藤田医科大学は3月3日、免疫系細胞の異常が皮膚の老化を促進する新たなメカニズムを解明したと発表した。この研究は、日本メナード化粧品株式会社と、同大応用細胞再生医学講座および皮膚科学講座との共同研究によるもの。研究成果は、「Experimental dermatology」のオンライン版に掲載されている。

正常な細胞は、紫外線などのダメージを受けることで老化し、正常に機能を発揮できないだけでなく、SASP因子と呼ばれる、組織を傷害する炎症性サイトカインやコラーゲン分解酵素などを周囲に分泌することが知られている。近年の研究から、加齢に伴ってこのような老化細胞が体内に蓄積していくことが明らかになっており、その結果、組織が慢性的な炎症状態に陥り、老化がさらに加速すると考えられている。そのため、近年では老化細胞を特異的に除去する薬剤の開発が進められている。
本来、このような老化細胞は、免疫細胞の一種である「マクロファージ」によって除去されている。また、過度な炎症を抑制するために、「制御性T細胞(Treg)」と呼ばれる免疫細胞が働き、慢性炎症が生じないように調整されていることが知られている。このように生体には、老化細胞を除去するとともに炎症を抑えることで、老化の進行を防ぐ抗老化の仕組みが備わっている。
しかし、実際には加齢により老化細胞が蓄積し、慢性的な炎症が生じることが確認されている。そこでグループは今回、免疫系細胞の働きに着目し、加齢による皮膚の慢性炎症および老化細胞の蓄積に、どのように関与しているのかについて詳細に解析を行った。
老化を加速させる慢性炎症を抑制する役割を担うTregについて、皮膚における加齢変化を解析したところ、加齢に伴い、慢性炎症因子であるIL-17を分泌する異常なTregの割合が増加することを確認した。
さらに、TregがIL-17を分泌する異常な状態へと変化する原因について検討した結果、老化細胞から分泌されるSASP因子である炎症性サイトカインIL-1βとIL-6が、TregにおけるIL-17の分泌を促進させることが明らかになった。
次に、異常なTregから分泌されるIL-17について詳細に解析した結果、IL-17がマクロファージによる老化細胞の除去機能に影響を及ぼすことが明らかになった。
皮膚の真皮では、マクロファージが細胞死を誘導する因子を分泌し、老化細胞を死滅させ、除去していることがわかっている。そこで同研究では、このマクロファージによる細胞死誘導に対するIL-17の影響について調べた。
その結果、IL-17に曝露された老化細胞は、マクロファージによる細胞死誘導に対して抵抗性を持つようになることがわかった。
今回の研究で、皮膚においてTregの異常により老化細胞の除去が抑制されることで、老化細胞が蓄積し、皮膚の老化が促進することが明らかになった。
これまでに研究グループは、真皮ではマクロファージが老化細胞を除去する役割を担っていることを明らかにしていた。今回の研究では、本来は炎症を抑制する働きを持つTregが、加齢に伴って慢性炎症因子の一種であるIL-17を分泌する細胞に変化し、そのIL-17の影響により、マクロファージによる老化細胞の除去機能が抑制されることを確認した。その結果、老化細胞が皮膚に蓄積し、慢性的な炎症が誘導され、組織の老化がさらに促進されると考えられた。
「これらの知見から、TregによるIL-17の分泌を制御することで、老化細胞の除去を正常化し、皮膚の老化予防につながると期待される」と、研究グループは述べている。
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・藤田医科大学 プレスリリース