Switchソフト『天使の詩COLLECTION』に収録されている『天使の詩』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:日本テレネット
機種:PCエンジン/Switch
ジャンル:リリカルRPG
発売日:1991/10/25(PCエンジン)2024/9/25(Switch)
公式のジャンル名「リリカルRPG」なんだ!?
1991年に日本テレネットからPCエンジンで発売されたRPGで、ケルト神話をモチーフにしたシナリオが特徴だ。PCエンジンで続編である『天使の詩2』が、スーパーファミコンで完結編となる『天使の詩 白き翼の祈り』が発売されている。
今見るとなかなかの豪華スタッフで、企画は『ちびロボ!』の西健一。企画補佐は『ワイルドアームズ』の金子彰史、キャラデザは『ワルキューレの冒険』でお馴染みの冨士宏、BGMはなるけみちこと小川史生。声優は井上和彦と江森浩子などなど。
発売日は同時期に『ラグランジュポイント』『メタルマックス』『騎士ガンダム物語2』『ファイナルファンタジーIV』などが出ていて、PCエンジンだと翌年に『天外魔境II』が控えてるくらいのタイミングだ。
移植はSwitch『天使の詩COLLECTION』の他、月額課金+有料のプロジェクトEGGでも配信されてるぞ。
昔遊んでクリア出来なかったけど、なんとなく好きだったゲーム。今回のSwitch版で初めて通しプレイした。今遊ぶにはちょっとキツい内容だが……まあ遊べて良かった!

物語は婚約者のクレアを魔物にさらわれてしまった主人公ケアルが、クレアを探す旅を続けるうちに、世界の命運を賭けた光と闇の戦いに巻き込まれていく……というストーリーだ。
仲間は偉い僧侶だがよく軽口を叩くブゼン、寡黙だが戦闘では頼りになりシナリオ上でも見せ場がある剣士ジト、失われたケルトの血を引く女の子で元気いっぱいエンヤと、なかなかキャラは立ってる面々。
エンヤもかわいいけど個人的に好きなのはブゼン。僧侶らしく含蓄のある事を言いつつ、街では酒飲みまくったり、王様に喰って掛かって牢にぶち込まれたりするのがキレッキレ。

RPGとしてはオーソドックスなコマンド式RPGで、特に本作ならではのシステムは無い。街で重要ヒントを聞くと、メモに保存されるのが当時としては珍しいくらいかな。最初は一本道で、途中で船などの乗り物を手に入れてからは、進行ヒントとアイテムを集めながら世界を巡るドラクエ的な構成になってる。
とにかくエンカウント率が高く、ボタン連打でザコを捌きながらダンジョンを彷徨う時間が長い作り。「最後に立ち寄った村に戻る魔法」はあるが、「一度立ち寄った村から好きな場所を選択して戻る魔法」は無い。一人が持てるアイテムは装備含めて8種類までなのも今遊ぶと厳しい。メモがあっても次に行く場所が分かり辛く、1991年のRPGって感じだぜ……!
1人旅なのにザコ敵が容赦なく状態異常をぶつけてくる序盤に、パーティが揃って力押しの作業になる中盤、急に難易度が上昇するがまあ力押しでなんとかなる後半ってバランス。序盤は店売りの強い装備がなかなか増えず、逆に中盤以降は真面目に更新すると大変なくらい新しい店売り装備が出てきたり。全体的にちょっと大味だ。
ダンジョンで全滅すると金は半分になるが入口から再開だったり、戦闘のテンポやボタンのレスポンスが良いのは長所かな。

地味に厳しかったのが魔法の名前の覚え辛さ。ゲーム内で効果を確認できないので、戦闘の度にマニュアル開きながら遊んでた。
あんまりメジャーじゃないRPGって、魔法の命名センスが微妙で覚え辛いとこあるよね。

