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映画『ゴッドファーザー PART III』解説&感想 再評価されつつある第3作

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どうも、たきじです。

 

今回は1990年公開のアメリカ映画『ゴッドファーザー PART III』の解説&感想です。『ゴッドファーザー PART II』に続くシリーズ第3作です。

 

 

↓ 前作の解説&感想はこちら

 

作品情報

タイトル:ゴッドファーザー PART III

原題  :The Godfather Part III

製作年 :1990年

製作国 :アメリカ

監督  :フランシス・フォード・コッポラ

出演  :アル・パチーノ
     ダイアン・キートン
     アンディ・ガルシア
     タリア・シャイア
     イーライ・ウォラック
     ソフィア・コッポラ
     フランク・ダンブロシオ
     リチャード・ブライト
     ジョン・サヴェージ
上映時間:162分

 

解説&感想(ネタバレあり)

マイケルの物語の終焉

本作は、映画史に残る大傑作と評価される前二作と比べてしまうと大きく劣ることは否めません。しかし、シリーズの最終章として、この作品もまた特別な価値を持っていると感じます。

 

マイケル・コルレオーネの運命を描いた三部作の中で、本作はその終焉を描きます。時代が移り変わる中で、ファミリーのビジネスを合法的なものに変換しようともがくマイケルですが、過去の因縁やしがらみがそれを許しません。

 

また、ビジネス以外でも悩みは尽きません。息子のアンソニーは、過去のマイケルと同様にファミリーのビジネスに背を向け、娘メアリーは、死んだ兄ソニーの息子ヴィンセントと恋仲になります。加えて、元妻ケイとの関係や、兄フレドを殺害してしまった罪の意識がマイケルを苦しめます。

 

前作では冷徹で感情を表に出さなかったマイケルですが、本作では今まで強さで覆い隠してきた苦悩が溢れ出て、その弱さを露わにします。発作に苦しみながらフレドの名前を叫ぶシーンや、ランベルト枢機卿にフレドの殺害を懺悔するシーンは、特に印象的です。

 

繰り返される歴史

物語の後半、マイケルは引退を決意し、ビジネスの合法化も道半ばで、ドンの座をヴィンセントに継承します。そして、歴史は繰り返します。ヴィンセントはファミリーに敵対する者を容赦なく排除します。

 

前二作と同様、クライマックスではこの複数の殺しが描かれます。オペラと並行して描くというすばらしい編集によって、本作でもドラマティックに演出されています。橋の下に吊るされるスイスの銀行家や、射殺されて螺旋階段から落ちていく大司教はとても絵になりますが、ルケージがメガネのツルで首を刺されて殺されるのには少々苦笑いです(笑)。

 

最も印象的なのはマイケルを裏切ったドン・アルトベロの殺害シーン。マイケルの妹コニーがカノーリに毒を盛り殺害します。コニーにとってアルトベロは、キリスト教において特別なつながりであるゴッドファーザー(名付け親と訳されることがありますが、正しくは洗礼式に立ち会い代父になる男性を指します)。

 

コニーにとって繋がりの深いアルトベロを殺さねばならない悲劇。遠くからアルトベロの死を見届け、「眠って、ゴッドファーザー」とコニーが呟くシーンは胸に迫るものがあります。

 

オペラと重ねられる悲劇

そしてオペラが終幕し、最後に訪れる悲劇。マイケルを狙った殺し屋の銃弾は、娘メアリーを貫きます。我を失い絶叫するマイケル。彼が失った3人の女性――元妻のアポロニアとケイ、そしてメアリーとのダンスシーンが回想され、やがて年老いたマイケルが孤独に死を迎えるまでが、音楽に乗せて描かれます。

 

ここで流れる曲は、劇中で演じられたオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲です。同オペラは、シチリアを舞台として、裏切りや復讐、後悔が渦巻く悲劇。オペラのテーマと、本作におけるマイケルの運命が重なり合い、マイケルの人生の悲劇的な結末が、まるでオペラのような壮大さで演出されています。

 

また、もう一つ、本作のテーマと重ねられる作品が、シチリアに口頭伝承されてきた物語『カリーニ男爵夫人』。劇中、シチリアでヴィンセントとメアリーが目にする人形劇で演じられているのがこの物語です。物語の細部のバリエーションは様々あるようですが、ざっくり言えば、従兄弟と恋愛関係を持ってしまった娘を、名誉のために父親が殺害するという物語。

 

ファミリーの名誉やメンツのために多くを殺害してきたマイケルが、その報いとして娘を失う本作と共通するテーマを持ちます。最初は蛇足に思えたヴィンセントとメアリーのロマンスも、『カリーニ男爵夫人』になぞらえたものと考えると途端に合点がいきました。

 

キャストと演技の見どころ

アル・パチーノの演技は、前二作に続き素晴らしいものでした。これまでの冷酷で計算高いマイケル像を一転させ、内面的な葛藤と後悔を巧みに表現していました。アカデミー賞にノミネートすらされなかったのが不思議なくらいです。

 

本作の中では比較的地味なシーンではありますが、個人的に好きなのはシチリアでケイと語り合うシーン。2人の関係が時間を経て変わりながらも、互いに内に秘めた想いが感じられる名場面です。ケイを演じるダイアン・キートンも素晴らしい演技を見せており、2人の微妙な距離感と感情のやり取りは見応えがあります。

 

ヴィンセントを演じたアンディ・ガルシアはアカデミー助演男優賞にノミネート。第1作でジェームズ・カーンが演じた父ソニーの荒々しさを受け継ぎながらも、独自のキャラクターを構築しています。少し青臭さを感じなくもないですが、それも含めてヴィンセントという役柄をうまく形成しています。

 

メアリーを演じたソフィア・コッポラには当時批判が集中しましたが、彼女が背負ったプレッシャーを考えると少し同情してしまいます。女優としてのキャリアが浅く未熟な彼女がこの話題作で大きな役を演じたことに加え、フランシス・フォード・コッポラ監督の娘としての縁故採用であるということが批判を招いたのでしょうけどね。DVDのオーディオコメンタリーでは、コッポラ監督がしきりに娘を擁護していました。

 

当初メアリー役に決まっていたというジュリア・ロバーツやウィノナ・ライダーが演じるメアリーを観てみたかったという思いはどうしても抱いてしまいますが、相次ぐ降板の中で役を引き受けた彼女を責めるのは酷ですよ。

 

懐かしい面々と欠けたピース

さて、本作は第1作から数えて18年を経て作られたわけですが、第1作に登場したキャラクターが多数再登場します。ソニーの不倫相手だったヴィンセントの母、歌手のジョニー・フォンテーン、シチリアのドン・トマシーノやカロなど懐かしい面々が当時と同じキャスティングで登場するのは見どころです。

 

そんな中で、前二作で主要キャラクターであったトム・ヘイゲンの不在は痛いですね。なんでも、ロバート・デュヴァルと金銭面で折り合いがつかなかったのだとか。

 

前作でもクレメンザが似たような経緯で不在でしたが、これとは比べ物にならない痛手ですね。前作ではクレメンザの代わりとも言える位置付けのフランク役を、マイケル・V・ガッツォが見事に演じていましたし、クレメンザとトムでは役の大きさが違いますからね。トムの存在があれば、物語にもう少し奥行きが出たことは間違い無いでしょう。

 

最後に

今回は映画『ゴッドファーザー PART III』の解説&感想でした。三部作の中で評価が分かれることが多いものの、マイケル・コルレオーネの人生の終焉の物語として、重厚で見応えのある作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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