戦争とおはぎとグリンピース :西日本新聞社のレビューです。
- 発売日: 2016/05/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
600字という短い話から見えてくる敗戦後の女性たちの姿、日本の姿
本書は 西日本新聞社で60年以上も続く女性投稿欄「赤皿」から誕生した一冊。敗戦後の女性たちの悲喜こもごもが綴られる。
600字という制限があるので、どの話も短いのですが、それが逆に「戦争」という痛みをくっきりと浮かび上がらせ、読む人の心に痛いほど響てくる。
敗戦9年後の日本。全体を通して感じたのは、家族一緒に食卓を囲めるという幸せを
あらためて感じる人々の姿がなによりも印象的であった。
まだまだ豊かな食生活ではなかったけれども、自分が作った料理を子供たちに食べさせられる喜びを噛みしめる女性たちの姿。
逆に、戦死した息子に好物だったおはぎを存分に食べさせてあげられなかったことが何年たってもこみあげてくるという母親。
南方から帰国船が戻ってくるたびに、おはぎを胸に抱えてかけつけては、また持ち帰るという日々を過ごす。この話からは無念とやるせなさが胸を突く。
子を先に亡くしてしまった親の寂寥感。残された者が抱える悲しみ。どんなに時間が流れても、遺族の心の中にはあの頃の子供の姿が生き続けている。
女性たち42の話は十人十色ですが、多くの女性たちは文章の締めくくりに「平和」への願いを訴えている。
もう二度と自分たちが通った道をたどらなくてすむように・・・と。そんなたくさんの願いを胸に刻みながら読み終えました。