ゴーゴートーキーズ! 2020 師走
自分はネクライトーキーのライブをコロナ禍になってから2回観ている。
日比谷公園野外大音楽堂でのワンマンライブと、BAYCAMPという音楽フェスでのライブだ。
日比谷野外音楽堂はワンマンライブとしては過去最大キャパである。野外という普段とは違う特殊な会場で行われたことも普段とは違う。
そんな環境を生かすような凝ったライティングが美しかった。野外の天候や夕方から夜に向かう時間軸に合わせたセットリストも最高だ。
BAYCAMPのパフォーマンスには、アリーナ会場でも通用する大きなバンドになったと実感した。魅せ方も大会場を意識しているような、エンターテイメント性が強いライブだった。
どちらも素晴らしいライブだに思う。バンドにとって新境地を感じるライブでもあり、進化していることが伝わってきた。
しかし彼らの主戦場は「ライブハウス」だとも思う。久々にネクライトーキー をライブハウスで観て、そんなことを思った。

渋谷TSUTAYA O-EASTで行われたワンマンライブ『ゴーゴートーキーズ!師走』。
コロナ禍になってからは初のライブツアーであり、東京のライブハウスでは、コロナ禍になってから初のワンマンライブである。
前半
いつもと同じ登場SEが流れて、順番に登場したメンバー。挨拶をせずにドラムの爆音が響きライブスタート。1曲目は『めっちゃかわいいうた』。
〈価値も意味もないようなかわいいだけのうたになればいいな〉というフレーズから始まる曲。
しかし鳴らされているのはキレッキレな爆音のバンドサウンド。ボーカルのもっさも中盤でシャウトするように叫ぶ。歌詞とサウンドのアンバランスさに皮肉を感じるロックナンバーだ。
かつてはファンが一緒に歌う部分がる曲だった。
しかし今は感染症対策のため声を出せない。それでも熱気を伝えるようにフロアは腕を上げて応える。
立て続けに『虫がいる』を疾走感ある演奏で披露し、「ネクライトーキー です!よろしく!」と簡単に拶してから『夢みるドブネズミ』へと続ける。
https://music.apple.com/jp/album/%E5%A4%A2%E3%81%BF%E3%82%8B%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%83%9F/1488408731?i=1488408733&uo=4&at=1000lwuN
手拍子の音はコロナ禍以前よりも大きく感じた。
バンドが制限がある中でも最高の演奏をしているように、ファンも熱気や楽しさを制限がある中でも必死に伝えようとしているのだ。
さらに『北上のススメ』とキラーチューンを投下してから最初のMCへ。もっさは無言の時間が続いたかと思えば「やっぱなんもないわ」と言いて話を切り上げてしまった。トークはゆるゆるである。
しかし演奏は愛も変わらずキレッキレ。さらに『放課後の記憶』『ぽんぽこ節』『こんがらがった!』とアップテンポの楽曲を、DJのように間をほとんど開けずに連発する。
これは最近のライブと比べても珍しいほどに、音楽を畳み掛けるようなライブだ。それによって衝動的な勢いが演奏に加わっていた。
今回は途中で会場のドアを開け、空気を入れ替える換気タイムがあった。立て続けに曲を演奏し、換気タイムで長めのMCを挟むライブ構成である。
何度もやれるかどうかの話し合いをしました。でもどうにかツアーを実施しファイナルまで来れました。お客さんは声を出すことができなかったり制限もありますが、みなさん協力してください。その分、声以外のパッションで応えてください。
ギターの朝日が今回のツアーについての想いを語る。その熱い想いに対して盛大な拍手が贈られる。
そんな空気を壊すように「今日はMCの声が大きくて聞き取りやすく、とても良かったです」と上から目線で朝日のMCを評価したもっさ。やはりトークはマイペースでゆるい。
朝日が曲名を紹介してから『音楽が嫌いな女の子』ら演奏を再開。
朝日が「自分たちは喋るのが仕事ではないですから」と言っていた通り、音楽で彼らは人の心を掴んでしまう。
ここまでアップテンポの曲が続いたが、次はミドルテンポの演奏が心地よい『だけじゃないBABY』。メンバーは手拍子を煽ったりと、多幸感で会場を満たしていく。
続けて新曲も披露。野重低音が響くミドルテンポの渋いロック。野音でのワンマンでも演奏された楽曲だ。改めてバンドの演奏力の高さを実感できる曲である。
