加害者家族:鈴木伸元著のレビューです。
- 作者: 鈴木伸元
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/11/27
- メディア: 新書
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加害者家族の現状を知る
NHKのドキュメンタリー「クローズアップ現代」の番組取材を書籍化したものです。加害者家族という言葉、どこか他人事と思いこんでいたけれど、これは加害者=殺人 という図式が自分の中で出来上がっていてたから。これを交通事故に置き換えてみると、ぐっと身近なことに感じられ他人事ではないことにハッとさせられる。
被害者の家族の数だけ、加害者の家族が居る。
本書はその加害者の家族が身内の犯罪を機に、職を失い、家に住めなくなり、子供を転校させ、名字を変えるなど普通の生活が転げ落ちるように困難になる様子を取り上げている。
四六時中鳴りやまない電話、ネット上の個人情報の暴露等、想像を絶する内容が刻まれています。加害者家族とは、一緒に暮らしていた家族だけにとどまらずその痛ましい状況は親戚にまで及んでいく。この一見、関係のない人々を巻き込んで行くあたりが、より加害者家族を苦しめるものになっていくのです。
第二章では実例として大きな事件をたくさん取り上げその家族の顛末が載せてあります。
外国での加害者家族に対する人々の反応が日本と全く異なる驚くべきレポートもありました。ある事件の加害者少年の家族を「激励」する内容の手紙や電話が殺到したという。日本ではこのような例はほとんどないように思います。これが良いことか悪いことかは別として「問われるべきは僕ら一人ひとりなのです」と言う森達也さんの言葉が印象的であった。
加害者家族の方々の中には残念なことに、自殺をしてけじめをつける人も多い。そんな痛ましい家族の中で、母親の存在はやはり強い。死刑や無期懲役の判決が出ても、最後まで加害者を見捨てないのは母親だけという場合がほとんどだそうです。
最終的に加害者本人は、刑務所で外の世界からは守られてる形になるけどその家族を守ってくれる場所はほとんどない。この加害者家族に対してのケアはもっともっと必要である。
加害者家族の孤立感を知るのに大きな意味があったこの一冊。自分とは無縁では決してないと思うと同時に、一度は読んでおくと良い本であると思う。