初めて観たSUPER BEAVERのワンマン
「次はライブハウスで会いましょう」
いわゆる「邦ロックバンド」というものにカテゴライズされるバンドが、音楽フェスに出演した時に言いがちなこのセリフ。
自分はこのセリフが、あまり好きではない。どれだけ良いライブを観せられても、この言葉を言われると少しだけガッカリする。
次に会う場所も同じようにフェスでもいいじゃないかと思う。
なかなかライブに行くことができない人もいる。CDで曲を聴くことを「会った」と表現してもいいじゃないか。そもそも人気バンドが「ライブハウスで会おう」と言わないでくれ。チケットがなかなか取れないのだから。
SUPER BEAVERの音楽もライブも大好きだ。めちゃくちゃカッコいいバンドだと思う。
でも人気バンドなのに「ライブハウスで会いましょう」とフェスに出演した時に毎回のように言う。その部分だけは好きではなかった。ライブハウスでやるワンマンのチケットは全然取れなかったから。彼らの人気に対してライブハウスは小さい。
フェスでは何度もSUPER BEAVERのライブを観たことがある。しかしワンマンはライブハウスが中心。予定の都合がつかなかったことも多いが、チケットがなかなか手に入らずワンマンはずっと観ることができなかった。

1月12日。ようやくワンマンライブを観ることができた。ライブハウスの何倍ものキャパがある代々木第一体育館でのライブ。ようやくワンマンのチケットを取ることができた。
フェスと変わらないライブに思った
アリーナでのライブは演出を凝ったり派手な演出をするバンドも多い。
しかしSUPER BEAVERの演出は控えめ。ステージの両サイドのスクリーンにメンバーの演奏する姿は映っていたり、一部の曲でバックスクリーンに映像や歌詞が映る程度。
大きな会場でも演出に頼らずに演奏で勝負するSUPERU BEAVERの姿は、自分が今まで観てきたロックフェスでの姿と同じだった。
メンバーの演奏とパフォーマンスでぶつかってくるような感覚。演奏により盛り上げ、言葉によって心に突き刺す感覚。
前半から『青い春』や『閃光』や『正攻法』などフェスでも頻繁に演奏される楽曲が続く。客の熱気もフェスで観ているときと同じようだ。
大きな会場でのワンマン。メンバーはいつも以上に気合が入るものなのかと思っていた。ファンも気合を入れて盛り上げようとするのかと思っていた。
でも違った。SUPER BEAVERはライブハウスでもアリーナでもフェスでもワンマンでも関係なく、どの会場でも全力のライブをやっているのだと思った。いつでもどこでも気合を入れたライブをやっているのだ。
「ここでやることが夢だったわけでもないし目標だったわけでもないですが、あなたがここに来てくれたことに感謝します」
渋谷龍太はこのように話していた。そういえばフェスで大きなステージにでライブをやった時も、同じようなことを言っていた。
「俺たちは120%であたなにぶつかっていきます。あなたは121%で俺たちにぶつかってきてください。束になってかかってくるなよ。1人1人でかかってこいよ」
これもフェスで聞いたことがあるMCだ。SUPER BEAVERはいつでも120%でぶつかるライブをやっているのだ。そして「会場のみんな」ではなく「会場にいる1人ひとり」に歌っている。
だからワンマンでもフェスでも「良い意味で」同じようなライブに思った。 どこで観ても、いつ観ても、バンドは全力でぶつかってくる。「みんな」ではなく「あなた」に対していつも歌ってる。
だからSUPER BEAVERの音楽はいつも突き刺さるのだ。だからファンはいつでも同じように全力でバンドに応えるのだ。
アリーナだからこそのライブ
アリーナだからと特別扱いをするライブをしていなかったと思う。場所や規模にこだわって特別扱いはしない。全てのライブを平等に特別なものとして認識しているのだと思う。
それでも「アリーナだからこそ」の聴かせ方をした曲がある。
『your song』と『人として』の2曲だ。
「みなさんの下には何がありますか?椅子がありますよね。ライブハウスとは違う会場なので、違う魅せ方もしたい。みなさん座ってみましょう。いつもとは違う聴こえ方がすると思う」
そう言って客を全員座らせて演奏をした。座ってステージを集中して観る。この2曲だけは「ファンも全力でぶつかる」のではなく「全力で受け止める」ように演奏を聴いた。
「夢は必ず叶うだとか、努力は必ず報われるだとか、そんなことはないとも思う。夢が叶うなら、なぜ音楽を辞めた仲間がいるのか。努力が報われるならば、なぜ自ら命を絶った仲間がいたのか」
MCではこのようにも語っていた。その想いを音楽として届けていた曲が『人として』だったように感じる。
信じ続けるしかないじゃないか
愛し続けるしかないじゃないか
身に覚えある失敗をどうして指させる?
