大阪大学は9月23日、血液培養で検出されるBacillus subtilis(B. subtilis)の大部分が、遺伝子解析により納豆菌(B. subtilis var. natto)由来であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大感染症総合教育研究拠点(CiDER)・大阪大学大学院医学系研究科の佐田竜一寄附講座准教授と天理よろづ相談所病院の研究グループによるもの。研究成果は、「Open Forum Infectious Diseases」にオンライン掲載されている。

納豆は健康効果が高い食品として知られる一方、納豆菌が血流感染の原因となる症例も報告されている。しかし、通常の培養検査ではB. subtilisから納豆菌を分類するには遺伝子解析が必要なため、実際に納豆菌が血流感染を引き起こす割合やその臨床的な重症度については、十分に解明されていなかった。研究グループは、血液培養陽性検体を対象に遺伝子解析を実施し、その実態を調査した。
同研究では、天理よろづ相談所病院で2016年から2023年に得られた血液培養陽性検体4,634例を対象に解析を実施した。このうちB. subtilisが検出された70株に対して遺伝子検査を行ったところ、69株(99%)が納豆菌由来と判定された。
さらに診療録のレビューに基づき検討した結果、納豆菌が検出された69例のうち25例(36%)が「真の菌血症」であった。この25例における予後を調査したところ、30日以内の死亡が4例(16%)、緊急手術や内視鏡処置を要した症例が7例(28%)に上ることが確認された。この結果から、血液培養で本菌が検出された場合、単なるコンタミネーション(混入)として片付けられない臨床的意義があることが示された。
同研究は、血液培養から検出されるB. subtilisの大部分が納豆菌であり、それが重篤な感染症の原因になり得ることを定量的に示したものである。この知見は、臨床現場における適切な診断と治療選択に寄与すると考えられる。
「血液培養でB. subtilisが検出された場合は納豆菌を想起し、『害のない菌の混入』と決めつけず、感染源の検索や重症度評価を行い、必要な抗菌薬治療や手術、内視鏡的治療につなげることが重要だと考えられる」と、研究グループは述べている。
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・大阪大学 プレスリリース