初めて観たaiko
会場が暗くなりオープニングムービーが流れる。会場からは大きな歓声と手拍子。ライブへの期待でテンションが上がる。
その歓声と手拍子はすぐに止まった。1曲目のピアノの音が鳴り始めた時だ。一瞬で空気が変わった。
落ち着いたスローテンポのピアノの演奏。ステージの照明はまだ暗い。全員が静かにステージを見つめる。
歌声が聴こえてきた。静かだけど丁寧に歌われている。
初めて生で聴いたaikoの歌声。1曲目はバラード。表現力の高さと、自分のステージから遠い席からでも感じる存在感に圧倒される。自分が想像していた以上にaikoは凄い歌手なのかもしれない。
1曲目が終わると間を空けずになだれ込むように次の曲になった。メドレーのように綺麗に曲が繋がる。
2曲目は1曲目とは全く違う曲調。明るいポップス。『ハナガサイタ』という曲らしい。一瞬でパッと明るい雰囲気になる。
1曲目とは違う表現の明るいaikoの歌声が響く。客席から大きな歓声が起こる。一瞬で空気を変えて客席のテンションを操るライブに鳥肌が立った。
そして「aikoの音楽が自分はすごく好きかもしれない」と思った。2曲目で自分はaikoのファンになってしまった。
「aikoのライブを全然aikoを知らないファンではない人間が観た感想」という記事タイトルを付けた。しかしこのタイトルは間違いだ。申し訳ない。ファンでなかったのは1曲目だけ。
この記事の内容は「ファンになって初めて観たライブの感想」が正しいかもしれない。
エンターテイメントだった
知り合いが行けなくなったチケットを貰ったことがライブに行くきっかけ。「有名アーティストだし1度ぐらいは観ておこうか」ぐらいのテンション。
自分はaikoの曲はほとんど知らない。ヒットしたシングル曲や10年以上前のアルバム曲ならば知ってる曲もある。しかし、最近の曲はシングル曲なら聴いたことがあるかもしれないというレベル。
会場はさいたまスーパーアリーナ。座席はスタンドの後方。離れた席でほとんど曲を知らない自分が楽しめるか不安だった。

しかし、そんな不安は吹き飛ばされた。これは誰もが楽しめるエンターテイメントだ。音楽自体に興味が薄い人も楽しめるかもしれない。
映像や照明の演出はかなり作り込まれている。ステージから離れた客席でも凝った映像を楽しめるし、照明の美しさに圧倒させられる。
光るリストバンドの演出も素晴らしかった。

