ELLEGARDENがライブをやった
2012年3月11日。東日本大震災から10年後。ELLEGARDENが被災地である福島県でライブを行った。
音楽のチカラをひしひしと感じます。「約束を果たしにきた」#ELLEGARDEN
— SONG OF THE EARTH311 (@SOTE_2014) 2021年3月11日
福島Jヴィレッジで行われたイベントにシークレットで出演したらしい。
ボーカルの細美武士は10年間被災地支援を続けてきた。毎年宮城県や福島県など被災地でも歌い続けて、現地の人と交流を深めている。
そんな細美武士がELLEGARDENを引き連れて被災地で演奏をすることには、特別な意味と想いがあるはずだ。
だから福島で彼らが演奏したということに感動した。
個人的には躊躇してしまう表現ではあるが、2021年は震災から10年目の「節目」ではある。そんな年の3月11日にエルレがライブをすることは、多くの人を救い希望を与える出来事なのだ。
とはいえ自分は現地でライブを観たわけではない。Twitterに流れてきた140文字以下の情報や感想を見ただけで、現地の様子も知らない。
それなのに胸が熱くなった。ELLEGARDENがライブを行い、それも被災地でサプライズで行ったという事実に心が動かされた。
これはきっと自分だけが感じたことではない。SNSでは同じように被災地から離れた人たちも話題にして、その感動を共有していた。
悲しい日であることは変わらない
3月11日が多くの人にとって悲しい日であることは、これからも変わることはないだろう。
被災者でなくともテレビで流れた映像にはショックを受けたし、毎日のように増えていく死者と行方不明者の数を知らせるニュースには胸が痛んだ。
自分は被災したわけではないが、当時は千葉県に居て地震の大きな揺れは体験している。スーパーから食材や生活必需品が消えた様子も見ていたし、計画停電も体験した。
テレビ東京すら地震のニュースを流し、テレビやラジオのCMはACばかり流れていた。自宅の棚からはCDや本が崩れ落ちたし、家の前の道路には亀裂が入り、近所のマンションは外壁が崩れた。
バイトも長い休みになり収入も減った。バイト先の店長は実家が津波で流され、親族で亡くなった人がいると話していた。
自分が震災によって受けた影響は、東北の被災者の方と比べたらたいしたことがない。
しかし自分が生きてきて初めて感じた非日常であり、当たり前と思っていた生活が変わった出来事でもある。だから自分にとって他の災害や事件よりも身近に感じてショックを受けた。
この悲しみは忘れる必要はないと思う。忘れたくても忘れられないことでもある。
そんな悲しみをほんの少しだけ音楽は癒してくれる。音楽はほんの少しだけ希望を与えてくれる。
震災後のラジオでは多くの音楽が流れた。その音楽に救われた人もいると思う。今でも被災地のことを思って作られた音楽が、毎年のように発表されている。
被災地に出向いて演奏をするミュージシャンもたくさんいた。今も頻繁に東北に通って演奏するミュージシャンがいる。細見武士もその一人だ。
とはいえ音楽は力を与えてくれるとしても、悲しみを塗り替えて喜びにしてくれるものではない。
音楽を好きではない人に対しては無力だし、震災の大きな爪痕に対しては、そこまで大きな力を持たない。それほど震災による傷は深い。
しかし悲しみを喜びで塗り替える必要はないのかもしれない。
2011年には物凄く大きな悲しい出来事があった。でも2021年にはELLEGARDENが福島に来てライブをやるという嬉しい出来事があった。
被災者ではない自分が言うべきことではないのかもしれないが、悲しみを塗り替えるのではなく、嬉しい出来事も加えていく方が、救いになるのかもしれない。
忘れられるものならば、忘れてしまいたい。喜びで簡単に塗り替えられるならば、全ての悲しみを消滅させたい。
しかしそれが難しいのならば、そこに希望を感じる出来事を悲しい出来事の上に積み重ねていくことで、少しづつ前に進めて、少しだけ希望を感じることができるのではないだろうか。
ELLEGARDENは多くの人にとって大切なバンドだ。彼らが活動するだけでも希望を感じる人がたくさんいる。それぐらいにすごいバンドだ。
