「MOVE」をテーマにしたエビ中のコンセプトライブ
私立恵比寿中学のライブが始まる直前。開演前なのに拍手が巻き起こった。
先日加入した新メンバーの3人へ向けた拍手だ。関係者席へ向かう姿をファンに気づかれ、温かな拍手が贈られたのだ。名前と出席番号が書かれたレッスン着で登場したので、ファンへのサプライズを含んでいたのかもしれない。
自分の座席は2階席通路の前。すぐ目の前を彼女たちが通って席へ向かった。
「うわあ......やべえ......かわいい/////」
隣の席のお兄さんが小さな声でつぶやいていた。感染症対策で声出しは禁止だが、思わず声が出てしまったのだろう。気持ちはわかる。
お兄さんは水色のペンライトをライブ中に振っていた。リュックにはりったんのぬいぐるみキーホルダーを付けていた。中山莉子を推しているのだろう。新メンバーに推し変しないか心配だ。

私立恵比寿中学 Concept Live ~MOVE~。動きをフィーチャーした特殊なコンセプトのワンマンライブ。
新メンバーを見てしまったことで、ライブ開始前からテンションが大きくMOVEした。隣のお兄さんは関係者席へ向けて手を振るMOVEをしていた。
前半
ステージには薄い透過スクリーンが張られていた。そこにグループロゴが映されている。いつもと違うライブであることを、開演前から示している。
やはりライブの始まり方もいつもと違った。SEの『~ebiture~』が流れると、中学の教室をイメージした映像や歌詞、現体制になってからのライブ映像がスクリーンに映し出される。いつもと違う迫力ある映像からのライブスタートで、テンションが大きくMOVEする。
1曲目の『あたしきっと無限ルーパー』は透過スクリーンごしにパフォーマンスされた。オープニング映像と同様に、スクリーンいっぱいに映像が映る中で歌い踊りMOVEするメンバー。
映像演出というよりも、映像とコラボレーションしていると言った方が正しい。それほどにエビ中の魅力が映像で引き立っていたし、エビ中によって映像が魅力的に感じた。
「MOVE」というコンセプトから考えるに「動き」を観せて魅せるライブと思いきや、ここからは生身でぶつかってくるような熱いパフォーマンスが続く。
透過スクリーンが落とされメンバーの姿がはっきり見えた瞬間に、真山りかが「大宮!盛り上がっていくぞ!」と叫び『CHAN-CHARA-CHAN』が始まる。
激しいダンスでMOVEするメンバー。ファンもペンライトをMOVEさせる。
激しいMOVEはまだまだ続く。『HOT UP!!!』では「そんなもんでいいのかよ!?もっと熱い気持ちを届けろ!」と柏木ひなたが叫び、「とことん踊れ!」と星名美怜が煽る。『シンガロン・シンガソン』では客席が一体感ある振りコピで一つになる。
メンバーがいつも以上に「動き」で表現するコンセプトライブかと思っていたが、ファンがいつも以上に動くライブでもあった。「MOVE」には様々な意味が込められているのだ。
中山莉子「最初からMOVEって感じがすごい出てる!」
星名美怜「MOVEって感じ、伝わってますか!?」
小林歌穂「もっともっとMOVEしていくので、わたしたちのMOVEを体感してください!」
中学生らしさを感じる語彙力のMCで、ファンを動揺させ感情をMOVEさせるエビ中。自己紹介を挟みパフォーマンスが再開。
薄暗い照明に照らさる中で披露した『曇天』ではコンテンポラリーダンスのように、メンバーそれぞれが別の動きをして楽曲の世界観を表現する。『全力☆ランナー』ではダイナミックなダンスで魅せるパフォーマンスをする。
メンバーのダンスが印象的で、それに引き込まれる。ここではダンスというMOVEを見せる意図があったようだ。
エビ中は魂までもMOVEさせる。それを強く感じたのは『自由へ道連れ』だ。
いつもよりもアザトカワイイ言い方で「道連れしちゃうぞ♡」のセリフを言う柏木ひなた。
その瞬間、会場にいるオタクは全員堕ちてしまい、柏木ひなたの元へオタクの魂がMOVEしていった。隣の中山推しのお兄さんも、ひなたに魂をMOVEさせられた。
後半
「クイズぴったんこ!」と言って突然のクイズが始まった時、客席は動揺で心がMOVEした。
真山りかと柏木ひなたがお題に対して、お互いの答えを合わせるという内容である。
