2021年に聴いた楽曲で個人的に特に好きな作品を10曲選びました。
今の自分は音楽に点数や順位を付けることに懐疑的なので、ランキングではなく五十音順で紹介しています。
また日本語以外がネイティブではない自分は、日本語詞以外の歌モノは正当に評価できないと最近は思っているので、今回は邦楽だけの紹介です。
ミーハーでポップでキャッチーな音楽が好きなので、マニアックな作品は選んでいません。
- おっさん / 岡崎体育
- 異星人と熱帯夜 / Cody・Lee(李)
- 2020DIARY / 斉藤和義
- 流れ弾 / 櫻坂46
- あいつら全員同窓会 / ずっと真夜中でいいのに
- 大好物 / スピッツ
- LET'S MUSIC / Sexy Zone
- ベテルギウス / 優里
- 惑星 / roomania
- fever / Laura day romance
- まとめ
おっさん / 岡崎体育
岡崎体育『おっさん』は、新しい視点の応援歌に思う。
自分の力ではどうすることができない時の流れの残酷さと、自分が積み重ねてきたものが無意味になっていく過程を冷静に歌っている。悲観的で切ない内容だ。
しかしそんな感情と葛藤した結果”おっさんになった自分”を受け入れて、おっさんとして前に進むことを決意した歌でもある。
他人に向けて歌っている楽曲ではない。「素敵に歳をとりましょう」ではなく「素敵に歳を取りたい」なのだ。あくまで歌の主人公が自分自身に向けて歌っていて、自身を鼓舞させる表現になっている。
それなのに聴き手は応援歌として受け取ってしまう。主人公の感情の動きが多くの多くの人が抱える問題や悩みと重なる部分が多くて、そこに共感することで自らも力をもらえることが理由だろう。「歳をとることは素晴らしい」と楽観的になるのではなく、学んでいくという主人公の姿勢に感動するのだ。
歌詞だけでなくトラックも素晴らしい。
サウンドは華やかなストリングスが印象的でキラキラしている。それは歌詞の悲観的な部分を音楽で笑い飛ばしているように聴こえるし、前向きなメッセージをより力強くする手助けをしているようにも感じる。
またリズムも細かく変化していたりと、工夫がされている。岡崎体育のトラックメイカーとしての才能を感じる楽曲でもある。
ところで『おっさん』に感動し共感してしまう自分も、おっさんになったということなのだろうか......?
異星人と熱帯夜 / Cody・Lee(李)
Cody・Lee (李)はフジファブリックから大きな影響を受けている。曲や演奏を聴けばそれははっきりと伝わってくる。影響を受けすぎて似ているとすら思うことだってある。
メンバー自ら影響を受けたことを公言しているし、ボーカルギターの高橋響は自身のツイッターアカウントで「フジファブリックに似ていると言われるのは嬉しい」ともツイートしていた。
しかしフジファブリックのパクリというわけでもない。フジファブリックよりも劣っているわけでもない。Cody・Lee (李)にしか存在しない個性も、しっかりと持っている。
その個性は作品を出すごとに洗練されている。『異星人と熱帯夜』では、フジファブリック『銀河』のオマージュに感じる歌詞のフレーズがあるものの、Cody・Lee (李)だからこその個性や魅力を完璧に作り上げた。
高橋と尾崎リノの男女ツインボーカルは以前に増して使い分けが絶妙になり、まるでヒップホップユニットのように掛け合いながら入れ替わるボーカルは、楽曲の魅力を最大限に引き出している。ここまでしっかりとした掛け合いをしていたのは、彼らにとって『異星人と熱帯夜』は初めてだろう。このツインボーカルは彼らの大きな強みだ。
楽曲の構成が変則的なのも面白い。サビ→Aメロ→Bメロ→サビで1番が終わり、2番も同じ流れになるかと思いきや、ポエトリーリーディング風のツインボーカルの掛け合いからイントロになる。そして最後にサビになり盛り上げるという展開である。
つまりサビ以外のフレーズやメロディは1度しか登場しなのだ。複雑で先の読めない曲展開なのにサビは頭に残るという、不思議で複雑な楽曲構成になっている。これが『異星人と熱帯夜』が優れた楽曲になっている大きな要素に思う。
