ろけっとすたーとを切れなかったグループ
豆柴の大群の結成の経緯やデビュー後の大きなバズは、環境に恵まれていて運が良かったと思う。
人気テレビ番組の企画でグループが結成されてすぐに話題になったし、デビュー曲『りスタート』はYouTubeで1300万回再生を超えている。CDはビルボードのシングルチャートで1位になった
アイドルのデビューとしてはこれ以上にないぐらいの高待遇で、順風満帆なスタートを切っている。
しかし新型コロナウイルスの影響もあり、デビュー後の活動が全て順調だったわけではない。開催予定だったワンマンライブは中止になったりと、デビュー時のバズから繋がる活動がなかなかできていなかたように見える。
デビュー時から話題になったからこその葛藤や辛さもあるのかもしれない。
そんなことを結成から10ヶ月経ってから、ようやく行うことができたワンマンライブ『豆柴のりりスタート』を観て思った。

「初めまして!豆柴の大群です!」
この挨拶から始まったライブ。
結成から約1年経ってから行われたライブで「初めまして」と言ったことには、ここからスタートするという意味が込められているのではと感じた。
前半
1stシングル『りスタート』からライブがスタート。その次の曲は『ろけっとすたーと』とクロちゃんが作詞作曲した楽曲を続ける。

王道アイドルソングでありつつも松隈ケンタ率いるSCRAMBLESのアレンジが光る楽曲。明るくも疾走感ある楽曲によって、序盤から盛り上がりは最高潮。
そしてディスコ調のリズムが印象的な『ドリンクサハッピー』で魅せるパフォーマンスをして、音楽性の幅広さを伝える。
すでに初のワンマンライブとは思えないぐらいにパフォーマンスが仕上がっていた。
新型コロナの影響で思うように活動できなかった期間も、練習を重ねてレベルアップしていたことを感じる。
そんなメンバーのパフォーマンスを支えるような演出も最高だ。ステージセットもしっかりと作られているし、ホール規模とは思えないほどに演出も凝っていて派手。
『ろけっとすたーと』では歌詞がポップなフォントと絵柄で歌詞が表示されたりと、楽曲のイメージごとに映像や演出も変化する。

1stワンマンにしてベストなライブを創るために、メンバーもスタッフも本気なのだ。
しかし感染症対策を徹底するために最大キャパの半分までしか客はいないし、アイドルのライブでは定番だったコールや声援も一切ない。ベテランのアイドルでもライブをやりづらい状況である。
初ワンマンの豆柴にとっては、よりライブの雰囲気作りが難しかったかもしれない。
しかしそんな状況を逆手に取るように、ハナエモンスターが「1階席、拍手!」「2階席、拍手!」と拍手を煽る。
声援を贈れない代わりに、破れんばかりの盛大な拍手で応える。どんな状況でもいいライブをやれるし、ステージと客席とでコミュニケーションは取れることを証明するような時間。
MCで会場を温めてから、ラテンなリズムや東洋の民族音楽の影響を感じる『サマバリ』を披露。ポップな映像演出も楽しくて良い。
一転してアップテンポなロックナンバー『FLASH』へと雪崩れ込む。赤い照明に照らされながら、激しくパフォーマンスをするメンバー。煙が吹き出たりと演出によっても盛り上がりは加速する。

さらにロックな楽曲が大群になったように続く。『そばにいてよ Baby angel』では”豆柴の他軍”とグループ名がビジョンに映り煙も吹き出る。

壮大で激しい演出で盛り上げた後、横揺れなロックナンバーの『CHANGES』をを披露。尖った歌詞をクールな歌声とダンスで表現した。
グループの凄みを特に感じた曲が『ガーデニング』だ。それまではメンバーの歌い踊る映像がビジョンに映っていたが、この曲では楽曲のイメージに合わせたCG映像が流れる。

そのためビジョンよりも、自然とメンバーの生のパフォーマンスに注目してしまうような演出だ。
そしてサビでのナオ・オブ・ナオやハナエモンスター伸びやかな高音に鳥肌が立つ。堂々とセンターに立ち歌う姿は頼もしい。
話題性で人気を獲得したグループかもしれないが、デビューしてから約1年でしっかり実力もつけてきたのだ。
後半
駆け抜けるようなパフォーマンスを8曲続けて、ここでコントのコーナーへ。BiSHのワンマンライブでは寸劇が定番となっているが、豆柴の大群でも行うようだ。
しかし豆柴のコントは小道具やセットもあり豪華。ゲストにクロちゃんとBiSHのアイナ・ジ・エンドがゲストで出てきたりと豪華。