実際のゲーム内だとこんな感じだからどれがどれやら……。
魔法使い中心のパーティで進むゲームなので余計にわずらわしい。

シナリオはケルト神話がモチーフとのことで、細かい単語や世界地図などにはその要素が反映されているが、筋書き自体は普通の王道ファンタジーRPGだ。
各街でのイベントは暗躍する魔物とのバトル、自然を顧みない人類への警鐘に、人間同士の争いを描いたシリアスなものだが、街での会話などではコミカルなテキストも多い。

お店に入るとBGMが専用のものに切り替わり、店名もすべて個別に付けられているのも面白いが、悪ふざけみたいな店名も多くて世界の終わりを感じる。
『天使の詩』といえばこれ pic.twitter.com/mBP8rStiFZ
— ゲームブロガー双葉ラー油 (@daikai6) September 12, 2024
書く街にいるセーブ係のお姉さんに話しかけてセーブすると、効果音付きでクルクル回ってセーブ完了する演出も独特。『天使の詩』といったらコレだよな!

序盤の街にはシモン・ベルモンドの墓が!
この時期のゲームで謎に流行ってた、他社のキャラを墓に埋めるブームなんだったんだよ!

進めば進むほど街のおふざけテキストやパロネタが増えて来るな……と思いながら遊んでいたら、いよいよ大詰めの街でストレート過ぎるギャバンやメタルダーの歌詞ネタが飛び出す。ここドラクエで言うと「天空の城」くらい重要な場所なんだが。

これ企画補佐で関わってる金子彰史の仕業じゃねーだろうな!?

主人公ケアルの堂々とした光の自己紹介かなり好き。
ややふざけすぎなところもあるが街での会話テキストはいい味出してる。ケアルの正義感溢れるお人好しな王道主人公ながら、ちょっと抜けてる性格付けも良い。パーティ揃ってからは会話も幅が出てくるし、じわじわとストーリーに引き込まれていくね。
しかし最後に待ち受けるのが「これで終わり!?」って言いたくなる衝撃のラスト!この時代のシナリオっぽさもあるけどさぁ!表情だけですべてを物語るラストカットは鮮烈で、この後ケアルはどうしたんだろう……という寂しさで胸がいっぱいになった。

そしてゲームクリア後にIIボタンを62回以上押し、Iボタンを押すとおまけのミニラジオドラマ『天使の詩~番外編~』が聞けるが大分ひどい!
もしも世界が平和だったらというif設定で、主人公のケアルは仕事しないグータラ男になり、ブチ切れた妻のクレアにボコられる毎日。仲間のジトは酒クズになっていて、酒代欲しさに妻に当たり散らす暴力夫に……。本編の余韻ぶち壊しにもほどがある!1991年に悪ふざけ100%で作られたネタを2025年に触れるのキッツいぜ!こんな内容だが、ゲーム本編でボイスあるシーン少ないので、ここが一番喋ってるまである。
『天使の詩COLLECTION』ではビジュアルモードから手軽に見れるようになってるが、良いのか悪いのか分からんなぁ!

ジトがおまけでこんなキャラってことは、製作スタッフも「こいつ酒場で飲んだくれてるのに偉そうなのウケる!」って思ってたのだろうか。仲間になってからはカッコいいとこもあるんだが色々と報われないキャラだぜ……!

『天使の詩COLLECTION』に搭載されていた中断セーブ&ロードを駆使してて10時間ほどでクリア。2024年にフルプライス取るのにこれ以外の便利機能無いから困るぜ。
RPGとしては今遊ぶにはしんどい地味な内容で、移植版も機能面が微妙なのでオススメはし辛い。ただ、細かいところでは印象的な描写も多かったし、街の優美なBGMや、ボス戦の怪しく不気味なBGMも良曲。個人的には今回クリアまで遊べて良かったな。
続編である『天使の詩2』は本作のキャラも登場する内容になっているそうなので、そっちもそのうちクリアするぞ!