これからさらに個性と実力に磨きをかけて、2022年は大きく飛躍するバンドになる予感がする。
2020DIARY / 斉藤和義
斉藤和義がコロナ禍が始まった2020年に感じたことを、そのまま歌にした楽曲。まさに「DIARY」といえるような内容である。
この曲はレビューなどする必要がないだろう。説明すら不要かもしれない。ただただ聴いて感じて考えて欲しいと思う。だからこの曲の紹介もレビューも手短にしようと思う。
自分はこの曲を聴いて、何度も心にドサっと重い物が乗っかる感覚になった。そして様々なことを考えた。。
この曲を聴いても何も感じなくなる日常に、早く戻って欲しい。
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流れ弾 / 櫻坂46
メジャーのアイドルソングは、アイドルの歌を目立たせることが大切だ。それを目的として作曲編曲されることが多い。
櫻坂46『流れ弾』もやはりメンバーの歌が主役で、それを引き立てようとする作曲編曲である。音量のバランスもボーカルの音量が大きくなっており、低音域が削られた所謂”秋元康サウンド”になっている。
しかしよくよくトラックを聴くと、ものすごく凝っていて細部まで作り込まれていることがわかる。
まずベースライン。特にAメロは複雑で個性的なフレーズになっている。エレキギターもそうだ。リズミカルではあるが変わったタイミグでカッティングし、面白いフレーズを弾いている。通常のポップスでは珍しい変態プレイが目白押しなのだ。
もしかしたら低音がゴリゴリで演奏の音量が大きかったら、歌を邪魔していたかもしれない。それがボーカルの目立つ音量バランスだったことが功をなして、歌と演奏が相乗効果で両者が魅力的になっているのかもしれない。
歌詞やボーカルのディレクションなど、個人的には「うーん」と思ってしまう部分はある。しかしそれを差し引いてもサウンドに魅力を感じた。
今でもアイドルソングをバカにする音楽ファンはいる。特に秋元康が関わっているアイドルは、音楽ファンから偏見の目で見られがちではある。
その偏見を取り払って一度聞いて欲しい。実はめちゃくちゃ作り込まれているアイドルソングも存在することに気づくはずだから。
あいつら全員同窓会 / ずっと真夜中でいいのに
『あいつら全員同窓会』はヒップホップとして扱っても間違いではないと思ってしまった。
ひたすらに固い韻を踏み続けるAメロとBメロ。リズムを乗りこなすように歌うACAね。歌としてメロディはあるものの、聴いていて感じる心地良さはヒップホップに近い。
ヒゲダンが人気を集めて以降は韻を固く丁寧に踏むポップスは増えている。ドラムやベースだけでなく、歌によってリズム表現をしている楽曲がトレンドになっている。
ずとまよにもそのような方向性の楽曲が、過去にもいくつかあった。それを今作ではさらに洗練させ、進化させたように感じる。
使われるフレーズは意味よりも響きを重視していて言葉遊び感はあるが、その全ての言葉が聴いたことないような組み合わせなので、新鮮で耳に残る。心地よさと刺激が共存している。
そしてサビでは〈どうでもいいから置いてった あいつら全員同窓会〉と、韻をあえて踏んでいない箇所があることも注目したい。
以前J-WAVEの『
まさに『あいつら全員同窓会』のサビは、硬い韻が続いた中に一瞬だけある「余白」であり、それによって楽曲が魅力的になる重要な要素となっている。やはりヒップホップと通ずるものがある。
ACAねの滑舌が良くて、どれだけ斬新な言葉を使っても似た言葉で韻を踏んでも、しっかり言葉を聴き取れることも強みだ。その部分では彼女の歌唱もラッパーと通ずるものがある。
しかしこの曲はヒップホップではない。それが個性となっている。ジャンルレスに様々な音楽を吸収しているからこそ生まれた、ずとまよの新しい代表曲であり名曲に思う。当然ながら演奏もハイレベルで作り込まれていて最高。
大好物 / スピッツ