全席に置いてあったリストバンド。このリストバンドがライブ中、曲に合わせて自動的に光る。光る色も楽曲ごとに変わったり、座席ごとに変化していた。
近年は他のアーティストも大会場でのライブで取り入れていることもある。しかし、この演出はaikoの楽曲とは特に相性が良いように感じた。
aikoの歌詞は独特な表現も多いが、aikoの言葉はすっと頭に入ってくる。その歌詞の言葉を彩るようにリストバンドによって客席が光る。演出によって歌詞が引き立ち、歌詞の物語の中へ引き込んでくれるような感覚。
セットリストは世間一般に知られていない曲も多かった。自分も知らない曲だらけ。しかし、それでも歌詞が頭の中に入ってきて感動してしまう。
演奏や歌だけでなく演出の力も大きく、その演出もaikoのライブと相性が良かったのだと思う。
もちろん、良かった部分は演出だけではない。演出以外がダメならば自分は感動することもなかった。
aikoを支える演奏
バックバンドの演奏力が高い。リズムはぶれないしギターもテクニカルなことをさらっとこなしている。それでいて迫力がある。
一流のミュージシャンがaikoの歌を支えているのだと思う。しかし、ステージでのパフォーマンスは一歩引いているのだ。
そのテクニックをアピールしようとしない。aikoがメインステージにいる時は客を煽る動きも最小限。激しく動くことも少ない。しかし、aikoがメインステージから離れて花道にいる時は激しく動いてパフォーマンスをしている。メンバー紹介の時は全力でバンドが主役になり盛り上げる演奏をする。
演奏だけでなくパフォーマンスもaikoを引き立たせることを意識しているように感じる。
良いミュージシャンは目立って主役になるだけでなく、一歩引いて主役を支える役割ができるプレイヤーのことを言うのかもしれない。
そして、主役のaikoもバックバンドに負けないぐらい、歌手としてアーティストとして一流だった。
ポップスター
自分がライブを観てロックスターだと思ったアーティストやバンドはいくつかある。
例えばロックインジャパンで観た矢沢永吉や東京ドームで観たTHE YELLOW MONKEY。
彼らはステージに立っているだけで惹きつけられる魅力的なオーラがあった。もちろんパフォーマンスにも圧倒された。まるで映画の中から出てきたかのようで、何もかもがカッコ良かった。
これがロックスターなのだと思った。aikoからもそれと近いものを感じた。しかし、少しだけ違うと感じた部分もある。aikoはロックとは少し違った。
自分が観たロックスターは憧れに近いものを感じた。親しみよりもカリスマ性を感じ、観ていて鳥肌が立つぐらい興奮した。
しかし、aikoからは親しみを感じた。観ていて誰もが笑顔になってしまうような。
アップテンポもミドルテンポもバラードもなんでも歌いこなし、ステージや花道を動き回ってパフォーマンスしていたaiko。
そのパフォーマンスはキラキラしていて惹きつけられる。誰もが楽しめるポップスを、全ての人の心に直接届けてくるような感覚。
aikoもスターだった。どんなポップスも歌いこなして人を感動させてしまう、ポップスターだった。
MCではち◯この話しばかりしていて、「たまアリだから玉アリの話ししてる」と言って客を苦笑いさせたことも含めてポップスターだった。それも楽しかったのだから。
自分が最も感動した場面
自分が感動し、震えて、涙が出そうになった場面もある。
『ロージー』という曲を歌っていた時だ。
ミドルテンポの楽曲。花道の後方まで歩いて歌っていた。この曲はキーが高いのだろう。どの曲も軽々と歌いこなしていたaikoもサビが苦しそうだった。
MCでも「昔の自分にキーを下げろと言いたい」と話していた。ち〇この話以外で自分が唯一覚えているMC。
しかし、しっかり声を出して、声が裏返ることもなく歌っていた。魂を込めて、もうすぐライブが終わることを噛みしめているように感情を込めて。
さっきまでMCでち◯この話をしていた人物とは思えないような歌声。
それが自分にとってのハイライトだった。「今日さいたまスーパーアリーナに来て良かった」と最も感じた瞬間だった。
またライブを観たいと思った理由
誰が何を言おうと関係ない
あたしは味方よ
そんなの当たり前の話よ
aikoがアンコールの最後に歌った楽曲のこのフレーズを聴いた時、不思議な感覚になった。
16,000人ほど会場にいる。それなのにまるで自分に歌ってくれているような感覚になった。「会場のみんな」ではなく「会場にいる1人1人」に向けて歌っているように感じた。
そのような感情にリスナーをさせることができるから、20年も第一線でアーティストとして活動できているのだと思う。
これは『be master of life』というタイトルの楽曲。
ポップで明るくて前向きな曲。それをポップスターのaikoが歌う。グッと来ないはずがない。最後にこの曲を歌ったことで、楽しかったライブの余韻が全然覚めない。楽しさを忘れさせないような魔法をかけられた気分。
MCのち〇この話と共に、aikoの歌声が忘れられなくなる。あの楽しい体験をまた求めてしまう。歌詞のフレーズに嘘はなく、誰が何を言おうと自分の味方でいてくれるような気がした。またaikoに会いたくてなってしまう。
aikoは最高に楽しい思い出を作ってくれるし、自分の味方でいてくれる。だからすぐにでもまたライブを観たくなった。
なぜ自分は今までaikoを観なかったのか?
今は人気アーティストのワンマンライブよりも、複数のアーティストが出演する音楽フェスの方がチケットが売れることも多い。フェスでライブを観て気に入ってワンマンライブに行く人も少なくはない。
aikoは夏フェスなどの音楽フェスに出ることは少ない。
自分がワンマンライブに行くアーティストは、特に大好きなアーティストや、イベントやフェスでもっと観たいと思うアーティストばかり。
だから、aikoのライブを観る機会もなかったし、わざわざワンマンライブに行こうとも思わなかった。これほど良いライブをやるならばもっと早くにライブへ行けば良かったと後悔している。
ライブで印象が変わったり、ライブで魅力を強く感じることは少なくない。きっとaikoはライブで最も輝くアーティストだ。
だから少しでも興味があるならばライブを観に行くことをオススメしたい。aikoもできれば夏には野外フェスに出演して、aikoを知らない人や魅力に気づいてない人に最高のパフォーマンスを見せつけて爪痕を残して欲しい。
きっと自分と同じように衝撃を受ける人が沢山いるはずだ。
だけど、もしフェスに出てもち〇この話はしなくて大丈夫です。

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