2020年4月。Twitterのトレンドに「andymori」の名前が出てきた。
どうやら『今夜比べてみました』というテレビ番組で、菅田将暉のことがandymoriを好きだと言っていたらしい。見逃してしまった。自分はandymoriも菅田将暉も好きなのに。
大ヒット曲もないし6年前に解散したバンドなので、andymoriを知らない人は多いと思う。でも最高にかっこいいいバンドなのだ。今でも多くのバンドに影響を与えている。
この記事ではandymoriのアルバムを前作レビューしてバンドの魅力を伝えたいと思う。
きっと菅田将暉ファンもandymoriの音楽を”PLAY”すれば”見たこともない景色”を音楽によって見ることができるはずだ。
- EP『andyとrockとベンガルトラとウイスキー』
- 1stアルバム『andymori』
- 2ndアルバム『ファンファーレと熱狂』
- チャリティーシングル 『兄弟』
- 3rdアルバム『革命』
- 4thアルバム『光』
- 5thアルバム『宇宙の果てはこの目の前に』
EP『andyとrockとベンガルトラとウイスキー』
5曲で収録時間約11分というすごい速さで聴き終えてしまうEP作品。1曲目の『andyとrock』なんて約1分の短さだ。それは菅田将暉『ロングホープ・フィリア』のテレビサイズバージョンよりも短い。
しかしこの11分で日本のロックシーンに大きな衝撃を与えた。なんなら『andyとrock』の1分によって、人生が変わった音楽ファンもいるはずだ。
もう戻れない場所を思うとき
もう会えない人を思うときに
アンプ蹴ったらギャンギャン泣いた
15ワットの小さな世界が
アンプを蹴り飛ばしたんだ
(andymori / andyとrock)
これは「andymoriが鳴らすロックについて」を表明している歌詞に思う。聴いた瞬間に他のバンドとは違う個性と覚悟を感じる。
例えるならば仮面ライダーWに出演した時の菅田将暉だ。
デビューしたばかりでありながら、他の俳優とは違う存在感を出していた。『andyとrock』を出した時のandymoriもそんな感じだった。
- アーティスト:andymori
- 発売日: 2008/10/08
- メディア: CD
1stアルバム『andymori』
自分がandymoriを知ったのはこのアルバムだ。
1曲目の『FOLLOW ME』に衝撃を受けたことを、今でもよく覚えている。
わけのわからないギターリフと、聴いたことない不思議なメロディ。そこに衝動的なバンドのアンサンブルが加わる。〈有色人種にはマシンガンをFOLLOW ME〉というリリックも胸にぶっ刺さった。
サビは〈ラララ〉で歌詞がない。一緒に歌えと言う意図かとしれないが、それは決してアリーナやスタジアムクラスの合唱とは思えない。「3密」状態のライブハウスで、汗だくで叫ぶような感じの空気感だ。いや、部屋で一人で聴きながら歌いたいロックンロールかもしれない。
ミドルテンポの曲も良い。『ハッピーエンド』という曲が、特に最高だ。こんなタイトルなのに全然ハッピーに感じない。でもなぜか優しい歌にも聴こえる。不思議な曲だ。
アルバム名は『andymori』。バンド名と同じ。まるでバンドの自己紹介をしているような、バンドの魅力が詰まった作品である。
例えるならば2013年に映画『共喰い』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し注目され始めた頃の菅田将暉だ。
まだ有名俳優ではないが評価されはじめファンも増えていた頃。すでに俳優としての才能や実力を感じる演技だったが、まだ伸び代がありそうで将来を期待されていた頃。1stアルバムを出した頃のandymoriもそんな感じだった。
- アーティスト:andymori
- 発売日: 2009/02/04
- メディア: CD
2ndアルバム『ファンファーレと熱狂』
5限が終わるのを待ってた わけもわからないまま
1曲目の『1984』の最初のフレーズを聴いた瞬間に、自分は楽曲の世界に引き込まれた。この短いフレーズで情景や主人公の内心が想像できるる。
小山田壮平は難しい言葉を使わず、必要最低限の言葉だけで情景や感情を表現する。その表現力の高さによって、リスナーは具体的な想像をしてしまい引き込まれる。『1984』もそんな曲だ。
音は1stアルバムよりも洗練されている。『1984』や『16』では、アコースティックギターを使って繊細な演奏をしていることが印象的だ。
メンバー以外の楽器の音も取り入れて、音楽性の幅も広げている。『1984』はトランペットの音によって、多幸感や哀愁を作っているようにも思う。
しかし『CITY LIGHTS』や『僕がハクビシンだったら』のように、1stと近い衝動的な演奏も聴ける。音楽性の幅を広げつつも音楽の軸はぶれていない。彼らのロックの衝動は鳴り止んでいない。
例えるならば2014年に『ごちそうさん』でNHK朝の連続テレビ小説に出ていた時の菅田将暉だ。
演技の幅も広げていた時期に出演していたが、朝ドラは特に多くの人に注目される枠なので、今まで以上に演技力と個性が求められる。彼にとっては挑戦だったはずだ。
個性と実力を兼ね備えつつも、さらなる進化を目指していた様子は『ファンファーレと熱狂』をリリースした時のandymoriと重なる部分がある。
- アーティスト:andymori
- 発売日: 2010/02/03
- メディア: CD
チャリティーシングル 『兄弟』
菅田将暉が好きだと言っていた曲の『兄弟』。
この曲は東日本大震災のチャリティーソングとして、2011年4月に配信リリースされている。収益は全て義援金として被災地に寄付された。
