恋と退屈
曲名を見てニヤついてしまうことがある。
例えば曲のタイトルに隠れた意味が込められていることに気づいた時。アーティストのルーツの音楽に気づいた時。そんな時にニヤついてしまう。
「恋と退屈」。
この4文字を見てニヤつく人は「某ロックバンド」のことが好きな人だと思う。
そんな人はズーカラデルというバンドを聴いて欲しい。「恋と退屈」というタイトルの曲があるバンドなのだ。
自分も某ロックバンドが好きなので、ズーカラデルの曲名を見てニヤついてしまうはずだ。
曲を聴くと、歌詞のフレーズでまたニヤつく。
YOU AND I NOW AND FOREVER なんてね
ズーカラデルは某バンドに憧れているのだろうか。このような引用がいくつかある。
今夜世界の果てに囚われたあの子を
この手で助け出すような
くだらない事を考えて
そう言えば、某バンドは「宇宙の果ての城にあの娘は囚われたまま」と歌っていた。ズーカラデルはその曲を聴きながら、あの子を助け出すようなくだらないことを考えたのだろうか。
きっと某バンドのことを知らない人は気づかない部分。
知らなくても楽しむことができる音楽だとは思う。それでも、知っているとより楽曲に魅力を感じる。また違った音楽の楽しみ方ができる。
この記事では某バンドの名前はあえて伏せておきたい。これは某バンドのファンだけが楽しめる、ズーカラデルと共有できる秘密の特権とも思えるから。
某バンドのことが好きすぎるでしょ?
他の楽曲のタイトルや歌詞からも某バンドのニオイを感じる。
「漂流劇団」というタイトルにもニヤッとしてしまう。この劇団は漂流教室の生徒が組んだ劇団だろうか。
他にも某バンドから引用しているのではと思える曲名や歌詞がある。
「イエス」は純情可憐な君のことを思い浮かべながら製作されたのだろうかと思ってしまう。
ハロー!ハロー!
ズーカラデルの「ビューティ」のサビの最初のフレーズ。「ハロー」と呼びかけられると、素晴らしい世界が見えるような気がする。
ズーカラデルは某バンドに強い影響を受けているのだと思う。しかし、それは曲や演奏を聴いているだけでは気づきにくい。音楽性は某バンドとは全く違う。きっと某バンドのようなポジションを目指しているわけでもない。
ズーカラデルはズーカラデルとして音楽を作っている。
ズーカラデルにしかできない音楽
某バンドのライブは激しい。ダイブやモッシュは当たり前。メンバーも客も暴れる。
人によっては耳を塞ぎたくなるような荒々しい演奏と歌声。過激な歌詞もあるので生理的に受け付けない人もいるかもしれない。
それでも、自分には某バンドの歌も演奏も心にすっと入ってくる。まっすぐな言葉とまっすぐな演奏だからだ。それが魅力的だと自分は思っている。
ズーカラデルの音楽は激しいわけではない。メンバーも客もライブで暴れることはない。むしろ落ち着いているバンド。
彼らの知名度を上げた代表曲の「アニー」を聴いてみると、ズーカラデルの魅力がわかりやすい。
スリーピースバンドなので音数は少ない。その代わり、楽器の音、ひとつひとつが印象的。難しいことをやっているわけでもなくシンプルなのに。
それは「歌」を際立たせるように演奏しているからに思う。そのためズーカラデルの「歌」は心にすっと入ってくる。そしてグッときてしまう。歌をひきたたせようとするからこそ、歌モノの楽曲としては完成度が上がる。相乗効果で演奏も魅力的になるのだ。
ズーカラデルはリスナーに歌で語りかける。
ねえ、悲しくはないけど
全然 美しくないけど
YOU AND I
泥だらけの僕らの世界を救え
サビの最初の「ねえ」という言葉。まるで自分に話しかけられているような気分になる。この歌は自分のために歌ってくれているんではと錯覚してしまう。いや、錯覚ではない気がする。そういえば、また「YOU AND I」と歌ってる。聴いていてニヤついてしまうじゃないか。
この感覚、銀杏BOYZを聴いている時と似ている。銀杏BOYZもズーカラデルも心にすっと音楽が入ってきて、感動してしまう。そこが似ている。
暴れる。過激。うるさい。
銀杏BOYZの世間のイメージは、きっとこのような感じだ。しかし、それは表面的な部分しか見えていない。
しかも表面的な部分だけ真似ている銀杏BOYZのフォロワーバンドはたくさんいる。そういうバンドを見つけると、少し残念な気持ちになる。
ズーカラデルも銀杏BOYZから影響を受けてる。しかし、表面的な部分は全く似ていない。似せようともしていない。もっと深い部分の、最も大切な部分に影響を受けているのだと思う。だから、魂の部分では似ている気がする。
ああ、うっかり某バンドの名前を言ってしまった。あえて言わないで記事を書くことが粋だと思っていたのに。
1stアルバムのタイトルは「ズーカラデル」
発売したばかりのズーカラデルの1stアルバム。タイトルは「ズーカラデル」。バンド名と同じ名前のアルバムタイトル。
「これがこのバンドの音楽だ」という名刺替わりに聴いて欲しいという意味も含んでいるタイトルと思う。
このアルバムには「恋と退屈」も収録されている。銀杏BOYZから影響を受けていたり表現を引用していると思われる楽曲も入っている。それでも「ズーカラデル」というタイトルにした。
それは、影響を受けた音楽を自分の音楽として昇華し「ズーカラデルの音楽」を創ったという自信もあるからではと思う。影響を受けたルーツの音楽の香りもする。それも含めてズーカラデルにしか鳴らせない個性的な音楽。
ズーカラデルにしか作れない音楽が詰まったアルバムだからタイトルが「ズーカラデル」なのだと思う。
ズーカラデルは銀杏BOYZに憧れていたかもしれない。しかし、銀杏BOYZにはなれなかった。なろうともしなかった。
憧れのバンドの音楽から影響を受けつつも、自分たちにしか作れない音楽を作り、ズーカラデルでいようとしている。
それはアルバムを聴けばわかる。そこにはズーカラデルにしか鳴らせない音楽がある。
「恋と退屈」というタイトル。これを見て「銀杏BOYZのことが好きなバンドなんだろうなあ」と思ってニヤついた。
そして、1stアルバムを聴き終えてから、またニヤついてしまった。
「めちゃくちゃ良いアルバムじゃないか」と思ってニヤついてしまった。
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今週のお題「わたしの好きな歌」
