
作品情報
| 作品名 | マスターズ・オブ・ザ・エアー(Masters of the Air) |
| 配信 | Apple TV 独占配信 |
| 形式 | 全9話(各約55〜65分) |
| 製作年 | 2024年 |
| 製作 | アメリカ(Apple Studios) |
| 製作総指揮 | スティーヴン・スピルバーグ、トム・ハンクス、ゲイリー・ゴーツマン |
| 原作 | ドナルド・L・ミラー著『Masters of the Air』 |
| 脚本 | ジョン・オーロフ |
| 監督 | キャリー・フクナガ、アンナ・ボーデン&ライアン・フレック、ディー・リース、ティモシー・ヴァン・パタン ほか |
| 主な出演 | オースティン・バトラー(ゲイル・"バック"・クレヴェン)、カラム・ターナー(ジョン・"バッキー"・イーガン)、アンソニー・ボイル(ハリー・クロスビー)、ネイト・マン(ロバート・"ロージー"・ローゼンタール)、バリー・コーガン、ラファティ・ロウ |
| ジャンル | 戦争 / ヒューマンドラマ |
| 舞台 | 第二次世界大戦 ヨーロッパ戦線(空軍) |
| 年齢制限 | R15+ |
| 推定製作費 | 2億5,000万〜3億ドル(約370億〜440億円) |
シリーズ三部作とは
本作は、スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが製作総指揮を務める第二次世界大戦ドラマシリーズの第3弾であり、三部作の完結編にあたります。
「バンド・オブ・ブラザース」(2001年)はヨーロッパ戦線の陸軍空挺部隊、「ザ・パシフィック」(2010年)は太平洋戦線の海兵隊、そして本作「マスターズ・オブ・ザ・エアー」(2024年)はヨーロッパ戦線の陸軍航空軍。陸・海・空の三つの視点から第二次世界大戦を描く壮大なプロジェクトが、約23年の歳月を経てついに完成しました。
なお、前2作はHBOが制作し現在U-NEXTで独占見放題配信中ですが、本作は予算規模が2〜3億ドルと跳ね上がったためHBOが撤退。Apple TV+との契約に移行した経緯があります。そのため、本作のみApple TVでの独占配信となっています。
あらすじ ネタバレ控えめ
1943年、アメリカ陸軍航空軍第8空軍の第100爆撃群(通称「ブラッディ・ハンドレッズ=血の第100隊」)に所属する若き兵士たちがイギリスに到着します。彼らの任務は、B-17爆撃機に乗り込み、ナチス・ドイツの軍事拠点を昼間に精密爆撃すること。
物語の中心にいるのは、ゲイル・"バック"・クレヴェン少佐とジョン・"バッキー"・イーガン少佐の2人。ニックネームも似ている親友同士で、性格は対照的ですが固い絆で結ばれています。そこに航空士のハリー・クロスビーやユダヤ系のロバート・"ロージー"・ローゼンタール中尉ら個性的な仲間が加わり、群像劇として物語が展開していきます。
ノルウェーのUボート基地、ブレーメンの軍事施設、ドイツ内陸部の戦闘機工場。彼らは次々と危険な爆撃任務を遂行しますが、回を追うごとに仲間が減っていきます。撃墜されてパラシュートで脱出し、敵地に降りて捕虜となる者。現地のレジスタンスに匿われて逃亡を試みる者。そして帰ってこない者。
物語はノルマンディー上陸作戦(Dデイ)への支援爆撃、終盤には黒人パイロット部隊「タスキギー・エアメン」の実戦投入、そしてドイツの強制収容所の発見へと進み、戦争の終結を迎えます。
感想 地上戦とは違う空の戦争
映画「メンフィス・ベル」のドラマ版という感覚
爆撃機のパイロットを描いた作品といえば、映画「メンフィス・ベル」(1990年)が有名です。あちらも第8空軍所属のB-17爆撃機乗組員の物語でしたが、映画は1回の出撃に焦点を絞った作品でした。マスターズ・オブ・ザ・エアーはそのドラマ版のような感覚で、全9話をかけて部隊の歩みを追いかけることができます。
空からの視点が新鮮だった
前2作品と最も違うのは、当然ながら「空」が戦場であることです。高度約7,500メートルの極寒(マイナス40度以下にもなる)、酸素不足、そしてドイツ空軍の戦闘機による攻撃や地上からの対空砲火。B-17の機内という閉鎖的な空間で、機長、副操縦士、爆撃手、航空士、銃手など、それぞれ異なる役割を持つ乗組員たちがチームとして任務を遂行していく様子は、地上戦とはまったく違う緊張感があります。
空戦シーンの映像は圧巻の一言です。雲海を埋め尽くすB-17の大編隊が飛行するシーンは美しくもあり、その直後に地獄のような戦闘が始まります。製作費2億5,000万〜3億ドルという数字は伊達ではなく、実物大のB-17レプリカ2機を一から製作し、CGIと組み合わせて撮影されたそうです。なるべく大きい画面で観ることを強くおすすめします。
基地に戻れば別世界という対比
印象的だったのは、「戦場」と「基地」のギャップです。命がけの爆撃任務を終えてイギリスの基地に戻れば、豪華な食事、ダンスパーティ、パブでの酒盛りが待っています。太平洋戦線の兵士たちがジャングルの泥の中で病気や飢えと戦っていたことを思うと、その対比は際立っています。
