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 最高に面白かった。
 常野と呼ばれる人の姿をしていながら人ならざる力を持った一族をめぐる連作掌編集。常野という土地から来たから常野と言うのか、それとも「常に在野にあれ」という意味をこめて常野を名乗っているのか、それは明確ではないが、この不思議な一族は、一様に慎み深く穏やかで、読んでいて実に心地よい。収録されている十の掌編は、いずれも未完成で大河小説並の長さを誇る長編小説の一部を抜粋したかのよう……と言えば悪くないが、実際は断片的すぎて話にならない。設定を積み込みすぎで、常野というキーワードがなければとてもじゃないが一冊の本にまとめることは出来なかっただろう。と言うか、常野というキーワードで一冊にまとめているけれど、ちょっとこれはいかがなものかという気がしないでもない。それでも何故、本書が傑作かと言うと。
 本書が、萩尾望都ポーの一族』を彷彿とさせるからだ。
 社会の中に埋もれるように暮らそうとする常野一族。しかしその異能ゆえ、どうしても浮き彫りになってしまい、ときに人に狩られ、ときに人から逃げだし。それでもひっそりと生きながらえようとする。その生き方が実に素晴らしいのだ。『ベルカ、吠えないのか?』風に表現するならば「常野よ、常野よ。お前はどこにいる?」。




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