土佐堀川広岡浅子の生涯:古川智映子著のレビューです。
- 作者: 古川智映子
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2015/09/05
- メディア: 文庫
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家を守る覚悟が並大抵ではない!!!
ひさしぶりに「ごっつい女性」に出会ったなぁーと、まるで任侠映画を見て気持ちが大きくなった人・・・みたいに読後はなんだか自分も逞しくなった気分になりました。
女性にとって生きにくい時代だったから出現したのか?それとも100年に数度くらいの確率でこのように賢く潔い女性が生まれるのか?
いずれにしても、ここまでガッツのある女性は最近いないのではと思ったほど広川浅子という偉大な人であった。
17歳で大阪の両替商に嫁いだ浅子。旦那は甲斐性がなく家運は傾くばかり。
浅子は病弱であったにも関わらず、どうにかして家業を立て直そうと動き回る。
最初は頼りない夫に愛想尽かして自分が…的なものかなーと思っていたのですが、浅子はやがて持ち前の商才を発揮させ、みるみる話が大きくなっていく。
炭鉱・銀行・紡績・女子大・保険会社とあれよあれよと、様々な事業に踏み込んでゆく。家の利益から国益になることを視野に入れて動き出す、もちろん痛い失敗もあったけれども・・・。
何かあった時に誰に相談するか?この人選を上手く出来る人と出来ない人の差は大きいと私思う。
浅子はもちろん前者で、その時々によって人々のアドバイスを受けてきている。特に渋沢栄一氏との出合いは彼女が世に羽ばたくために必要だった人物だったのだと思う。
渋沢氏の話は、今の時代にも必要なもので、浅子だけでなく多くの読者に共感を与えるものではないだろうか。
働くことが何よりも好きな浅子。彼女のいいところは、例え家族であっても自分と同じように鞭を打ってでも「働け」と言わない奥ゆかしさがった。
夫はやはり何年経っても前に出てゆくタイプではないし、娘もどちらかというと家庭に収まりたいタイプだった。そんな彼らの性格を知っていた浅子は無理にあれこれ手伝わせるようなことはしなかった。
また、昔から浅子の世話役だった小藤と夫との間にいわば公認ともいえる子を生ませたこともアッパレ。これも広岡家の跡継ぎを考えてとのことだけど、いや、もうほんと家を守る覚悟が並大抵ではない。
とにかく休む間もなくあらゆることに取り組んでいく姿は見ている者の心を揺さぶり続けます。
歴史に埋もれていた女性実業家ということですが、こんな偉大な方が埋もれていたなんて!なにはともあれ、時代を切り開いて来た逞しい女性たちの話は本当に気持ちを太くしてくれるものがある。
ドラマの方は見ていませんが、話題になったからこそ出合えた一冊。誇りに思える日本女性がまた一人私の中で増えました。