だから現地で見た人だけでなく、情報を知っただけでも興奮し感動している人がたくさんいる。きっとメンバーもそのことは自覚しているし知っているだろう。
2020年から21年にかけて、音楽やエンタメが軽く受け取られて蔑ろにされる出来事がたくさんあった。
しかし音楽やエンターテイメントは、不急だとしても必要なものだ。衣食住に当てはまらないモノだとしても、心の健康のためには必要だ。
福島でELLEGARDENの鳴らした音を聴いた人はみんな感動している。それは音楽が必要である根拠だ。
Make A Wish
2008年に活動休止したELLEGARDENは、2018年に活動を再開した。活動再開には被災地での復興支援活動も影響している。
活動休止後に連絡は全然取ってなかったけど、震災後に復興支援で現地に言ったら現地の人に歌ってくれって言われて、福島県郡山市に行って歌うとして、俺にとってマックスで想いが伝わる曲はなんだろうと思って、この曲だと思って4人に久々に「この曲やっていい?」と連絡した。そうしたら「いいに決まってるじゃん」て全員から返ってきて、頼もしい仲間だと思った
これは2020年8月に行われたELLEGARDENの配信ライブで、『Make A Wish』を演奏する前に細美武士が話していた言葉だ。
福島に住む被災地の方に「歌ってほしい」と言われ、福島で歌った曲である。それをきっかけにエルレのメンバーは活動休止後に連絡を取り合うようになった。
この曲はバンドにとって2011年以降、さらに大切な曲になったのかもしれない。大切な曲だと思っている福島に住む人が、たくさんいるのかもしれない。
だから福島でELLEGARDENが『Make A Wish』を歌い演奏することには意味があるのだ。
Make a wish
願いごとをしよう
Easy one
簡単なことでいいから
That you are not the only one
君がひとりぼっちではなく
And someone's there next to you holding your hand
あなたの隣で誰かがその手を握ってくれますように
Make a wish
願いごとをしようよ
You'll be fine
君が幸せで
Nothing's gonna let you down
悲しみも全てなくなって
Someone's there next to you holding you
抱きしめてくれる人がそばにいられますように
Along the paths you walk
一緒に歩き続けてくれる人がそばにいられますように
(ELLEGARDEN / Make A Wish)
この曲は優しくてあたたかい歌詞だ。
英語詞なので日本語詞と比べると聴いていて直接頭に入ってくる感じはないかもしれない。それでも聴いていて希望を感じてしまう。
かつてはライブでファンも一緒に合唱する歌だった。
自分が以前行った細美武士の弾き語りライブでは「福島のことを想って最後のサビを一緒に歌ってくれないか?」と客席に語りかけていた。
身も心も密になって一つになれる曲だ。
みんなで思うがままに盛り上がりながら歌っている空間は最高だった。音楽の力によって力をもらった。
ELLEGARDENが活動を続けてくれるという事実を希望にし、それを理由に生きていける音楽ファンが世の中にたくさんいる。
今はコロナ禍のため3密状態でのライブはできないし、一緒に歌うことはできない。
それでも2021年3月11日のELLEGARDENは、多くの人に喜びと感動と希望を与えたはずだ。きっと、最高のライブだったんだろうなあ。
悲しい出来事や想いは、必ずしも忘れる必要はない。というか大きすぎる悲しみは、忘れたくても忘れられない。
だから悲しみに少しづつ喜びを積み重ねていって、前に進む力や希望を少しづつ手に入れて、笑顔になれる瞬間が少しでも増やせたらいいなと思う。
2021年3月11日にELLEGARDENがライブを行ったことは、笑顔になれる瞬間が増える出来事の1つだったはずだ。
希望を感じる出来事がこれからもたくさん起こって、笑顔になれる瞬間がこれからもたくさん起こりますように。
自分は震災から10年目の3月11日に、そんな「願いごと」をした。
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