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【レビュー・あらすじ・感想】記憶の小瓶:高楼方子

 

 

 記憶の小瓶:高楼方子著のレビューです。

 

 

感想;物語に出てくる素敵な大人たちは・・・

 

素敵な児童書を書かれている高楼さんの子供時代の思い出を綴ったエッセイ。3歳から8歳まで官舎で過ごしたという記憶を辿って飛び出してくる話は、驚くほど鮮明なもので、単純にその記憶力に唸る。

 

「生まれてこようとするときのこと、ほんのちょっと覚えている」とおっしゃるほど、高楼さんの記憶力はすごいのだ。

 

さてさて、高楼さんの物語と言えば、魅力的な登場人物が多いのですが、とりわけ大人の女性たちにチャーミングな人々が多い。

 

なのできっと高楼さんの幼少時代は、そうういう大人たちが身近にいらしたのではないかと、エッセイでそのあたりをぜひ確認したいという気持ちもあり、注目していた。で、さっそく先生をはじめ大人の女性たちが登場してきたのだが・・・。

 

あれれ??どうも想像しているような大人たちの姿が見当たらない。ものすごく意外な展開にテンションが上がってしまいました(笑)

「このバカッタレーッ!ともだちなんか連れてきやがって
 何考えてんだよ―っ!バカヤローかぁ、おまえはーっ!」

高楼さんがお友だちの家へ行ったら、お友だちのお母さんがこんな風に怒鳴ったらしい。

また小学校の担任の先生は、大口を開けて欠伸をしたり、ぽりぽり鼻をほじったりするのも平気なうえに、法螺話を聞かせて、いたずらに子どもを動揺させては満足げに、歯を出してケケケケと笑う人だったという。

 

なんと!
高楼さんの物語に出て来る素敵な大人たちと異なるタイプじゃないですか。そのギャップに思わず感動を覚えた!

 

この法螺話をする先生の作り話は、確かに毒がありシュールなもので、子どもにはちょっと強烈すぎるかもしれないけど、こんな話をする先生、これはこれで不思議な魅力を感じてしまいました。

 

物語の素敵な大人たちとは違ったけれど、こういう黒い記憶もきっとものを書くときのスパイスになっているのだろうなーと、妙に納得です。

 

 

さまざまな話から、自分の幼少期の記憶を呼び覚ます

 

友だちの前で平気で怒鳴るお母さん。ケケケケと笑うちょっと変わった先生。叱られて外に出されて泣きわめく子ども。ドブに落ちる子ども。道路に転がる動物の死体。
昔はこんな風景、結構あったものだ。

人の幼少期の話は、自分の幼少期の記憶を

呼び覚まします。

冒頭に書かれていた言葉。まさに遠い昔のざわめきや匂いがどこからともなく感じられる一冊でありました。

 

そうそう、書き忘れたけれど「空想の果て」というエッセイが好きです。「デパートの子どもになる」って空想、私もしていました。これは読んでいて、思わず立ち上がってしまうほど、大人になってもわくわくする空想なのですわ。ふふふっ。




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