「犬の種類と言えば?」「田中と言えば?」「好きな色は?」と3つのクイズが出されたものの、好きな色しか答えが揃わなかった。それに動揺し心がMOVEする真山とひなた。
そんな動揺のMOVEは、パフォーマンスが再開すれば興奮のMOVEに変わる。
次に披露されたのは『藍色のMonday』。しかしいつもと違う。星名美怜と小林歌穂、中山莉子の3人がユニットとしてパフォーマンスしたのだ。
華やかな衣装に着替えた3人。楽曲の世界観をキュートに表現する。
隣の中山推しのお兄さんは、興奮し激しくペンライトをMOVEさせる。自分の視界をお兄さんの水色のペンライトが遮る。
少しだけ迷惑ではなるが、この感覚はコロナ禍になってからわすれていたものだ。迷惑な行動なのに愛おしさすら感じる。「ごめん」て謝られなくても、争いも戦争もせずに許してあげよう。
続く真山りかと柏木ひなたは2人で『日進月歩』をクールに歌い踊る。。 グループ内でも特に歌唱力が高い2人。彼女たちの歌の凄みを特に実感できる
グループの曲をユニットで歌うことは初めてだ。楽曲の表現方法やスタイルも今回のためにMOVEしている。
再び5人でのパフォーマンスが『PLAYBACK』で再開。壮大かつ打ち込みのリズムが心地よいダンスチューンを、繊細なダンスで表現する。
ユニット曲以降はヘッドセットマイクを使っていたため、両手が空いていた。そのためダンスに注力したMOVEが続く。
『PLAYBACK』が終わると、メンバーのダンスソロで曲を繋ぐ。エビ中は歌唱力が評価されることが多いアイドルグループだが、ダンスのキレも素晴らしい。
今回のライブでダンスの魅力的を再認識した曲がある。『愛のレンタル』だ。
自分は繊細な表現や色気を感じる歌声が魅力の曲だと思っていた。しかしキレのあるダンスソロからの流れでパフォーマンスを観ると、メンバーのダンスが魅力的だと気づく。
スタンドマイクを使ってパフォーマンスを行うため、そのため両手がフリーになる。より自由で魅力的なダンス表現ができる。それに改めて気づいたのだ。
続く『Lon de Don』ではメンバーが振り付けを指導し、客席も一緒に踊ってMOVEした。
柏木「手をLの形にしてください。これはサビの歌詞に出てくる国の最初のアルファベットですけれど」
中山「ロサンゼルス?ロシア?」
真山「ルーマニア?」
柏木「ロシアとルーマニアはRじゃない?」
振り付け指導の最中に、リアル中学生と同レベルな知識を披露するエビ中。ほっこりし口角が上にMOVEし笑顔になる客席。
ちなみにサビに出てくるのは「ロンドン」である。LかRかの違いだけでなく、ロンドンが国の名前でないことにも気づいてほしい。
知識はリアル中学生レベルでも、パフォーマンスは中学生にはできないレベルである。ファンも巻き込み踊らせることで、多幸感に満ちた空気を創り出す。
中山「おはよー!」
小林「莉子!もう朝ごはんできてるよ!」
中山「この匂いは…...!パクチー!」
音源にもある『Lon de Don』の台詞をアレンジして、次の曲へ繋げる。もちろん披露されたのは『パクチー』。朝ごはんがパクチーとはエキセントリックすぎて、ちょっちきびしー。
カオスな歌詞で以前はトンチキソングとして扱われていた楽曲だが、今のエビ中がパフォーマンスすると、クールなダンスナンバーになってしまう。キレのあるダンスと複雑な歌割りが、メンバーの高いパフォーマンス力と相性が良い。
この進化を見てしまうと、出来る子と努力の子が揃ったグループだと実感してしまう。
『バタフライエフェクト』でさらに激しくMOVEして盛り上げ『イエローライト』で感動的な景色を創り上げる。
クライマックスに感じるライブ展開だが、まだまだライブは続く。まだまだ新しい一面を観せてくれる。
「ここからエビ中のゆったりとした曲をお楽しみください」と話してから始まった『シングルTONEでお願い』では、メンバーが椅子に座りキャンドルの火を付け、動きを抑えた状態で歌った。
「みんなは好きにして」と言う星名美怜の投げやり発言にもめげず、ファンも全員座って聴いた。
「動き」をテーマにしたライブで、あえて動かない時間を作る。動作と静止の対比を作る。それによって動く時はパフォーマンスの迫力が活き、静止した時は歌声の魅力を引き立つ。
