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971『夏への扉』

 海外SF系のランキングでは、必ず上位に食い込んでくる名作。出だしは酒に溺れている主人公がダウナーな科白を呟きながら、冷凍睡眠することで現実から逃避しようとしていて、読み続ける気が削がれるのだが、男が沈んでいる理由が明かされ始めるあたりから徐々に熱くなってゆく。しかし、何と言っても本書の核となっているのは、SFでしか書きえないロジカルなストーリィと、伏線を華麗に回収する妙ではないだろうか。ミステリ読みも楽しめること請け負い、と言うかふつうに面白いので「本読みとして必読を百冊挙げよ」と命じられたら、迷わず入れるだろう。以下、ネタバレ。
 本書のポイントは二点、猫の愛くるしさと時間物であること。しかし、猫に関しては、それが魅力的な点であることを明かすことは、勘のいい読者にとっては時間旅行を示唆しうるので非常に危険だと思う。むしろ、猫好きにさりげなく勧めておいて、ピートの出番が序盤であっさり終わり、終盤、凄まじい存在感を伴なって物語に戻ってくる快感をこそ味わってもらうべきだろう。




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