後半
音源とは全く違うアレンジで演奏されることが定番の『許せ!服部!』をライブ中盤に投下。
もっさが「CD」「ライブ」と書かれた2つのパネルを持ち、それを交互に掲げることによって、パネル通りのアレンジに切り替えて演奏するというハイレベルなパフォーマンスをする。
ここ最近のライブと同じ演出ではあるが、もっさのテンションがいつも以上に高い。
上手から下手まで移動したり、飛び跳ねてステージから落ちそうになったりと縦横無尽に駆け回る。「もっさが動きすぎて怖かった」とベースの藤田がMCで話すほどだ。
メンバー全員のソロ回しもさらに長く複雑になっている。
ショルダーキーボードを持った中村郁香と藤田のベースが掛け合いをするように交互にソロプレイを繋いでから、カズマ・タケイが激しいドラムソロを叩く。フロアからは大きな拍手が贈らた。そしてもっさと朝日はギターを弾き倒し、フロアのテンションを上げていく。
後半でまた全員の演奏が重なる。さらに熱気が高まるフロア。
各自が高い技術力を持っていることはもちろん、5人のプレイが重なることで唯一無二の最高の演奏になるのだ。
2度目の換気タイムで「細田守監督の新作が公開されますよね。細田監督が大好きなんです。次の曲は細田守監督へのラブソングです」と語った朝日。
ラブソングとして演奏されたのは『あの子は竜に逢う』。
ちなみに細田守監督最新作のタイトルは『竜とそばかすの姫』。偶然タイトルが似ているから、急遽ラブソングということにしただけな気がする。
そんなラブソングの次に演奏されたのは『ゆうな』。
もっさ作詞作曲の切ない歌詞のロックバラード。ネクライトーキーは明るい曲調やアップテンポのロックナンバーが多い。そのギャップもあってか、バラードはより一層胸に沁みる。
最後の換気タイムではブルース調のフリーセッションが自然と始まった。
それに合わせて喋ろうとするもっさに対し、朝日が「これをBGMで喋るんかい!」とツッコミ演奏をストップ。音楽以外の部分は行き当たりばったり。
「ツアーを回りながら新曲を作っていました」と言ってから、出来立てホヤホヤの新曲を披露。アップテンポの楽曲でサビの歌詞は擬音だけという曲。この曲もライブ定番曲として今後愛されそうだ。
そして後半に向けて『オシャレ大作戦』『誰が為にCHAKAPOCOは鳴る』盛り上がりが加速する。
どちらもコロナ禍でなければ一緒に歌ったり叫んだりした曲だと思う。3密でギュウギュウなライブハウスで、汗だくになりながら騒いでいたと思う。
しかしかつてのようには騒げない。
それでも「パッションで応えてください」という朝日の言葉に応えるように、できる範囲で身体を動かし楽しんでいた。
形は変わってしまっても、その熱気や想いは、今までのライブハウスと変わらない景色だ。
「最後の曲です!」ともっさが叫んでから演奏されたのは『遠吠えのサンセット』。
ライブの本編では最後に演奏されることが定番の楽曲。間奏で「観に来てくださって、ありがとうございます!」と笑顔で言う。
「ギター朝日!」と紹介されてから、この日一番と言えるぐらいに朝日らギターを引き倒した。
ライブが終わることを実感してしまうからだろうか、明るくて盛り上がる曲なのに切なくなってくる。
朝日「ツアーファイナルだけど、何か言い残したことはないですか?」
もっさ「・・・・・・」
朝日「言い残したことはないと?」
もっさ「うん、またライブやるから、特にない」
朝日「バンドマンは面倒くさい生き物で、毎回今日が最後というつもりでやるんですけど、ライブを辞めないという気持ちも同時に持っています」
メンバーがアンコールで話していた内容が印象的だった。
特に今のご時世では強く感じることかもしれない。ファンにとっても「今日が最後に観る日かもしれない」と「ライブを絶対にまた観る」という気持ちが複雑に交差している。
アンコールの1曲目は新曲。
「昔書いた曲を聞き返して、その気持ちで再度曲を作ったらどうなるんだろうと考えながら自粛期間で曲を作ったりしました」と話してから演奏された通り、ネクライトーキーのポップな明るい曲調とロックな演奏の曲。そこに今のネクライトーキーの魅力がミックスされているような感じ。
今年はもう終わりますが、来年は楽しい年になったらいいなあ、なんて思います。
ありがとうございました!
