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全国2番目開設の「コロナ・アフターケア外来」、後遺症長期化の課題も

岡山大学は2月18日、同大病院総合内科・総合診療科の「コロナ・アフターケア外来」における5年間の診療実績とコロナ後遺症の実態を発表した。この研究は、同大学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らの研究グループによるもの。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

同大病院の「コロナ・アフターケア外来」は、2021年2月15日に国内の総合病院として全国で2番目に開設され、今年で5年を迎えた。当時は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期流行の最中であり、後遺症の全体像は不透明で、診療現場も手探りの状況であった。この間、同外来では診療チームで約1,300人の患者の診療にあたり、臨床データの蓄積と病態解明に向けた研究を並行して進めた。

開設から5年が経過した現在までの症例の蓄積を通じて、症状の特徴や経過、治療の方向性などについて一定の知見が得られてきたが、長期化するケースも見られるため、県外の後遺症診療施設とも診療ネットワークを通じた情報交換を継続している。今回、開設5年を節目として、これまでの診療実績と5年間で見えてきたコロナ後遺症の実像を取りまとめた。

同外来受診者の約8割がオミクロン株期、その94%が感染時は軽症

コロナ後遺症(罹患後症状)は、新型コロナウイルス感染症の発症から通常3か月、少なくとも2か月持続する症状があり、他の診断では説明できない場合に診断される。倦怠感など日常生活に支障を及ぼす症状があり、感染して回復後に発症することもあれば、病初期から持続することもあり、症状は経過とともに変動し再発することもある。

コロナ後遺症の受診患者数とその背景は以下の通りである。
・延べ受診者数:約1,300人(2026年1月末現在)※公表データは1,225人で集計
・性別内訳:男性46%、女性54%
・年齢層:30~50代58%、40代が22%で最多
・居住地:岡山県内を中心に、近隣県(兵庫・広島・香川県)を含む全国20都府県
・罹患時期(変異株流行期)別:従来株期(2021年2月~7月上旬)120人(10%)、デルタ株期(2021年7月中旬~10月)140人(11%)、オミクロン株期(2022年1月~現在)965人(79%)
・コロナ感染時の重症度:従来株期は軽症63%・中等症以上37%、デルタ株期は軽症68%・中等症以上32%、オミクロン株期は軽症94%・中等症以上6%(ほとんどが軽症)

最も多い症状は全身倦怠感、オミクロン株の感染ではブレインフォグが増加

主な症状とその割合については、倦怠感を中心とした自覚症状が多く、複数の症状を伴う場合が多いのが特徴である。最も多いのは全身倦怠感で、コロナ後遺症患者の62%が訴えていた。次に頭痛(22%)、睡眠障害(20%)と続き、嗅覚障害・味覚障害は、デルタ株期の感染による後遺症で増加していた。またブレインフォグは約3分の1の患者に認め、特にオミクロン株期の感染者で増加した。

POTSや更年期障害など、後遺症に関連する多様な病態と臨床的特徴に注目

後遺症が起こるメカニズム・リスク因子については、新型コロナウイルス感染後の免疫応答の持続とストレス応答障害が、症状の発生や持続に関与する可能性が考えられる。持続的な炎症、ウイルスの残存や再活性化、腸内細菌叢の異常、自己免疫現象、自律神経・ホルモン分泌の異常などが後遺症の発生に関与していることが報告されている。また、後遺症になりやすいリスクとして、女性・中高年、肥満、喫煙、併存疾患(うつ病、喘息、腎不全、糖尿病、免疫抑制など)、感染急性期の重症化、ワクチン非接種などが挙げられている。

研究グループはコロナ後遺症に関連する特徴的な病態として、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)、体位性頻脈症候群(POTS)、更年期障害、内分泌機能の障害や栄養素の欠乏との関連に注目して研究を進め、以下のような臨床上の特徴を見出した。
・コロナ後遺症患者の約8%が、ME/CFSの診断となる倦怠感を呈することがわかった。
・立ちくらみなどの症状から起立試験を行うと、約40%にPOTSの病態が認められた。
・女性患者の約20%に月経異常があり、オミクロン株期のコロナ感染で増加していた。
・男性ホルモンが低下する男性更年期症状の若い患者が、デルタ株期の感染で増加した。
・ストレス時に必要な下垂体・副腎皮質ホルモンの分泌が、約20%の患者で低下していた。
・コロナ後遺症では、亜鉛やビタミンDなど栄養素の低下を伴いやすいことがわかった。
・ブレインフォグのある後遺症患者では、血清補体価や酸化ストレス指標の上昇を認めた。

漢方と西洋薬を併用した対症療法が中心、他疾患の鑑別診断の必要性も示唆

治療法については、現状ではコロナ後遺症に特異的な特効薬はない。同外来では症状に応じた薬物療法が中心で、対症療法として倦怠感には漢方薬(補中益気湯など)、倦怠感に伴う頭痛・不眠・動悸などの各症状には西洋薬を用いる。処方全体の約3分の1が漢方薬、残り3分の2が西洋薬で、併用して治療を行っている。

約20%の後遺症患者で、他の診療科(耳鼻咽喉科・皮膚科・精神科神経科など)とも連携した集学的な対応が必要であった。睡眠や休息、栄養指導や精神面でのサポートを含む包括的なアプローチと、リハビリテーション・言語聴覚士を含めた多職種での協力体制が重要といえる。一方で、後遺症外来を受診した患者の中で、約7%にCOVID-19に関連しない新たな疾患も発見された。特に高齢患者で発見率が高く(60歳以上で約16%)、後遺症の診断において、十分な鑑別診断の必要性も示唆された。

回復まで平均314日、長期化による雇用への影響と社会的支援の重要性

予後については、多くの症状は時間経過とともに改善傾向を示すが、2~3年と長期間持続する場合がある。約7割の患者が、後遺症外来を受診後、約半年経過したところで快方へ向かうが、治療終了となった682人(56%)の患者でも、発症から回復まで平均314日を要しており、現在通院中の369人(30%)では、発症から現在まで平均929日と長期間が経過していた。また、オミクロン株期より前に感染した後遺症の通院患者は、1割未満にまで減少した。

長期化する例は、症状が3つ以上と多数の症状を伴う場合、抑うつ症状や肉体的・精神的疲労が大きい場合であった。早期介入と生活調整、心理社会的支援が回復に有効であると考えられた。社会的視点では、患者の過半数(54%)において休職・退職などの雇用の変化があり、雇用に影響した患者の64%において収入の減少を認め、生活の質(QOL)低下や抑うつ症状の悪化が見られた。労災保険・傷病手当・障害年金などの社会的サポートについても、患者ごとに医療ソーシャルワーカー(MSW)とも連携して相談・支援することが大切であるとした。

5類移行後も後遺症患者は持続、包括的に支える診療体制づくりを推進

新型コロナ感染症は、感染症法上の位置付けが2023年5月8日に「5類」に引き下げられたが、依然として感染の流行には波があり、後遺症も感染者の数とともに変動し、今後も一定数の患者が存在し続けると考えられる。

「総合内科・総合診療科では、引き続き診療データの蓄積と解析を進め、病態解明と治療の質向上を目指す。また、地域医療機関や多職種との連携を強化し、患者の医療的・社会的課題を包括的に支える体制づくりを推進する。総合診療医の専門性を生かし、研究と臨床を結びつけながら、持続可能なコロナ後遺症診療モデルの確立に取り組んでいく」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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