「挑戦」と「揺るがない個性」。この2つをスピッツは『大好物』で取り入れているように感じる。
この楽曲は1980年代のシンセポップを彷彿とさせる、シンセサイザーのリフから始まる。このリフは最初から最後まで楽曲のいたるところで流れている。そのリフに合わせてメンバーが演奏していると感じるほどに印象に残る。シンセサイザーのリフを軸に演奏を構築したのかもしれない。
。『渚』のようなダンスミュージックと溶け合わせることを目的の一つとしたであろう楽曲を除けば、シンセサイザーのリフから始まることは珍しい。
アルバム『見っけ』ではシンセサイザーや打ち込みの音を使ったロックサウンドが多かった。おそらく『見っけ』以降だからこそ生まれた、バンドにとっての新しいアイデアに思う。
しかしスピッツにしかならせないロックサウンドは変わらない。シンセの裏でなる歪んだギターや美しいアルペジオ、メロディアスなベースや力強いドラムは、聴いた瞬間にスピッツだとわかる個性と貫禄がある。ロックバンドとしてカッコイイ演奏を、この曲でもしっかり聴かせてくれるのだ。
それなのにメロディや歌詞には可愛らしさもある。〈君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き〉というサビの歌詞なんて可愛らしさの塊だし、〈つまようじ〉というワードを50代男性が歌詞に使っていると考えたら愛しさしかない。
カッコよさとかわいさが共存してギャップを生み出すこともスピッツの魅力であり、『大好物』が個性的な名曲になっている理由に思う。自分はそんなスピッツの音楽が大好物である。
LET'S MUSIC / Sexy Zone
2021年は『RIGHT NEXT TO YOU』がバズり多くの音楽ファンに衝撃を与え、今のSexy Zoneが音楽的に挑戦的でハイクオリティであることが伝わった年だと思う。
もちろんライネクは素晴らしい曲だし自分も大好きではあるが、個人的には『LET'S MUSIC』を推したい。
セクゾの音楽的魅力は歌謡曲やJ-POPをベースとして様々なジャンルを組み合わせて、そこにユーモアとメンバーの個性が加わえることで、唯一無二の音楽を作ることだ。
その点では『LET'S MUSIC』には、まさにセクゾにしかない個性がある。歌謡曲を感じるメロディとJPOP的なキャッチーさと斬新さとメンバーの魅力が、しっかりと組み合わさり混ざり合っている。
J-Pop? Jazz? R&B? Hip-Hop?House? Rock'n Roll? Dub-Step?Trap?Love Ballad?Tonight's the night!Let's go!
Bメロの歌詞は様々なジャンルを取り入れたSexy Zoneという音楽について、説明していると感じてしまう。そして曲や歌唱によってその説明に説得力を持たせていると感じる。
詳細な感想は過去に記事を書いたので、そちらを読んで欲しい。
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ベテルギウス / 優里
これは売れるのは当然だろうな、と思った。
優里は過去の楽曲も含めて、全曲メロディが良い。若手シンガーソングライターの中では、センスがずば抜けたメロディメイカーに思う。こんなキャッチーで耳から離れないメロディをかけるならば、多くの人を魅了するのも納得だ。
『ベテルギウス』もメロディが良い。新たな代表曲になるほどのバズを巻き起こしている。
この曲はサビのメロディが印象的に感じさせるための工夫がされている。
例えば1番のAメロの〈繋いでいく〉という歌詞とBメロの〈ぶつかりあって〉という歌詞。これはサビの〈ベテルギウス〉というフレーズと抑揚の付け方が近いメロディである。
ブロックの違うメロディや演奏の流れの中に、サビで使われるキラーフレーズと似たメロディが歌全体に散りばめられているのだ。
そのためサビが耳に馴染みやすいし、印象に残りやすい仕掛けとなっている。だから「メロディが良い」と感じてキャッチーで魅力的な音楽に感じるのだ。しかし同じメロディではないので、サビを聴いた時に新鮮さも残っている。計算なのか偶然なのかはわからないが、かなり作り込まれたメロディに思う。