もっさが一言つぶやいてから、エレキギターの弾き語りで歌い始めた。
最後に演奏されたのは『明日にだって』。
サビのフレーズを歌い終えると、5人全員の演奏が重なり、ネクライトーキーの音になる。
かきむしって 熱を上げて
これだけは譲れないと守ってきた
明日にだって明日があって
諦めの悪い僕らが笑うのさ(ネクライトーキー / 明日にだって )
最後のサビに歌詞が、今日は胸に沁みる。
最近は新型コロナの感染者が、また増え始めてきた。再び中止や延期を決めるライブやイベントも増えてきた。世間の風当たりも強く「中止にしろ」と言う人も増えている。
損失が発生せず誰も困らず傷つかないならば、不要不急のライブなど全て中止にしてしまうほうが良いだろう。
本当ならば全ての経済活動を止めて、国民全員が家から出ない方が良いと思う。それが実現可能で全国民が幸せになるならば。
それでもライブを続けるということは、そこにも理由や想いがあるのだろう。後ろめたさを感じながらもライブに参加するファンにも、行きたくても諦めたファンにもそれぞれ事情や想いがあるはずだ。
演奏を終えてから「そういえば来年アルバムを出します」と言って、もっさはステージから去っていった。
「言い残したことはない」と後半のMCで言っていたのに、めちゃくちゃ重要なことを言い残してるじゃないか。新しいアルバムを聴くことを楽しみに、明日を生きれる人だってたくさんいるというのに。
感染者は過去最多人数になった。特に関西では医療崩壊が懸念されている。来年はさらにライブやイベントを行うことが難しい年になってしまうかもしれない。
それでも音楽を止めない方法を模索しているアーティストや、それを支えるスタッフがいる。そんな想いに共感したり、音楽やライブを守ろうと協力するファンもいる。
絶対に音楽を止めないという強い意志を持っている人がたくさんいる。
来年は楽しい年になったらいいとは思うけれど、今年も少しは楽しいこともあった。例えばライブハウスでネクライトーキー のライブを観れたことだとか。
明日にだって明日があるように、来年にだって来年がある。
そんなことを思いながら、諦めの悪い僕らが笑うのさ。
ネクライトーキー『ゴーゴートーキーズ! 2020 師走』@渋谷TSUTAYA O-EAST 2020.12.16
■セットリスト
1.めっちゃかわいいうた
2.虫がいる
3.夢みるドブネズミ
4.北上のススメ
5.放課後の記憶
6.ぽんぽこ節
7.こんがらがった!
8.音楽が嫌いな女の子
9.だけじゃないBABY
10.新曲
11.渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進
12.許せ!服部
13.あの子は竜に逢う
14.ゆうな
15.新曲
16.オシャレ大作戦
17.誰が為にCHAKAPOCOは鳴る
18.遠吠えのサンセット
EN1.新曲
EN2.明日にだって
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