1曲も知らなかった
去年リリースした嵐のアルバムがとても良くて。それについても記事にしたのですが、想像以上の方々に読んでいただけて嬉しかったです。
ジャニオタじゃない男ですが嵐の新譜『untitled』が凄かったのでレビューしました。
— むらたかもめ (@houroukamome121) 2017年10月17日
音楽好きは聴いた方が良いアルバム。
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それ以降は嵐を中心に過去のジャニーズの作品も聴いたりしていたんですよ。楽曲が作りこまれているし、当然かもしれないけどもグループごとに方向性も違って、それぞれ違う魅力があるなあと思ったり。
それだけ聴いていれば男だとしても既にジャニオタじゃないかと言われそうだけども、まだ全然聴いていないグループもあるわけですよ。それにメンバーよりも楽曲の方に興味があるので顔と名前を知らないジャニーズのグループもたくさんあるんですよ。そのうちの1つがSexy Zone。
そんなタイミングでSexy Zoneがアルバムをリリースすると知った。正直、1曲も知らなかったけども、最近中島健人をテレビでよく見かけて個人的には好感度が高い。新譜を出すなら聴いてみようかなと思った。 『XYZ=repainting』というアルバム。5枚目のアルバムで”新たなスタート””更なる挑戦”をテーマにした作品。
そして、聴いてみて思ったこと。
Sexy Zoneの楽曲は他のジャニーズとは違う”音楽の作り方”をしているのではということ。
今回の記事も嵐の記事と同様、メンバーのかっこよさや魅力について語ることはファンに任せ、自分は音楽の部分でSexy Zoneの『XYZ=repainting』の魅力を語ってみようと思う。
01.XYZ(Introduction)
作詞:佐々木詩織
作曲:CHOKKAKU
編曲:CHOKKAKU
コーラスアレンジ:佐々木久美)
音楽のアルバムでintroductionも言われるとイメージするものは曲と曲との繋ぎであったり、導入部などだと思う。しかし、この曲はもはやintroductionではないです。1曲として成立している。作曲はCHOKKAKU。
CHOKKAKUと言えば様々なアーティストの編曲やプロデュースを行っている超一流音楽プロデューサー。作曲よりもプロデュースや編曲を担当することが多いかと思う。ちなみに松隈ケンタの師匠です。
編曲はストリングスの旋律が心地よいが、ベースラインは動き回っていてカッコいい。この絶妙なバランスに聴き入ってしまう。
そしてコーラスアレンジは山下達郎やMISIAの作品やライブにも参加している歌手の佐々木久美。ファンクやゴスペルを少し感じるコーラスはその影響だろう。また、そのコーラスもよく聴くと複雑で面白い。
しかし、アイドルぽさは全く感じないし、メンバーの存在感も殆どない。それは駄目というわけではない。むしろ良いことにすら思える。この曲を最も魅力的に聴かせるためにはそうなったということだ。
イントロダクションの楽曲も完成度の高い1曲として成立させることで、アルバムの最初から最後まで通し、アイドルソングの部分ではなく、純粋に音楽としてこだわった作品を作っているということリスナーに伝えようとしているのではと感じた。
02.忘れられない花
作詞・作曲・編曲:さかいゆう
R&Bの楽曲。これもコーラスが良い。Sexy Zoneはメンバーそれぞれの歌のハーモニーを強みとして推していきたいのだろうか。
楽曲提供者は自身もアーティストとして活動しているさかいゆう。R&Bやジャズをポップスに昇華したような楽曲が多いアーティスト。アニメ『のだめカンタービレ』の主題歌も歌っていたので聴いたことがある人もいるかとは思う。
打ち込みメインのダンスチューンだが、さかいゆうはスローテンポのR&Bやミドルテンポのポップスを自身が歌うことが多いように感じる。『忘れられない華』はさかいゆうのこれまでの楽曲とは少しだけ雰囲気が違う。楽曲提供だからこそ生まれた新境地かもしれない。
演奏はベースが歌うようにメロディを奏でていてかっこいい。特にサビのベースラインが聴きどころ。
03.PEACH!
作詞:宮田航輔(nicoten)
作曲:Susumu Kawaguchi、Albin Nordqvist、Louise Frick Sveen
編曲:CHOKKAKU
コーラスアレンジ:佐々木久美
こちらもコーラスが凝っていると思ったら、コーラスアレンジは佐々木久美。編曲はCHOKKAKUと1曲目のintroductionと同じコンビ。この2人は相性が良さそう。
作曲には川口進がいる。川口進はジャニーズの多くのグループに楽曲提供をしているようだが、個人的にはアニメ『けいおん』に多くの楽曲を提供していたのが印象的。泣きメロが得意なメロディメーカーでもあると思う。
そして同じく作曲のAlbin NordqvistとLouise Frick Sveenはスウェーデンのミュージシャン。嵐の『untitled』には多くのスウェーデンのミュージシャンが参加していた。やはりジャニーズはスウェーデンに子会社を持っているのか?