andymoriで始めてピアノが使われた曲でもたる。ギターの音は歪んでいるのに曲が優しく聴こえるのは、ピアノも影響しているのだろう。
何もない朝に君を見つけたいんだ
何もない僕が君にできること
下らない歌を高らかに唄いたいんだ
何もない僕ができること
兄弟
優しい歌声とよりそよりってくれるような歌詞。〈何もできない僕ができること〉と自身の無力さを認めながらも、何かをしようとしている。この曲できっと救われた人がたくさんいると思う。
3rdアルバム『革命』
前任のドラマー後藤大樹が脱退し、岡山健二が新ドラマーとして加入してから最初のアルバム。
その影響もあってか演奏が変わったように思う。
前任ドラマーの後藤は手数が多かった。ムラがあるものの個性的なリズムパターンを叩いていた。ギターやベースもそれに合わせて複雑なフレーズになったり、荒々しい演奏になる曲も多かった。
しかし新任の岡山は安定したドラムだが手数はそれほど多くない。後藤とは全く違うタイプだ。
そのためかギターやベースも落ち着いた演奏が増えている。演奏よりも歌が全面に出るようになった。そのため普段J-POPを聴く人にも受け入れられやすい、間口を開いた音楽になったと思う。
しかしロックの魂は変わっていない。アルバムタイトルは『革命』。1曲目はアルバムと同名タイトルの『革命』。まるでここから革命を起こすことを宣言しているようだ。
例えるならばauのCM『三太郎シリーズ』で鬼を演じた時の菅田将暉だ。
俳優として才能が認められ、映画ファンからは愛されていた菅田将暉だが、auのCMに出たことでファンの間口をさらに広げたように思う。しかし彼の俳優としての個性は鬼のメイクをしても埋もれていない。それは『革命』をリリースした時のandymoriのようだ。
- アーティスト:andymori
- 発売日: 2011/06/08
- メディア: CD
4thアルバム『光』
4thアルバムの『光』は、前作以上に歌に重点を置いた音作りや演奏をしている。
歌詞のメッセージは以前よりもわかりやすく、真っ直ぐな表現が増えた。ポップなアレンジも増えた。
『君はダイヤモンドの輝き』ではリコーダーの音を使っていたり、『インナージャーニー』『クラブナイト』ではトランペットの音が目立つように編曲されている。それによって楽曲が華やかで明るい雰囲気になっている。
より大衆に間口を広げたように感じる。ポップスをメインで聴いている人も聴いやすいサウンドだ。
音作りや演奏は活動初期から変わった部分が多いが、メロディは今まで通り個性を感じるし、歌詞は明るいものだけではない。
なんだか疲れてしまったね
まいってしまったね
(andymori / シンガー)
悲しい感情も明るい曲調で歌う。明るい曲調で明るい歌詞を歌うよりも、希望や力をくれる気がする。
例えるならば映画『キセキ-あの日のソビト-』でグリーンボーイズを結成した時の菅田将暉だ。
デビュー当初は単館系のコアな作品に出ることが多い俳優で、影のある役が多かった。活動を続けるにつれ少しづつ大衆向け作品に出てファンを増やしていたが、グリーンボーイズの結成により、間口を一気にに広げたように思う。それは『光』をリリースした頃のandymoriと重なる。
- アーティスト:andymori
- 発売日: 2012/05/02
- メディア: CD
5thアルバム『宇宙の果てはこの目の前に』
このアルバムのリリースが発表された時、喜びよりも悲しさが上回った。バンドの解散も同時に発表されたからだ。
最後にリリースされたアルバムも、今までとは違う作品に思う。
andymoriは2分から3分の、短い曲が多い。デビューEPの1曲目『andyとrock』なんて、1分という、すごい速さで終わる。
しかし最後のアルバムは5分から6分の長い曲が多い。過去曲は長くても4分台だったので、今までになかった傾向だ。
初期の衝動的なロックとも違う。3rdや4thの間口を広げて明るくなった音楽性とも違う。伝えたいメッセージや鳴らしたい音があって、それを純粋に表現しているうように思う。これが試行錯誤や進化や変化を繰り返してたどり着いた、andymoriとしての集大成の音楽かもしれない。
ただただ、バンドの演奏と歌声が胸にしみる。今までとは違う部分も多いけど、歌声も演奏もメロディも優しく包んでくれるような感覚も、andymoriとしか言いようがない。
15ワットの小さな世界を歌っていたバンドは、最終的に宇宙の果てについて歌うようになった。
このアルバムはバンドの歴史が詰まった作品でもあり、集大成でもあり、新しいandymoriを聴かせてくれた名盤だ。バンドが大きくなったことを改めて実感させてくれる作品でもある。
この頃のandymoriを、菅田将暉で例えることはできない。
andymoriは解散してしまったけれど、菅田将暉は活動をしているのだから。できればずっと活動して欲しいのだから。
andymoriは解散したので、今は存在しない。でも彼らの音楽を今でも愛している人はたくさんいる。菅田将暉のように。
きっと多くの人に響く音楽だと思うし、これからも語り継がれる素晴らしいバンドだと思う。菅田将暉にとっての「愛してやまない音楽」であるandymoriを、是非とも聴いて欲しい。
今はandymoriの初期メンバー+長澤知之で一緒にALてバンド組んでるし、小山田壮平はソロでandymoriのたくさん曲を歌っているから、ぶっちゃけ悲しさやも寂しさも癒えたけれども
- アーティスト:andymori
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: CD
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