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映画『上意討ち 拝領妻始末』解説&感想 封建制度の理不尽を描いた傑作時代劇

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どうも、たきじです。

 

今回は1967年公開の日本映画『上意討ち 拝領妻始末』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:上意討ち 拝領妻始末

製作年 :1967年

製作国 :日本

監督  :小林正樹

出演  :三船敏郎
     司葉子
     加藤剛
     仲代達矢
     神山繁
     市原悦子

上映時間:128分

 

解説&感想(ネタバレあり)

本作は滝口康彦の短編小説『拝領妻始末』が原作。原作・滝口康彦、監督・小林正樹、脚本・橋本忍という組み合わせは、1962年の『切腹』と同様です。本作も『切腹』と同様に、武家社会や封建制度における理不尽を描いた作品です。

 

笹原家の当主・伊三郎は、藩主の側室・いちを嫡男の与五郎の妻として迎え入れることを強いられます。藩主からの命令には逆らえず、しぶしぶ受け入れますが、いちは気立がよく、与五郎とも仲睦まじく暮らします。2人に娘が生まれ、幸せに暮らしていたところで、今度はいちを返せと命が下ります。世継ぎの子が病死したことから、いちが藩主との間に産んだ子が世継ぎとなったからというのです。伊三郎と与五郎は、この理不尽な命令を拒絶。圧力をかけてくる藩と対立を深めていくことになっていきます——。

 

この物語は1992年と2013年に、2度にわたってTVドラマ化されています。私は『切腹』が大好きですし、2013年のテレビ版を放送で観て大変面白かったので、それ以来ずっと本作を観たかったのですが、ようやくそれが叶いました。

 

2013年のテレビ版で物語の大筋の面白さは分かっていましたし、何と言っても橋本忍による脚本(2013年のテレビ版も橋本忍がリライト)ですから、脚本がいいことは観る前から分かっていました。藩主の刀の試し切りのシーンから伊三郎と帯刀の会話へと続く冒頭で一気に物語に引き込まれ、映画が終わるまで食い入るように観てしまいましたよ。

 

本作は、脚本だけでなく、撮影もいいですね。画面作りがいちいちかっこいいんですよ。ハイアングルとローアングル、城や荒野のロケーションの映えるワイドショットと、人物へのクローズアップやズームイン。コントラストの効いた撮影が見事に決まっています。

 

特に、登場人物達の様々な想いがうずまくこの物語において、要所要所でのクローズアップやズームインは、彼らの感情を炙り出すかのようにスリリングに決まっています。また、伊三郎や与五郎ら武士達にしても、いちにしても、佇まいが美しいのでなおさら画面が決まるんですよね。

 

そして何と言っても三船敏郎仲代達矢の贅沢な共演。黒澤明監督の『用心棒』、『椿三十郎』でも戦った2人がここでも決闘。しっかりお膳立てされたクライマックスは『椿三十郎』を思い出します。

 

2人の長い睨み合い、顔や刀のクローズアップなど、刀を抜くまでのもったいぶった演出はセルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタンを彷彿とさせます。本作の場合は大袈裟な音楽(褒め言葉)が流れることはなく、ほとんど吹き荒ぶ風の音だけで静かに興奮を盛り上げているという違いはありますが。

 

この決闘シーンのカメラワークも実に工夫が凝らされていて面白いですね。間合いを取り合う2人が画面の外からフレームインしてくるショットだったり、刀から顔、顔から刀へとピントが移っていくショットだったり。ススキの映える荒野のロケーションも絶妙ですね。

 

前述の黒澤映画2作とは違い、本作の場合は、仲代達矢演じる帯刀は悪役ではなく、三船敏郎演じる伊三郎の良き理解者。立場上、伊三郎と戦わざるを得ないという状況が悲劇性を演出します。痛快な娯楽時代劇であった2作とは違い、本作は悲劇的なドラマですからね。

 

ラストは伊三郎が集団で迫る追手を相手に鬼気迫る戦い。伊三郎は銃弾を浴びているというのに結構元気だったり、死に際の台詞もやたら長かったりというのはご愛嬌です(笑)。

 

最後に

今回は映画『上意討ち 拝領妻始末』の解説&感想でした。優れた脚本と撮影、三船敏郎と仲代達矢の共演。観るものを惹きつけて離さない傑作時代劇でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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