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AIに必要なインフラやハードウェアが足りない?

これまで、ITトレンドではソフトウェアの話題を中心に紹介してきました。しかし、最近インフラやハードウェアにも注目すべき大きな変化が起きています。
たとえば、2025年の年末にかけて注目された変化として、メモリ価格の高騰があります。生成AIやLLMの需要増がメモリや高性能GPUの需要を押し上げ、価格変動に影響を与えた要因の1つと考えられます。その他、AIの普及がインフラにも影響を与えています。何が起きているのか、4つの不足を取り上げ、その概要を紹介します。

電力不足

コンピューターが電気で動いていることは誰もが認識していますが、その消費電力をどのパソコンのどのパーツが占めているかを考えてみましょう。

たとえば、キーボードやマウスは電池でも動くことから、それほど電力を消費しないことは想像できるでしょう。また、メモリやストレージ(SSDやハードディスク)も、比較的電力の消費量は少ないパーツです。

一方で、CPUやGPU、ディスプレイは多くの電力を消費します。実際、ノートパソコンなどを使っているとき、動画編集のような高度な処理をするとバッテリーが持たない、という印象を持っている人は多いでしょう。そして、ディスプレイの明るさを抑えると、バッテリーが長持ちすると感じる人も多いものです。

 

これをさらに大きな視点で考えてみます。私たちがインターネットで通信をしているときに必ず利用しているデータセンターなどでは、主にCPUやGPUが使われています。そして、最近注目されているAIでは、さらに複雑な処理を実行するため、CPUやGPUをたくさん動かす必要があり、いままで以上に消費電力が多くなっています。

IEA(国際エネルギー機関)の調査によると、世界の電力消費量は近年最も速いペースで増加しているとされており、データセンターもその一因となっています。発電量も増加しているため増分はカバーされているものの、一部地域では電力供給やピーク負荷の課題が指摘されており、対策が議論されています。

冷却能力不足

パソコンやスマホを使っていて、複雑な処理をしていると本体が熱くなっていると感じた経験がある人は多いでしょう。これは、CPUやGPUが処理をするときに、熱を発することを意味します。

当然、パソコンだけでなくデータセンターにあるサーバーでも同じです。AIを使う人が増えれば増えるほど、データセンターにあるサーバーの発熱も増加します。温度が上がると処理性能が低下するため、冷却は必須です。

つまり、計算のために消費する電力が増えるだけでなく、冷却するための電力も必要で、効率よく冷却する技術も求められています。データセンターが寒い地域に建設されることが多いのも、冷却にかかる電力を減らすことが目的です。エアコンなど空調による冷却は効率の面で限界に近づきつつあるため、水などの液体を使った冷却方法も注目されています。このため、水不足も懸念されています。

そこで、データセンターから出た熱エネルギーの暖房としての利用や、冷却に使った水の循環などの仕組みなどが考えられています。AIによるエネルギー消費を最適化するために、AIを使って熱設計の効率化や電源効率の見直しなども考えられているのはなかなか面白いものです。

いずれにしても継続して対策の実施が必要で、冷却能力不足は今後も注目されていくでしょう。

メモリ不足

生成AIではGPUが注目されることが多いですが、それと合わせて必要なのがメモリです。LLM(大規模言語モデル)を手元のパソコンで動作させようと考えたとき、大きな問題になるのがメモリなのです。

たとえば、コミュニティや一部の組織が公開しているオープンソースの大規模言語モデルとして、「gpt-oss-20b」や「gpt-oss-120b」があります。これらを動作させようとすると、「gpt-oss-20b」は最低でも16GBのメモリが必要で、24GB以上が推奨されています。また、「gpt-oss-120b」では128GB以上のメモリが推奨されています。

ここで単に「メモリ」と言っても大きく分けて2種類が存在します。それは、GPUのVRAM(GPU上のメモリ)とシステムのRAM(ホストメモリ)です。いずれにしても一般の利用者が使っているパソコンに搭載されているメモリでは、動作させることはできても応答に時間がかかることが多いものです。もちろん、モデル並列化や量子化(8-bit, 4-bitなど)、スパース化、オフロードなどの手法があり、パラメータ数の多いモデルを少ないメモリで動かす技術はあるものの、結果的にクラウド上のサーバーで動作させることが多くなっています。

そして、このようなサービスを提供する企業は、当然のことながらより多くのメモリが必要で、世界中でメモリの需要が高まっています。さらに、半導体を生産する工場でも、利益率の高いAI向けの半導体の生産に集中することもあり、2025年にパソコン向けのメモリ価格が急騰してしまったのです。


出典:PCPARTPICKERによるメモリ価格のトレンド(DDR4-3600 2x8GBの場合)

ストレージ不足

不足しているのはメモリだけではありません。AIの学習には膨大なデータを保存するためのストレージが必要で、大容量のデータを保存できるハードディスクは欠かせません。世の中のパソコンなどではSSDが使われるようになっていますが、費用面を考えると、ハードディスクが必要な場面はまだまだあります。

そんな中、ハードディスクを生産している企業は寡占状態にあります。つまり、少ない企業で世界中のハードディスクを生産しており、需要が増えても生産能力が急増することはありません。しかも、世の中ではSSDへの移行が進んでいることから、長期的に見ると生産が増える見込みはありません。

SSDの価格の下落が進めばハードディスクからの移行も考えられますが、上記のようにメモリ価格も高騰している中、SSDの価格が下がることは考えにくいものです。結果として、AIの開発に必要なコストが下がることは見込めず、今後私たちが支払うAIの利用料に跳ね返ってくることが想定されるのです。

まとめ

インフラやハードウェアの不足は、AIの普及だけでなく、サプライチェーンの問題や生産調整、半導体サイクルなどもあります。しかし、AIの普及や利用拡大によって私たちの生活にもコスト面などでさまざまな影響が出てきています。今後もこういった流れが続く可能性があるため、便利なソフトウェアとして使うだけでなく、社会的な影響にも注目してみてください。

【筆者】増井 敏克さん
増井技術士事務所代表。技術士(情報工学部門)。情報処理技術者試験にも多数合格。ビジネス数学検定1級。「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピューターを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や、各種ソフトウェアの開発、データ分析などを行う。著書に『Pythonではじめるアルゴリズム入門』『図解まるわかり プログラミングのしくみ』『「技術書」の読書術 達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック』(翔泳社)、最新刊の『実務で役立つ ログの教科書』(翔泳社)がある。

※本記事に記載されている会社名、製品名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。
※本稿に記載されている情報は2025年12月時点のものです。

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