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【レビュー・あらすじ・感想】鳥たち:よしもとばなな

 

 

鳥たち:よしもとばななのレビューです。

 

 

感想:親を失ってからもつづく子どもたちの生活

 

年に数回、ばななさんの小説を読んでいるけれど、「あ~このなんともいえない切ない感じがばななさんの世界」と、ここ最近すごく感じるようになった。それとともに、すごくスピリチュアルな部分もばななさんの作品には多いことに気づく。今回もあのパワースポットとして有名な「セドナ」が登場し、そこで共同生活していた2つの家族の話が綴られている。

 

「まこ」と「嵯峨」。ふたりは幼くして家族を失っている。親を失ったふたりは日本に戻り、まこは学校へ通い、嵯峨はパン作りを仕事にして、お互い身よりのないもの同士
支え合っての生活がはじまる。アリゾナでの生活を振り返りながら、ふたりは未来へ向けての生活をしている。

 

親の病死や自殺、幼かったふたりが経験してきたことはあまりに痛ましい。こどもを置いて自殺しちゃうなんて、無責任すぎるって読んでいて思ってしまうわけだけど、この無責任な大人たちの「弱さや繊細さ」にそれほど嫌悪感を持たなかったのは一体なんなんだろう。

 

タイトルに感化されているのか、この親子を見ていると鳥の巣立ちのシーンを想像させられる。あるところまで大切に寄り添って生きているけど、羽が生え、飛べるようになったら親の存在は薄くなる。けど、羽ばたいてゆくひな鳥を見守る親鳥の気配はずーっと感じられる。この本に出てくる親子関係はそんな動物的なものを感じる。

 

 

何気ない言葉から感じられる「死」と「痛み」

 

また話の流れで「死」についても、ぽつりぽつりと語られる。その言葉にはっとさせられる。例えば、

生きている母が朝着ていた服と死んだ母の着ていた服は
全く違わないのに、なんで中身は朝と晩ではすっかり
違ってしまったんだろう。

当たり前のことなんだけど、なにか心に突き刺さってくる。こういう何気ないことが自然に語られているので、思わずサラッと読んでしまうわけだけど、気になり戻ってみると、なんともずっしりくる文章が存在したりする。そこかしこに死者との対話が行間から感じられるような、そんなばななさんの世界。静かにゆっくり語りかけ続ける空間と時間に引き込まれてしまう。

 

このふたりの子供が新しい家族を作り、失ってばかりじゃなく、大地に根をしっかり張って生きていけるように・・・・と、思わす祈ってしまった小説でした。

 




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