さらに言うとBメロで〈何十回 何百回〉と韻を踏むフレーズがあるかと思えば、サビでは〈見つけあって 手操りあって〉と韻を踏んでいる。同じ仕組みのメロディが複数の箇所に組み込まれているのだ。これもキャッチーに感じる仕掛けだろう。
これぞJ-POPのお手本と言えるような、キャッチーさに振り切った楽曲だ。
惑星 / roomania
静岡生まれJ-POP育ち。弱そうな奴はだいたい友達な自分は、roomania『惑星』のような曲を聴くと、理由も理屈も後回しにして純粋に「好き//////」と思ってしまう。
変わったことや斬新なことをやっている曲ではない。ただただ良いメロディと切ない歌詞美声ボーカルと心地よい演奏で表現している楽曲だ。いわゆる王道J-POPである。
そんな王道だからこそ、普遍的で時代にとらわれない楽曲になっている。だから刺激はなくても安心感があるし、すっと胸に沁み入ってくる。
おそらく歌を最も魅力的に聴かせることを重要視したのだろう。そのためか演奏は脇役に徹して、歌を主役として引き立てているように思う。
だからAメロの〈足りないものが溢れた涙と一緒に〉という詩的かつ具体的な行動も表現した歌詞が、はっきりと頭の中に状況も感情も想像できる。サビの〈くだらない日々が重なって輝いたことも〉という、日常の何気ない瞬間を切り取った歌詞にも自然と共感できる。これは歌が主役だからこそ、歌詞のメッセージが頭と心に一聴しただけで入ってくるのだ。
かといって演奏は手を抜いているかというと、そんなことはない。
例えば映画は脚本や監督や主演が素晴らしくても、脇役がダメでは良い作品にはならない。それと同じで音楽も楽曲や歌が最高だとしても、演奏がグダグダでは駄曲になってしまう。
roomania『惑星』は演奏が脇役として最高の音を鳴らしている。派手なフレーズは弾いていないが、丁寧に音が演奏されているし音色も繊細で作り込まれている。だからリスナーに「良い曲」だと思わせてくれる。
まだ知名度が低いバンドだが、もっと多くに人に拡がるポテンシャルは持っているはずだ。注目されるきっかけを、なんとか掴んで欲しい。
fever / Laura day romance
「どの部分を切り取っても最高でしょ?」とバンド側から音で話しかけられているような気持ちになった。
Laura day romance『fever』は、Aメロ→Bメロの流れを2回繰り返してからサビになる。3分弱の楽曲なのに、最初のサビが始まるまで2分以上かかっている。これほどまでにサビが始まるまで時間がかかる曲は、最近では珍しい。
定額配信が主流になった現代は、イントロも削ってサビを早く聴かせることがトレンドである。そうでなければ、すぐに再生を止められてしまうからだ。
つまり『fever』はトレンドと真逆のことをやっているのだ。サブスクで聴かれることを考えたら、デメリットが大きい曲構成になっている。
しかし聴き始めたら自然と最後まで気持ちよく聴いてしまう。あっという間に曲を聴き終えてしまう。そんな求心力がこの曲にはある。
イントロもAメロもBメロも、サビに負けないぐらいにキャッチーだ。どこを切り取っても美しくて耳に残る素晴らしいメロディだ。だからトレンドを意識する必要はなく、バンドとして表現したいら形や楽曲として最も魅力的になる構成を重要視したのだろう。
だから「どの部分を切り取っても最高でしょ?」とバンド側から音で話しかけていると思ったのだ。AメロもBメロもサビも良いものが作れているし、それを表現する歌と演奏も素晴らしい。
トレンドなんて気にしなくていい。それでも時代に遅れを取らない良い音楽は作れる。そんなことを証明するような名曲だ
まとめ
・おっさん / 岡崎体育
・異星人と熱帯夜 / Cody・Lee(李)
・Diary2020 / 斉藤和義
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