また、空軍は士官(将校)の比率が高く、パイロットには少なくとも少尉以上の階級が必要でした。大学教育を受けたエリートが多く、地上部隊とは明らかに文化が違う。しかし、そのエリート集団が任務のたびに仲間を失い、基地では明るく振る舞いながらも内面では恐怖と向き合っている。その「明るさの裏にある死の影」が、本作の人間ドラマを深いものにしています。
捕虜になった兵士たちの物語
前2作品にはあまり描かれなかった「捕虜」の視点が本作の大きな特徴です。撃墜されてパラシュートで脱出しても、そこはドイツの占領地。捕虜として収容所に送られ、過酷な環境を生き延びなければなりません。
一方で、現地のレジスタンスの協力を得て敵地から脱出を試みる兵士もいます。空の上の戦いだけでなく、地上でのサバイバルや収容所での群像劇も同時に進行するため、物語は多層的な構造になっています。
オースティン・バトラーの存在感
主演のオースティン・バトラーは、映画『エルヴィス』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた実力派です。本作でも「バック」ことクレヴェン少佐を抑制の効いた演技で魅力的に演じています。
ただ個人的には、相棒役のカラム・ターナー(バッキー役)のカッコよさも負けていないと感じました。性格的にはバッキーの方がやんちゃで人間臭く、バックの冷静さとの対比が絶妙です。アンソニー・ボイル演じるクロスビーが飛行機酔いに苦しみながらも航空士として活躍するエピソードも印象的で、キャスト全体のレベルが非常に高い作品です。
昼間精密爆撃と東京大空襲 戦争のダブルスタンダード
本作を観ていて考えさせられたのが、爆撃に対するアメリカ軍の姿勢です。
ドラマの中で描かれているように、アメリカ陸軍航空軍はヨーロッパ戦線において「昼間精密爆撃」を方針としていました。民間人への被害を最小限に抑え、軍事施設だけをピンポイントで狙う。そのために危険な昼間飛行を選択し、多くの犠牲を払っています。一方、イギリス空軍は夜間爆撃を行っていましたが、暗闘での精密攻撃は困難で、結果的に民間人の犠牲が多く出ました。
ここで日本人として思うのは、ではなぜ同じアメリカ軍が日本に対しては東京大空襲のような無差別爆撃を行ったのか、という疑問です。ヨーロッパでは民間人を配慮していたのに、太平洋戦線では一転して焼夷弾による市街地への絨毯爆撃に切り替えた。このダブルスタンダードは、本作を観た後だからこそ一層重く感じます。
もちろんドラマの中でその答えが語られるわけではありませんが、戦争というものが「正義」と「現実」の間でいかに矛盾を抱えているか。そのことを考えるきっかけにもなる作品です。
Apple TVの視聴方法
マスターズ・オブ・ザ・エアーはApple TVでのみ視聴可能です。U-NEXTやHulu、Amazonプライム・ビデオなどの他サービスでは配信されていません。
Apple TVの視聴方法にはいくつかの選択肢があります。
まず、Apple TV+単体での加入。月額900円(税込)で、初回7日間の無料トライアルがあります。全9話なので、7日間で一気に観れば無料期間内に完走することも可能です。
私はiPhoneユーザーなので、Apple One(月額1,200円でApple Music、Apple TV、iCloud+などがセットになったサービス)の1ヵ月無料トライアルを利用して観ました。iPhoneやiPad、Macをお使いの方にはこちらもおすすめです。
なお、Apple製品を持っていなくても、Windows PCやAndroidスマートフォンのブラウザ、Fire TV Stick、各種スマートテレビなどからもApple TVは視聴できます。
こんな人におすすめ
- 「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」が好きで三部作を完走したい
- 映画「メンフィス・ベル」のような爆撃機ものが好き
- オースティン・バトラー、バリー・コーガンなど注目俳優の演技を観たい
- 空戦シーンを圧倒的な映像で体感したい
- 第二次世界大戦を陸・海だけでなく「空」の視点からも知りたい
- 戦場だけでなく捕虜収容所の物語にも興味がある
※シリーズ前2作「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」はU-NEXTで独占見放題配信中です。三部作を順番に楽しむなら、まずはU-NEXTで前2作をチェック!
「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」
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※2026年3月現在の配信情報です。最新状況はU-NEXT公式サイトにてご確認ください。