メンバーの荷物を漁っているクロちゃんを突き飛ばしたら、頭を打って死んでしまったという設定のコント。
頭にビニール袋を被せられたり、アイナに熱々の小籠包を食べさせられ、アツコにわらび餅を鼻に突っ込まれたりと体を張って頑張るクロちゃん。しかし少しスベっているクロちゃん。


そんなシュールなコントを終え、『恋のかけ算 ABCDEFG』でライブを再開。ポップで明るい曲調で、スベったクロちゃんの余韻を吹き飛ばす。
そして爽やかで疾走感ある『僕がいい』、キュートでポップな『君以外にモテたい』と続ける。ハートがビジョンに出てきたりと、メンバーの可愛らしさをより引き立てる演出だ。

歌詞が次々とビジョンに出てくる『トラスト』をクールに披露し、再びギャップを見せつけて音楽性の幅広さを伝える。
レーザーが飛び交う演出にも引き込まれる。初ワンマンにしてホール規模が似合うパフォーマンスだ。
「結成から10ヶ月、一歩づつ前に進むことができました。これからも一緒にみんなと進み続けていきたいです。こうしてライブができることが特別になったので、この瞬間を大切にしていきます」
ナオが初ライブへの想いを語ってから『今』をエモーショナルに披露した。
「これが最後の曲です」と挨拶してから『さよならしなきゃ』を歌う。
ゆるやかにライブの余韻を楽しむように笑顔でいるメンバー。サビでは手を振り、客席に向けてピースをする。

多幸感で満たされる会場。
WACKのアイドルはクールで圧倒させるようなパフォーマンスが多いが、豆柴の大群はアイドルとしてみんなを笑顔にするようなライブだ。
他のWACKグループとは違う個性と魅力を持ったアイドルに育った豆柴の大群。そんなアイドルを作った部分においてだけは、クロちゃんをリスペクトしたい。
アンコールに応えて再び登場したメンバーは、1人づつ初ワンマンの感想を伝えていく。
ワンマンが中止になってくやしかったけれど、今日こうして会えてファンのみんなが尊いものだとわかったと話すカエデ。やっとワンマンができたことの喜びを涙目で話したナオ。
デビューしてすぐにライブができなくて悔しいと話し涙を流したミユキ。みんなの大きな拍手が嬉しくて、数ヶ月ぶりに人前に立てて励まされたと伝えたアイカ。
自身が作詞した『僕がいい』の〈皆ではしゃごう 嫌なこと忘れよう全部〉という歌詞はファンに向けたメッセージだったことを伝え、「今日は嫌なこと忘れられたかな?」とファンに問いかけたハナエ。客席からこの日一番大きな拍手が贈られた。
「最後にみんなでマメマメしましょう!」とミユキが叫んでから始まったのは『豆柴の大群-お送りするのは人生劇場』。
高速BPMで歪んだギターが印象的なアゲ曲。ビジョンは豆の絵で埋め尽くされ、客席は声を出せない代わりに腕を上げて盛り上げる。

〈いろんな人を巻き込んで 世の中とwith you〉という歌詞に説得力を感じるような、全体を巻き込むようなパフォーマンスだ。
最後に披露されたのは『大丈夫サンライズ』。
イントロではビジョンに結成から現在までを振り返る写真が映される。
結成から10ヶ月ではあるが、すでにグループにとって大切な歴史がある。すでに「豆柴がお送りする人生劇場」は始まっているのだ。

そんな歴史と経験を感じるようなエモーショナルなパフォーマンスで、最後の曲を大切に歌うメンバー。
安心なんてできない
ここからのが大事なんだってわかってる
このフレーズが新型コロナの影響によって、より重い意味になってしまった。
デビューから話題になったものの、思うように活動ができなかったが、「ここからが大事」ということを理解した上で、努力をして成長したのだと思う。だから初ワンマンでもホールで通用するライブができたのだ。
やりきった表情で最後に1人づつ挨拶をして、全員で「ワンワン!ナンバーワン!」と声を合わせて叫んだ豆柴の大群。

これからどんな人生劇場をお送りしてくれるのだろうか。そんな期待を感じてしまうような、初ワンマンにしてベストライブだった。
2020.10.24 『豆柴の大群のりりスタート』第一部
■セットリスト1.りスタート
2.ろけっとすたーと
3.ドンクサハッピー
4.サマバリ
5.FLASH
6.そばにいてよ Baby angel
7.CHANGES
8.ガーデニング
9.恋のかけ算 ABCDEFG
10.僕がいい
11.君以外にモテたい
12.トラスト
13.今
14.さよならしなきゃ
EN1.豆柴の大群-お送りするのは人生劇場
EN2.大丈夫サンライズ
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