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『猿の見る夢』レビュー|「因果応報」を期待しながら読むスリル

 

 

 

  • 作者:桐野 夏生
  • 発売日: 2016/08/09
  • メディア: 単行本
 

☞読書ポイント 

浅はかな男の行動を、まるで“家政婦は見た”の気分でじっと観察するように読み進める一冊。桐野夏生らしい人間の欲望と愚かさがじわじわと露わになり、「いつか天罰が下るぞ!」と心の中でつぶやきながらページをめくるスリルがたまらない。登場人物の視点に寄り添うよりも、むしろ一歩引いた“観察者”として読むことで、この物語の毒と面白さがより鮮明に立ち上がる。果たしてこの男は「愛おしい男」なのだろか?

 

 

 桐野夏生さんの他の作品はこちら

 

感想・あらすじ

これまでの桐野さんの作風とひと味違うファミリーものの小説です。愛人やら会社の秘書やらあちこちに浮ついた気持ちをまき散らしている主人公の男。

 

この男がかなり調子に乗っている状態からスタートする話に「いつか天罰が下るがいい」と、ちょっと意地悪目線での読書となる。

 

定年目前になにかと懲りない男・薄井。
大手一流銀行出身の彼は、アパレル会社に出向し、会社を著しく成長させたという功績を持つ。常務のポジションも見えて来た。

 

プライベートでは10年来の愛人がいて、妻にバレていないことをいいことに、いそいそ愛人宅へ通い、都合のよい関係を続けている。愛人にはケチだと思われているのがなんとも滑稽。

 

家庭の方は子供たちも成人し、いずれは息子夫婦と二世帯住宅でも・・・と考えている。薄井の実家は二百坪のお屋敷で、ゆくゆくはそちらに家を建てようと勝手に計画。母親の面倒は妹夫婦にまかせっきりであるにもかかわらず、母の相続で遺産入ったら・・・と、身勝手さも甚だしい。

 

・・・とそこそこ順調な薄井。
このまま行けば予定通りの老後が待っているはずだった。しかし、そんな生活や計画が少しずつ少しずつ崩れはじめる。

 

きっかけのひとつは会社の社長のセクハラ事件。
もうひとつは妻が自宅に連れて来た怪しい女・長峰の存在。

 

長峰は占いまがいのことが出来、妻が信じている一方、薄井はインチキ商売だと信じていない。やがて彼自身も長峰に興味を持つようになるのだが・・・・。

 

 

 

ふふふ、
とにかく後半は面白いくらい薄井はあたふたすることになる。

 

母親の葬式に愛人が現れたり、相続問題で妹夫婦とトラブル続き、妻には浮気がバレ、愛人には別れを告げられ・・・と、桐野さん、この男を手際よくみるみる奈落の底へと導いてゆくのです。

 

それは男が手に入れて来たものを女性たちがひとつずつ奪ってゆくような凄さ。最後に来てボッコボコにされたといった雰囲気。失う時はあっと言う間です。

 

とは言えね、
わたしはなんだかこの男、ずっと懲りないような気がするんです。
いずれはまた女性に惚れて、痛い目にあって、また惚れて・・・。
そんな類の男性だと思うのです。もう哀しい病気ですな(笑)

 

これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生

 

読後に桐野さんのこの言葉を目にしました。
「そうなの?」と、思わず苦笑したけれど分からなくもない(笑)

 

結構なボリュームがあったはずなんだけど、気づいたら終わっていた。なんてことのない話なんだけど、やけに面白かったなぁ。気分は「家政婦は見た!」感覚で。そして、そんなにたくさん登場したわけではないけれど、長峰の存在は大きかった。

 

10年後の薄井がどうなっているか?
夢のお告げをぜひ聞いてみたいんですけど、彼女はいま何処に?

文庫本




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