半生の絆:張愛玲著のレビューです。

☞読書ポイント
感想・あらすじ
初めて読む作家だし、中国の小説だし.....と、事前に大まかな内容をつかんでから読み始めた。なにせ600頁を超える長編、読み切れるかな~と心配しました。が、あっという間に物語の世界にはまりました。さすが20世紀中国きっての恋愛小説の名手と言われているだけのことはあります。
とは言え、恋愛小説という甘いムードはほとんどなかったんです、これが。主人公の女性がいつか救われるといいなぁ~って思いながらずっと読み進めていたけど、中盤から拍車をかけるがごとく、不幸が押し寄せる。小説だから興味本位でどんどん読み進めてしまったけど、よくぞここまでどん底へと落とすものだなぁ~と、作者の残酷なストーリー展開におののく。
でも昔の中国社会はこんなことも結構あったのでしょう。本作は1930年代初めの上海が舞台。いわゆる職場恋愛であった曼楨と世鈞。互いに惹かれ合う様子が前半に描かれている。すぐにでも結婚するかと思いきや、互いの家族の経済的な事情などでなかなか先の見えない状況であった。それでも、会えば恋愛特有のキラキラした時間が確かにあった。
しかしそんな場面がまるで幻だったかのように話は暗転する。特に曼楨の姉の結婚により、様々な人々の心の中が見えて来て、やがて曼楨と世鈞は引き裂かれてしまうのだ。時間のすれ違い、誤解や気持ちのすれ違い、それはそれはもどかしい。そしてある事件をきっかけに曼楨はさらなる奈落の底へ追いやられるのだ。
時間はどんどん過ぎていき、二人が再会を果たせるのか?結末はどんな方向に行くのだろうか?ただただその行方を知りたくて、後半は祈るように読んでいた。ちょっとネタバレになるのだけど、(知りたくない方この先は読まないでくださいね。)
再会はたしかに出来たのです。14年後です。意外にも「その時」はあっさりとやって来た感じで描かれています。ずっと胸の中に抱いてきた再会の場面。でもそうなるよね....とある意味想像はしてた。それでもなにか期待もあった。でも、確実に時は流れていったのだ。

14年前の曼楨が世鈞に宛てた手紙の一文です。「嗚呼、あの頃はよかったなぁ~」と、物語の中の人じゃない私までもが振り返ってはため息をついてしまったのであります。
ということで久しぶりに、妬み、裏切り、酷い仕打ち。ドロドロ渦巻く人間ドラマの小説に出合いました。昔の昼ドラみたいな感じで、面白いには面白い。そして中国の家族観などもたっぷり見ることができました。やはり600頁もあると、かなり読みごたえがありますねぇ~。