コンセプトをより魅力的に伝えるために、MOVEしないパフォーマンスも必要なのだ。
「動き」の部分で最も魅力的なMOVEだったのは『参枚目のタフガキ』だ。
Underworldも色々な意味でビックリしそうなゴリゴリのダンスナンバー。そんなリズムに合わせMOVEし踊るメンバー。
ステージセットに乗りパフォーマンスをしていたが、そのステージセットが土台ごと動きMOVEする演出に、ファンは興奮でMOVEする。
メンバーの歌声はMOVEというよりもGROOVEと言った感じ。その迫力にファンは興奮し心臓の鼓動がMOVEする。
ここまで最高のMOVEを伝えてくれたエビ中。しかしライブはメンバーだけでは創れない。スタッフの協力だけでも足りない。ファンの力も必要だ。
「この曲は会場のみんなとニコ生で見てくれるみんなで作り上げたいので、サイリウムを置いてもらえませんか?その代わり大きな音でクラップしてほしいです」
メンバーの言葉に応じペンライトの光を落とすファン。エビ中のライブは基本的にファンはペンライトを持って、メンバーを応援しながら楽しむ。客席が真っ暗になることは初めてかもしれない。
光はなくなった。その代わり大きなクラップが会場に響く。自分が知る限り、エビ中のライブ史上、最も大きな音で鳴らされている。
クラップの音に合わせて『ジャンプ』が始まる。これが最後の曲だ。
「私たちは1人では飛べません。でもみんながいれば高く飛べると信じています。もっとみんなの力で高いところに行きたいです」
真山が想いを語る。クラップの音はさらに大きくなる。そして歌が始まる。
物凄く魂のこもった、感情的な歌声だった。それに負けないぐらいにファンのクラップにも、想いが込められていた。
MOVEには「動く」という意味だけでなく「感動させる」という意味もある。
『ジャンプ』のパフォーマンスは普段と比べ、特別に動き回っているわけではなかった。その代わり普段と比べ、特別に想いを込めて歌い踊っていた。
それに特別に感動した。MOVEというコンセプト通りに、感動的なライブを創りあげていた。
これからもファミリーのみんながいるから前に進んでいけると思いました。前に進んでいって大丈夫だと背中を押してもらえました。
今は5人でのパフォーマンスですが、これから人数も増えます。8人でのパフォーマンスになると思いますが、気持ちは9人です
星名美怜の最後の挨拶に、先ほどのクラップと同じぐらいに大きな拍手が響き渡る。
「動き」をコンセプトにしたライブではあったが、エビ中にとって永遠に動かないものもある。
それはアイドルであることへの誇りと、音楽へのこだわりや自信と、ファンへの想いだ。これに関しては永遠に動くことはなく、変わらないないだろう。きっとメンバーが増えてもきっと変わらない。
そしてここにいるエビ中ファミリーのメンバーやグループに対する想いも、きっと動くことなく変わらない。
MOVEをテーマにしたライブを見たからこそ、逆に揺るがないエビ中の凄さや魅力を再認識するライブになった。またもやエビ中に感動というMOVEを与えられてしまった。
しかし関係者席に向かう新メンバーを見て「うわあ......やべえ......かわいい/////」と言っていた中山推しのお兄さんは、気持ちがMOVEして新メンバーに推し変するかもしれない......。
私立恵比寿中学 Concept Live ~MOVE~
■セットリスト
SE.~ebiture~
1.あたしきっと無限ルーパー
2.CHAN-CHAN-CHAN
3.HOT UP!!!
4.シンガロン・シンガソン
5.曇天
6.全力☆ランナー
7.踊るロクデナシ
8.自由へ道連れ
9.藍色のMonday(星名・小林・中山)
10.日進月歩(真山・柏木)
11.PLAYBACK
12.愛のレンタル
13.Lon de Don
14.パクチー
15.バタフライエフェクト
16.イエローライト
17.シングルTONEでお願い
18.I'll be here
19.参枚目のタフガキ
20.ジャンプ
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