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【レビュー・あらすじ・感想】流転の薔薇:加藤元

 

 

 流転の薔薇:加藤元著のレビューです。

 

 

感想 心がかじかむ。薄ら寒いものが付き纏う重い小説

寒いよ、寒い。ぴゅーぴゅー心の中に北風が吹き荒れる。

嗚呼、なんて薄ら寒くなるような小説だったのだろう。心がかじかんだ。

 

いわゆる銀幕女優の生涯を丁寧に綴った内容。主人公の女性は平坦な道を歩いたわけではなく、生い立ちも複雑であるがゆえの面白さがある。

 

当然そうなると関わる人々も多く、多くなればそれだけ問題も起こるわけでまさに波乱万丈の人生に一喜一憂。

 

やがて主人公がどんどん老いてゆき、一人、また一人とこの世から去ってゆく時間の流れになんだか追い込まれるような淋しさが襲う。

 

極めつけは終章。各人の墓誌が表記されている。一人の一人の名前と享年を追っていきながら、思い出を振り返ることになる。

 

それはたとえ小説だと分かっていても、一族とともに過ごした日々を思い起こすような時間になり、なんとも言えない気持ちになった。

 

 

と、思い切り読後の感想のみをペラペラ喋ってしまいましたが、あらすじをざっとご紹介。

 

場末の芸者の子として生まれた千鶴。母親と二人で暮らしていたが、やがて金持ちの父親に引き取られることになる。父には妻と息子、娘がいる。中でも千鶴と同じ年の鈴子は会ったその日から仲良くなり、千鶴の生涯において深い運命を感じさせられる人物となる。実母と貧しい暮らしをしていた時と違い、萩尾家では不自由なく生活は出来たが・・・。千鶴はやがて女優の道に進むことになる。

 

萩尾家の異母兄弟との関係、女優の世界、愛憎劇、成り上がってゆく過程、金銭トラブル、没落して行く萩原家、実母の登場、時代の変化等々・・・人間の嫌らしい部分が剥き出される内容に「あらやだ、なんだかんだ言ってどドロドロ劇に溺れているわ、わたし・・」と、呑み込まれながらも例によって昼ドラ的に楽しんでいたという。

 

華やかな世界の裏にある現実の世界。最後まで鈴子の存在が彼女にとってどういうものであったのか掴み切れないものがあり、私にはとても薄ら寒いものが付きまとった。

 

とにもかくにも一代記なるものは読む前に覚悟が必要だなぁと。途中まではしゃいで読んでいたけれど、見る見る重くなってゆき、ラストを迎えるころには、冒頭記した通り心がかじかんだ。

 

・・・それでも、こういう小説は止められない哀しい性よ。

 

 

 

 




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