プリズン・ガール―アメリカ女子刑務所での22か月:有村朋美著のレビューです。
- 作者: 有村朋美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/07/29
- メディア: 文庫
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感想:突然FBIに逮捕された!
こういう内容に対して言う感想としてはふさわしくないかもしれませんが、エキサイティングな内容でかなり楽しんでしまいました。
まずは著者の有村朋美さんのプロフィール
1977(昭和52)年東京生れ。高校卒業後、OL生活を経て、21歳の時に
アメリカ・ニューヨークに渡る。
現地にて麻薬密売組織に関与した疑いでFBIに逮捕され、
連邦女子刑務所で約2年間服役。
何かを求めて語学留学という形で日本を飛び出す女性はよくあるパターンです。そこで縁があってお付き合いした男性がロシアン・マフィア。あれ? えぇぇ?すでにこの辺から危ない橋を渡っているといった感じですが、恋しちゃったから歯止めがきかず、気づいたら日本人の恋人と別れてこの男性にのめり込んでしまったという。
そして、ある日突然、FBIからのお迎えが。麻薬密売組織への関与を疑われ、2年間、コネティカット州の連邦女子刑務所に収容されてしまったという転がるような展開。
…そんな前置きがあったのですが、本書は何と言ってもこの刑務所内での生活の一部始終が本当に驚きの連続で、どの話も全く飽きることなく読み続けられます。
日本の刑務所といえば、規律が厳しく、規則正しい生活といったイメージがあり、誰もが絶対に入りたくない場所。しかし、有村さんの居たアメリカの刑務所は、それに比べると「ここって本当に刑務所?」と思わされるシーンが結構あります。
一例ですが、起床時間が自由であったり、外からの入金や自分達で稼いだお金で買い物が出来たり、仕事がある程度選べたり、食事もまずまず…と結構な環境なんです。
有村さんも刑務所内でピアノの先生や日本語の先生などの仕事をしてお給料をもらっていましたし、逆に外より安定収入と言った感じで、家族に仕送りをしているなんてケースまで耳にすると、一体アメリカという国は…と、なんとも複雑な気分になります。
ここに登場する人々の個性と言ったら、どの人とってもドラマになると言うか…。人種も様々ですが、犯した犯罪も当然殺人から濡れ衣を着せられた因人、そして、何かの冗談かと思われる「懲役200年」の因人までいる世界なのです。
また、長い刑務所暮らしにでは、人間やはり「潤い」を求めるようで、自然にレズビアンカップルもたくさん見かけますし、オカマちゃんも居ます。嗚呼、ここは一体どこなのだろう…と、たびたび自分に問いかけたくなります。物騒な事件の話などがなければ、ちょっとした「女子寮」って感じなんです。
悲惨な状況もかなりあったとは思うのですが、有村さんが日本人だったことや、彼女の持つ性格が周りと上手く調和できたことによりみんなに可愛がられ、友情を育めたのでしょう。
本書最後の方で出所後について書かれています。「刑務所を出さえすれば、きっと幸せになれる。」と何度も刑務所で願ったこの言葉。
しかし、実際、強制送還で家族も友達も、家も仕事もない場所に一人放り出されたという、アメリカで育った韓国人女性。彼女にとっては、刑務所を出てからが本当の試練だったという話は印象的だった。
有村さんは幸い、ご家族の元に戻れた幸せなパターンですが、みんながみんなそうじゃないということを最後に考えさせられました。有村さんが刑務所に入ってしまったことについてはなんの同情もないです。
こういう本を楽しんで読んでしまうことに良いものかと戸惑いもあったのですが、ひとつの読み物として捉えた場合、とにかく笑いあり、涙ありの女性達のミュージカルでも観ているような面白さがあったことは否めません。
「面白い、けど、複雑」読んでいる時は夢中だったけど、読後はやはり考えてしまったという1冊。