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水タバコは「煙を水にくぐらせると有害成分がなくなる」などの誤情報も広まっている

筑波大学は3月2日、水タバコ(シーシャ、フーカーなどとも呼ばれる)は短時間、屋外や屋内の周囲での使用でも一酸化炭素中毒症例があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学医療系の村木功教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「JMA Journal」に掲載されている。


画像はリリースより
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水タバコは、中世末期ごろの中東に起源を持つとされる特徴的な喫煙方法。専用の器具を使い、フレーバーと呼ばれる香料などを混ぜた半ペースト状のタバコ葉を炭火で加熱し、発生した煙を水にくぐらせてから吸い込む。紙巻きたばこは、1本を5分程度で吸い、45分~1時間間隔で繰り返し喫煙するのに対し、水タバコは30分~2時間程度かけて、ゆっくり喫煙するのが特徴だ。

煙を水に通したとしても、水に溶けにくいタバコの有害成分は減ることがなく、水に溶けやすい有害成分もゼロにはならない。結果として、水タバコの一連の使用では紙巻たばこ数本~十数本の喫煙と同じ量の有害成分にさらされる。しかし、水タバコは、甘みのある添加物や香料、低い煙の温度から吸いやすく感じること、煙を水にくぐらせることで有害成分がなくなるとの誤った情報が広まっていることから、その有害性への正しい理解は妨げられやすいのも特徴だ。

どのような環境や方法での水タバコ使用でCO中毒が起こりやすいのかは不明だった

水タバコに特徴的な問題として、炭の不完全燃焼により無味無臭の一酸化炭素(CO)が大量に発生する点がある。煙と一緒に吸入された大量のCOは、酸素を運ぶ赤血球のヘモグロビンと強力に結びつき、酸素を運べなくするため、全身が酸欠状態に陥る。これが急性CO中毒と呼ばれる状態である。急性CO中毒は、重症になると死に至ることが多く、一旦は回復しても、数週間後に記憶障害や運動障害などの脳の障害が現れることもある非常に危険な状態である。

欧米では2000年代初頭より水タバコが広がり始めており、米国では流行とともに、水タバコに関連する中毒の救急搬送が増えたとの報告もある。日本国内でも2018年頃から水タバコへの関心が急速に高まっている。東京23区のうち目黒区、品川区、渋谷区の南西部3区を管轄する東京消防庁第三消防方面本部からの報告では、水タバコ使用に関連した急性CO中毒による救急搬送事例が2018年1月~2023年6月までの66か月間に64例(月1件程度発生)確認され、20歳代の若者がその8割以上を占めたとされている。

日本国内においても、水タバコに関連した中毒が今後ますます増えることが懸念されるが、どのような環境や方法で水タバコを使用した人がCO中毒を起こしているのかは十分に整理されていなかった。そこで、標準的な方法により世界中の水タバコに関連するCO中毒の症例報告を系統的に収集して、急性CO中毒および多血症(慢性CO中毒)の症例の特徴を使用方法や使用環境の観点から整理した。

急性CO中毒68例の内訳は単独発生41例/複数人使用の同時発生23人など

今回の研究では、論文選定、データ抽出において生成AIを用いた点を除き、系統的レビューの標準的な方法で行った。6つの学術データベース(海外:Medline, Web of Science, PubMed, CINAHL;国内:医中誌Web, CiNii)を対象に、「水タバコ」+(「一酸化炭素中毒」または「多血症」)を検索ワードとして2025年2月までに掲載された論文を検索した。学会報告は記載情報が少ないため、除外した。検索にヒットした論文から適切な論文を、1. タイトル、抄録内容によるスクリーニング、2. スクリーニング選定論文の全文確認による確定、の2段階で、研究者本人と生成AIにより選定した。

その結果、水タバコに関連した急性CO中毒68例と多血症(慢性CO中毒)13例が見つかった。急性CO中毒68例のうち、使用者の単独発生が41例、複数人での使用による複数症例の同時発生が23人(最大12人が屋内で同時発生)、非使用者と水タバコ店従業員での発生がそれぞれ2人だった。

急性CO中毒の症状で最も多かったのは失神53%、次いで頭痛、だるさ、吐き気など

水タバコに関連する急性CO中毒の症状で最も多かったのは失神(53%)であった。水タバコによる急性CO中毒では、それ以外による急性CO中毒と比べて失神が多いとする救急外来受診者での報告と同様であった。そして、頭痛(50%)、だるさ(44%)、吐き気・嘔吐(38%)、脱力(15%)と続いた。急性CO中毒にはさまざまな症状が出る特徴があり、ふるえ、視覚障害、けいれんなどの症状も報告されていた。また、突然の失神や脱力による転倒・転落で生じた外傷(7%)も報告されていた。

症状は、使用後に遅れて出た症例や1時間未満で出た症例も多い

症状発現時期の情報がある33例では、水タバコ使用中(9例、27.3%)、使用直後(16例、48.5%)、使用場所を離れてから(8例、24.2%)と、使用後に遅れて発症した症例も多く報告されていた。水タバコ使用時間の情報がある33例の内訳は、1時間未満(6例、18.2%)、1時間以上~2時間未満(8例、24.2%)、2時間以上~3時間未満(4例、12.1%)、3時間以上(11例、33.3%)となり、1時間未満と短い使用時間での症例も報告されていた。

屋外使用で出た症例も1割以上、多血症の多くは高頻度での水タバコ使用者

使用場所の情報がある39例のうち、屋内使用(非使用者の屋内曝露を含む)が32例(82.1%)と大部分を占めるが、7例(17.9%)は屋外での使用症例であった。日常的な使用状況や発症前の使用状況についての情報を記載した報告はほとんどなかった。多血症(慢性CO中毒)の症例は13例と数が少なく、詳細な検討はできないが、水タバコを毎日使用している人が12人(残り1人は2日に1回)と、高頻度での水タバコ使用となっていた。

なお、症例報告では、珍しい症例であるために報告されることが多くある。そのため、同集計結果が水タバコ使用により発生しているCO中毒症例全体の内訳を反映しているとは限らない点に注意して、解釈することが必要だ。

CO中毒を完全に防ぐ水タバコの使用方法がないことを認識することが重要

今回の研究から、水タバコの短時間使用や屋外使用、屋内における周囲での使用のようなCO中毒を発生しにくいと考えられる状況でも、CO中毒が発生し得ることが確認された。東京消防庁第三消防方面本部の救急搬送事例の3分の1程度は、1時間以内の水タバコ使用であったこととも一致している。

「これらの結果は、CO中毒を絶対に避けられるような水タバコの使用方法がないと考えた方がよいことを示唆している。水タバコを提供する側も使用する側もその危険性を十分に理解すること、そして、特に屋内での使用においてはCO中毒の集団発生の危険性も高いことから、COモニタの設置や定期的な換気などの十分な対策を講じることが重要だ」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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