説明不足の放り投げエンド=考察が捗るじゃねーから

一緒にかくれんぼをして遊んでいた弟が失踪してしまったという過去を持つ主人公は母から送られてきた失踪当時のビデオテープを見たのをきっかけに霊能力者の同居人と新聞記者と共に弟が失踪した山に足を踏み入れる。
テレ東のモキュメンタリー『イシナガキクエを探しています』『飯沼一家に謝罪します』の演出を手がけた近藤亮太監督が長編初メガホンをとり、2022年・第2回日本ホラー映画大賞にて大賞を受賞した短編映画を自ら長編映画化したホラー映画。
ただ第1回日本ホラー映画大賞を長編映画化した『みなに幸あれ』が出来の悪いA24かぶれというかしゃらくさい&面白くないで「短編と長編では監督に求められるモノは違うのでは…」の心配通り『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』も1つ1つの演出やシーンは怖いが全体を通すとう~~~~んとなってしまう。脚本がかなりとっ散らかってる。
「ノーCG」「ノー特殊メイク」「ノージャンプスケア」という触れ込みの本作。
確かに邦画も洋画もホラーって物音が静まって緊張が高まった時に幽霊が飛び出したり激しい音が鳴ったりして観客を驚かせることが多い。でもそれってビックリであって恐怖じゃないですよね?と内なるひろゆきが囁く手法である。その点で『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』はひたすらに不穏で不安を煽りながら淡々と進んでいく。
背景にある窓に人影が映ってそうな、そんなカットがずっと続く。怪異をハッキリ見せない事で怖さが持続する。映画『残穢』のラストシーンにガッカリした人ほど気にいると思う。
それはまるで見えない手が観客の首を絞めてくるような感覚。
弟が消えて居なくなるところを写し込んだVHS映像の質感は凄い不気味だし
中盤にある宿で「祖母から聞いた山の怪談」を語るシーンが滅茶苦茶雰囲気あって怖い。結構な長尺なシーンだが語る吉田山羊さんの語り口のうまさも相まって聞き入ってしまう。
しかし、本作のピークはハッキリとここだったのが悲しい。
その後、物語を進める為にいわくつきな山にどうにか3人とも行かせないとダメだが、電話で「その山に行くな」と話してるのを怪異が介入してきて「行け」と相手には聞こえて山に向かうの急に強引過ぎる展開が始まって戸惑う。雰囲気は「静」だが怪異は「豪」なのが本作である。
映画ってyoutubeにあるフェイクドキュメンタリー「Q」とかと違って物語が必要だしその為には起承転結の「結」も描かないとだめだけど、やっぱり「怪異」と対峙解明パートになると雑になってしまうのは逃れられない事なのかもしれない。ジャンプスケアもあるし。最後はここで終わるな~~~と思ったら終わってしまった。最近流行のモキュメンタリー『イシナガキクエを探しています』『飯沼一家に謝罪します』にも関わっている人だがら考察系というジャンルに入れられそうだけど、突拍子もない説明不足なだけで考察系でもない気がする。というか何でも出来る怪異がいるの確定なんだから考察が出来る所あまりないよ。これならホラー映画だからって嫌なエンドにせず主人公と同居人の幸せエンドが見たかった。
色々文句を書いたが演出はバリバリ怖いので近藤監督の次回作には期待したい。
最後に
本作は確かにジャンプスケアに頼ってないホラー映画で好みである。ジャンプスケアが少ないからこそ突然のジャンプスケアは輝く。「ノージャンプスケア」って触れ込みも「ジャンプスケアないんだ~」って観客を騙して怖がらせる手法としてうまいと思う。
でも実際に映画観た人が「ノージャンプスケアで凄かった~」って言っているのを見ると嘘だろ!!!???っなってそれが一番怖い。

