わたしたちの帽子:高楼方子著のレビューです。
- 作者:高楼 方子
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 単行本
知らない建物のなかは好奇心を掻き立てられる
高楼方子さんの物語はちょっと古い建物の中で起こる不思議なことが特長的だ。
その謎解きが、どの作品も非常に楽しい時間を提供してくれています。
春休み中に家の改装をすることになったサキは、古い建物でしばらく生活することになった。建物のなかはちょっと入り組んでいて、階段や廊下が妙な具合につながっている。そこでサキは不思議な女の子・育ちゃんに出会う。彼女もここの住人らしいが、実態は解らず、存在自体なんとなくフワフワしているのだ。
育ちゃんは丸いスカートを履き、色々な布が縫い合わされた帽子をかぶっている。その帽子はなんと、部屋に置いてあったたんすの中からサキが見つけた帽子と同じ。ふたりはこのビルを冒険するときにはいつもこの帽子をかぶって出かけるのです。
過去と現在が交差するとき
この冒険で遭遇するモグラのおじさん(山本晋也監督似)とか、猫の事務所とか、ビル内は不思議感がいっぱいなのですが、なんといってもこのビルのことを知りつくしている育ちゃんも不思議な存在として、読者を引き付けていきます。
育ちゃんと一緒にいる時に感じる何か・・・・。懐かしいような・・・そんな気持ちになるのはなぜだろう。それは過去と現在が交差したとき、魔法がとけたようにマイルドな世界が広がります。
お母さんが留守中に、ちょっと出かけちゃえ!おとなには告げないで過ごす私と友達だけの秘密の時間。そんなわくわくした気持ちと、ちょっとした後ろめたさ。こういう時間が一番楽しかったりするんだなぁ~。
ぱたぽんぱたぽん わたしのぼうし
ぱたぽんぱたぽん あなたのぼうし
おはながさいてる はっぱがゆれる
わたしたちのぼうし ぱたぽんぽん
あ、ドアの向こうから聞こえるあの歌。ふたりの女の子がうたう歌は、今も昔も一緒だな。