゃないのか。夢洲の切り札や秘策って、何があるのだろう?
追記:
大阪IR構想に関しては れいわ新選組 の 大石あきこ 衆院議員のこのツイートも「はてブ」ホッテントリ入りした。
待て待て待て待て✋松井市長。
— 大石あきこ れいわ新選組 衆議院議員(大阪5区) (@oishiakiko) 2021年12月20日
「しっかりソロバンはじい」たろと思って、IR(カジノ)の経済効果の元データをIR推進局に情報公開請求したら、こんな墨塗りで出てきたけど。
どないせえっちゅうねん? https://t.co/yEZxPCedZL pic.twitter.com/zJX10Chin5
個人情報などの情報公開法五条「不開示情報」*1に該当しようもない数字の黒塗りは、単なる隠蔽である。
また黒塗りされていない項目名の雑さを指摘する声も上がっていた。
この件に関しては「開示請求の鬼」を称するツイッター有名人 WADA @freeze210929 さんが反応していたりするので、2ラウンド以降を期待できるかも知れない。
とりあえず不服審査請求。 https://t.co/bUNggA9Hlt
— WADA_version3 (@freeze210929) 2021年12月20日
税金、公金はこっちに使ってくれと思わざるを得ないニュースも、いくつかあった。
ブコメでも総突っ込み状態だったが、そもそも今の日本の科学技術は流出より停滞を心配すべき状況ではないのか。アメとムチのムチだけで、北風と太陽の北風だけで、研究や技術は伸びるものだろうか? 私はそうは思わない。絞りに絞られている研究費、特に基礎科学の分野への予算増額が先決だろう。これは近年日本からノーベル賞受賞者が出るたびに、彼らの口から出る言葉でもある。
ツイッターの FF さんでもろに影響を受けた人がいたため、個人的にやりきれなかったのがこのニュース。
8月末までに離婚が成立せず児童手当の振込先を変更していない世帯には、元配偶者の口座に給付金が振り込まれるケースが多発しているとのことだ。「本当に困っている人に届かない」と、いくつかのNPO団体が記事にコメントを寄せている。
給付の迅速化のために児童手当の枠組みを使ったとあるが、18歳以下への支給を決定するのにどれだけ時間をかけたのかと言いたい。
こうした本末転倒は、一つだけでは国全体、社会全体に影響を与えるようには見えないかも知れないが、そうしたものが積み重なるうちいつか何か大きなものがグラリと揺らぐことを体感する日が来るのではないかと憂慮する。
そうなった時には、いろいろなものが複合的に崩壊しとっ散らかってしまっているだろうから、復旧するにもどこから手を付けたらいいのかわからない状態になっているだろうという想像が、どうか杞憂でありますように。
追記:
子育て給付金については、もう一件エントリーを書きました。
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