気がつけばSEOの仕事を29年もやっていたので毎年恒例の節目の投稿です。
SEO業界29年目になりました
正式にお仕事としてSEOを始めたのが1997年7月1日。この7月でSEO業界29年目となります。少なくともあと1年はがんばります。
世界を見渡すと 1995年、1996年からSEOやっているよという方が数名いらっしゃいます。1995年~1997年当時のSEOとは具体的に次のようなことをしていました。
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タイトル、メタディスクリプション、メタキーワードの最適化: サイトの内容を検索エンジンに正確に伝えるための基本でした。
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論理マークアップによるキーワードの重み付け調整:
$<h1>から<h6>タグを使い、キーワードの重要度を調整していました。 -
物理マークアップやフォントサイズ調整によるキーワードの重み付け調整:
<center>タグでの中央寄せ、<b>(ボールド)、<i>(イタリック)といったタグやフォントサイズで、キーワードを目立たせていました。当時はCSSがまだ普及していなかったため、このような方法が取られていました(※CSSがリリースされたのは1996年12月)。 -
キーワード出現頻度や密度の調整: 特定のキーワードをページ内に適切な頻度で含めることで、検索エンジンからの評価を高めようとしていました。
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検索エンジン別のランディングページの作成: Altavista、infoseek、Lycosなど、当時の検索エンジンはそれぞれ独自のアルゴリズムを持っていたため、それぞれの検索エンジンに合わせたページを作成する必要がありました。これは現在と最も異なる点と言えるでしょう。
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ディレクトリ型検索への登録・掲載: Yahoo!カテゴリやNTT新着情報、CSJインデックスといったディレクトリ型検索エンジンへの登録も重要な施策でした。
現在でも、タイトル要素や論理マークアップの重要性は変わりません。しかし、CSSの普及により物理マークアップやフォントサイズでの調整は不要になり、検索技術の進化によってキーワード出現頻度や密度の調整も不要になりました。にもかかわらず、2025年現在でも一部のSEO支援ツールが、いまだにキーワード密度の指標を使ってSEO難易度を計算しているのは、個人的には疑問に感じています。
「SEO業者選びの落とし穴」と「インハウスSEOの勘所」
昔の話はこれくらいにして、今回は2024年11月のWeb担当者Forumミーティング 2024 秋で講演した内容「Googleは絶対に教えてくれない 「SEO業者選びの落とし穴」と「インハウスSEOの勘所」について講演では語りきれなかった点を補足します*1。
前半は SEO業者の選び方に関するアドバイスや注意事項を、後半はインハウスSEO担当者に向けた業務の話をしました。
SEO業者の選び方(前半パート)
SEO業者選びはなぜ難しいのか?
本講演内で触れたとおり、SEO業者の選定は非常に難しいです。最近の業者は提案資料の品質がとてもよく、一通りのデータも揃っているし問題点も提示してくるし、解決までの道筋もわかりやすく説明してくれることが多いと感じます。一般の人より多少の知識や経験がある私の目で見てもストーリーが素晴らしいと感じるくらいですから、普通の人は納得して発注の意志決定をすることでしょう。
しかし、ここで発注してしまうと大抵失敗することになります。なぜでしょうか。
先に紹介したレポート記事にて論点がまとめられていますので興味のある方はそちらをお読みください。ここでは補足として「なぜ提案資料は素晴らしいのに契約後は上手くいかないケースがあるのか」について掘り下げていきます。
SEO業者が指摘する「課題」は本当に解決すべきなのか?
現在のSEO業者は、SEOのチェックリストを使って顧客の課題を洗い出し、提案に繋げることが少なくありません。このチェックリストとは、「タイトルにキーワードが入っているか」「パンくずリストがあるか」「ファーストビューに順位を上げたいキーワードがテキストで記述されているか」「サイトマップページが用意されているか」といった、SEOにおける一般的な着眼点やタスクを一覧化したものです。
このようなチェックリストによる診断・分析業務は、新卒1〜2年目でも対応可能です。そのため、業務のオペレーション化を進め、誰でも一定以上の成果を出せるようにしているSEO業者ほど、このチェックリストを積極的に活用しています。
提案を受ける側としては、具体的な課題を盛り込んだ提案のほうが刺さります。チェックリストで×になった項目をまとめてそれなりのデータを貼り付けてきれいな資料で説明できれば”それっぽい”提案ができます。
しかし、チェックリストで抽出される課題は、あくまで「一般的なSEOの課題」に過ぎません。あなたのサイトにとって、その課題を本当に解決する必要があるのかは、また別の話です。同時に、課題を指摘することと、その課題に対する具体的な解決策を提示する能力があるかどうかも、全く異なるスキルなのです。
「一般的な課題」と「あなたのサイトが解決すべき課題」を区別する重要性
例えば、あるサイトを診断してSEO上の課題が20個見つかったとします。この20個の中から、そのサイトの自然検索流入を増やすために最も大きなインパクトをもたらす数個の重要な施策を見抜き、選択する能力がSEOコンサルタントには求められます。さらに、その本当に重要な課題を、クライアントのビジネスやユーザー、サイト構造を考慮した上で、適切な方法で解決する能力も不可欠です。
しかし、SEO業者、特にチェックリストで課題を抽出することに長けている業者は、「解決しなくていい課題(優先順位が低い課題)」と「解決すべき課題(優先順位が高い課題)」を区別できないことが多々あります。そして、この両者を区別できない人や組織は、適切な解決方法を提示する能力も不足していることが多いのです。これが、提案プレゼンテーションは素晴らしいのに、契約後に不満が募る結果になる原因の一つだと私は考えています。
判断できないなら「発注しない」という選択も
話をまとめると、事業会社がSEOの外注を検討する際は、提案内容のストーリーや資料の見栄えに惑わされず、内容を慎重に精査してください。特に、提案時に指摘された「課題」が、本当に成果を出すために解決すべき課題なのか、それとも一般的には正しいけれどあなたの会社(サイト)では解決不要なのかを見極めることが重要です。
もし、この判断を社内で行える人材がいないのであれば、それができる知人や友人に相談するか、セカンドオピニオンとして別のSEO会社に意見を求めるなど、別の方法を検討することをおすすめします。社内で判断できず、周囲に相談できる人もいないのであれば、無理に発注しないという選択肢も非常に重要です。
後半のインハウスSEOに関するパートは、次の記事に続きます。
*1:講演終了後にあとで記載しようと先延ばしにしたら本日になってしまいました