受け止める以外はないじゃないか
愛し続けるしかないじゃないか
馬鹿だねって言われたって
カッコ悪い人にはなりたくないじゃないか
人として 人として かっこよく生きていたいじゃないか
「人としてかっこよく生きていたいじゃないか」という歌詞が、胸に響く。
夢が叶わなくても、努力が報われなくても、人としてかっこよく生きている人も、生きてきた人もいると思う。今の自分は「人として」どうなのだろうかと、考えてしまった。かっこよく生きていたいと思う。
SUPER BEAVERの音楽はロックナンバーで盛り上げてくれるだけではない。バラードで感動させてくれるだけではない。
音楽に込められたメッセージによって、様々なことに気づかせてくれる。
特にこの『人として』は座って聴きメッセージを受け取ることに集中したことで、新しい気づきと感動をくれた。
「ライブハウスで会いましょう」と言わなかった
今のSUPER BEAVERは「アリーナ規模の会場」が似合うバンドだと思う。人気も実力もパフォーマンスの魅せ方も、多くの人の前で演奏した時に最も映えるのではと思う。
特に『予感』や『東京流星群』はアリーナ規模で鳴らすべき曲に思った。バンドの最高の演奏によって生まれた1万2千人のシンガロング。あの光景が忘れられない。
SUPER BEAVERは不遇の時代も長かった。人気も評価も低い時期が長かった。それでもライブハウスでもがき続けることで、這い上がったバンド。ライブハウスでやることを大切に思っているバンドだと思う。
だからライブハウス以外の会場でライブをやった時に「次はライブハウスで会いましょう」と言い続けていたのだと思う。
しかしこの日は、そのセリフを言わなかった。
「ライブハウスからいなくなりません。ライブハウスでもやります。ホールからもいなくなりません。ホールでもやります。アリーナを喜んでもらえるならアリーナでもやります。そういうバンドになります」
アンコールで話した言葉が印象的だった。このような言葉を言えるバンドになったのだと思った。このような言葉を言えるポジションのバンドになったのだと思った。
アンコール前にスクリーンに映像が流れた。内容は次のツアーの追加日程についてだ。日程と会場がスクリーンに次々と映し出される。
2020年10月10日(土)仙台ゼビオアリーナ
2020年10月11日(日)仙台ゼビオアリーナ
2020年11月 2日(月)大阪城ホール
2020年12月 6日(日)日本ガイシホール
2020年12月 8日(火)横浜アリーナ
2020年12月 9日(火)横浜アリーナ
全国4箇所6公演のアリーナライブが発表された時、会場から大きな歓声が巻き起こった。ライブハウスでの追加日程も発表されたが、それ以上に歓声は大きかった。
「ここが終着地点ではありません。俺たちは自分の足であなたに会いにきて、あなたは自分の足で会いにきた場所がここだったんだ」
この日のSUPER BEAVERはライブハウスでやること以上に大切なことを、改めて宣言しているように思った。
「自分のバンドを褒めることなんて滅多にしなけど、今日はここにあなたを連れてくることができたということについては、SUPER BEAVERを褒めたいと思います」
SUPER BEAVERは1人でも多くの「あなた」がライブに来てくれることが最も大切にしているのだと思う。だから多くの「あなた」が来てくれたことと、多くの「あなた」に会えたことを自身で褒めたのだだと思う。
「次はライブハウスで会いましょう」と音楽フェスで毎回言っていたバンド。ライブハウスをとても大切にしているバンド。でも人気が上がりライブハウスでは、なかなか会えなくなってしまったバンド。
彼らが選んだ「ライブハウスでもホールでもアリーナでもやるバンドになる」という決断を全力で支持したい。
1月12日の東京に流星群を降って降って降り積もらせたバンドは、どこでライブをやっても1人ひとりのために音楽を奏でてくれるような、正攻法を使うバンドであり続けてくれる予感がするから。
次がどんな場所でもかまわないから、また会いましょう。

SUPER BEAVER 1/12 代々木体育館
セットリスト
1. 世界が目を覚ますのなら
2.青い春
3.閃光
4.ラブソング
5.irony
6.正攻法
7.秘密
8.まわる、まわる
9.your song
10.人として
11.歓びの明日に
12.予感
13.27
14.東京流星群
15.嬉しい涙
16.全部
17.美しい日
EN1.シアワセ
