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【レビュー・あらすじ・感想】あの人の台所道具 :台所育ち読書会

 

 

あの人の台所道具 :台所育ち読書会のレビューです。

 

 

作家の感性は、日々大事に使いこまれた道具たちとともに磨かれていく

 

幸田文、向田 邦子、武田百合子、森茉莉、石井好子、高峰秀子、宇野千代

 

こんなにも豪華メンバーのお話を一度に読めるということを誰が見逃しますか!
ツイッターで情報が流れて来た本書。この憧れでもある素敵な作家さんたちの名前のラインナップに鼻息が荒くなったのは私だけじゃないはずです(笑)

 

本書は、

・作る道具
・おそうじ道具
・食べる道具
・お気に入りの食材

の各章に分かれていて、各作家の作品と道具を関連づけながら、
紹介されています。

 

ぼんやり知ってはいるんだけど、使わないな・・・というような道具が多い。今はキッチン用品も便利なものが多く、効率よく作れる道具がたくさん売られているけど、そういう道具とは逆行したような道具たちがずらりと並ぶ。

 

実際、これらの道具を手に入れたとしても、使い方・お手入れの方法がよくわからない…ということで、専門家に教えてもらい使ってみるというのがこの本の試みなのだそうです。(今でも買えるのか?どこで買えるかなどのプチ情報も親切に掲載されています)

 

 

全体を通して感じられことは、これらの道具からは「威厳」というか、人間で言うと熟練した職人さんみたいな雰囲気がある。

 

「多くは語れませんが、よい音出します」「時間も手間もかかりますが、このやり方しか自分、知りません。不器用なんでね」

 

・・・なんて、どこか頑なで、プライドをもって仕事をしているというキリッとした佇まいを醸し出す道具たち。

 

包丁、鰹節削り器、おろし金、かき氷器、七輪・・・・どれもこれも、軽快なリズムが聞こえてきそうなものばかり。

 

つくづく思う。作家さんの感性は日々大事に使いこまれたこうした道具たちとともに磨かれてゆくのだろうな~と。

 

ただ単に料理をする道具という扱いではない。例えば幸田さんは夕食後、包丁をさらしにくるんでしまっていたそうです。そこまで丁寧に暮らしているからこそ、「台所のおと」をはじめ、素晴らしい作品が生まれたのだ・・・としみじみ思う。

 

さらしにくるむことは儀式のようでもあり、包丁を眺め、包丁と向き合う時間だったのでしょう。チャッチャッと洗って、サッとしまってしまうような生活からはきっと活きた小説は生まれない。

 

食べることも、使うことにもこだわりをもって生活する喜びに溢れ、
そこかしこに楽しいエピソードが添えられ、大変にぎやかな本でした。

 

小学生の私は、お櫃の上にノートをひろげ
国語の教科書を見ながら「桃太郎」の全文を写し取っている。 

               ─────向田邦子「あだ桜」より

 

子供の時分に、母や祖母の手伝いで
擂り鉢を押える役目をさせられた。  ─────向田邦子「いちじく」より

 

ぱぁーっと情景が浮かぶ向田さんのあったかい文章に久々に触れて心が和んだのもこの本のおかげだな。

 

【本書に出てくるもの一部抜粋】

柳刃庖丁、鯵切包丁、味噌漉し、朴のまな板、砥石、ムーラン、鳥のレモン絞り、
アイスクリーム製造器、押し鮨 木枠、 暮しの手帖ふきん、ペリカンピッチャー、
片口、香炉、鳴門若布、東坡肉の缶詰、すみれの砂糖漬け、リプトンの紅茶、
秩父の鉱泉水、ダイヤ氷、紅梅と新酒 

その他まだまだたっくさんありますよ!

 

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