日本人とスウェーデン人の共作だからこその面白さがあると思える曲。メロディはJ-POP的でメロディアスなんだけども、音や構成は洋楽的にも感じる。Aメロでの転調だったり2人でそれぞれ違うメロディを歌ったりとJ-POPではあまり聴かない要素が含まれている。
04.ROCK THA TOWN
作詞:EMI K. Lynn
作曲:Christofer Erixon、Josef Melin
編曲:CHOKKAKU
Aメロのボーカルの掛け合いが面白い。せわしなく入れ替わるボーカルが聴いていて新鮮。これもベースラインが動いていてかっこいい。特にAメロのベース。あと、エレキギターのカッティングもファンクっぽくてかっこいい。
ちなみにこの曲も作曲はスウェーデンのミュージシャン。嵐の『Green Light』を作曲した方々です。スウェーデンの音楽はかつて日本でもブームになったこともあり、日本人にもなじみやすい音楽だと思うが、それでも日本人の作品とは違った雰囲気がある。そんな楽曲に日本語詞が乗ることで他のJ-POPにもないオリジナリティや新鮮さが加わっているように思う。
05.Birthday for you
作詞:MiNE
作曲:David Amber、Andy Love
編曲:David Amber
これもベースが印象的。サビでも一番の目立つ音がベース。ダンスミュージックとしてリスナーを踊らせることを目的としているように感じる。
作曲のDavid AmberはアメリカのミュージシャンでAndy Loveはイギリスのミュージシャン。そのためか、かなり洋楽のダンスミュージックよりの編曲。歌を聴かせるというよりも、音を聴かせて踊らせるような感じ。編曲もDavid Amberが行っているので、その傾向がかなり強くなっている。
日本のポップスは昔からメロディアスな曲が人気でメロディ重視だが、現在海外で人気のポップスはリズムに重点を置いている楽曲が多い。
Birthday for youもリズムにこだわっていることを感じる作品。それを日本のアイドルが歌うことで日本的なポップさも加わっている絶妙のバランス。
06.ぎゅっと
作詞:宮田航輔(nicoten)菊池風磨
作曲:ひろせひろせ
編曲:CHOKKAKU
キャッチーなポップス。ピアノがシンプルだけども、それが歌の良さやメロディの良さを引き立てている。サビ前のストリングスの盛り上げ方がいい。サビ後のギターとホーンの演奏も心地よい。
個人的にはシンプルなドラムが好き。あえて自己主張しないシンプルさで曲の可愛らしさやポップさを引き立てている。ホーンやストリングスは壮大に複雑に絡む演奏だけど、ドラムはシンプルだから曲としても複雑にならずにバランスが取れているポップス。
07.プンププンプン
作詞:三浦徳子
Rap詞:Komei Kobayashi
作曲:Jon Hallgren、Fredrik"Figge"Bostrom、Carlos Okabe
編曲:生田真心
音数が少ないものの、心地よく踊れそうなダンスチューン。打ち込みの音が中心で使われている1つ1つの音が面白い。様々な音が使われているが、必要な時に必要なだけ使っているようで、音がごちゃごちゃになることがなくすっきりしている。サビはJ-POP的なシンプルなメロディだが、それ以外の部分は不思議でおかしなメロディ。
でもキャッチー「プンププンプン」という歌詞のフレーズによってポップさやキャッチーさが加えられている。
作曲はまたもやスウェーデンのミュージシャン。Jon Hallgrenは安室奈美恵や三浦大知にも楽曲提供をしている。ダンスミュージックが得意な作曲家だが、今作はそれらのダンスミュージックとも方向性が違う楽曲にも思う。
08.Fantasy~1秒の奇跡~
作詞:佐藤舞花
作曲:Takuya Harada、Xisco
編曲:Xisco
打ち込みのEDM。音の作り込みが凄い。ボーカルのエフェクトのかけ方もこだわっているように思う。バックトラックの音も凝っている。音の響かせ方にこだわりながら編曲したのではと思う。
バックトラックは最近流行りの音を取り入れているような感じ。それも日本ではなくイギリスあたりの。でもメロディはJPOP的なのが面白い。これはスウェーデン人やイギリス人ではなく日本人が作曲を行った楽曲だからかもしれない。
Sexy Zoneのアルバムを聴くと国別の作曲の傾向を知ることができるというまさかの展開。
09.名脇役
作詞・作曲:竹縄航太(HOWL BE QUIET)
編曲:竹縄航太、sugarbeans
コーラスアレンジ:竹内浩明
シンプルなピアノのバラード。かと思いきやサビのストリングスがいい仕事をしている。あとアコースティックギターのカッティングも素晴らしい。。それぞれの楽曲が壮大に弾くのではなく抑えつつ弾いてる。それが歌を引き立てている。
このアルバムの中では歌を聴かせようとしている意識は最も高い楽曲に感じる。メロディも歌詞も良い。他の収録曲はバックの音に注目しがちだったが、この曲は歌が主役。
とはいえ楽器の演奏も上で述べたようにクオリティも高い。楽曲提供者はHOWL BE QUIETの竹縄航太。2016年にメジャーデビューしたロックバンドのフロントマン。バンドマンだけあって、やはり楽器へのこだわりもあるのだと思う。
10.よびすて
作詞:久保田洋司
作曲:RYLL
編曲:CHOKKAKU
フラメンコな雰囲気が印象的。ギターのアルペジオが温かみがあって心地よい。それに無機質な音のドラムの打ち込みも心地よい。この暖かさと無機質さの組み合わせが曲の深みを増しているように思う。
作曲はヒップホップグループRAM WIREのRYLL。トラックメーカーであるRYLLは自身のグループでも繊細なトラックを作っているが、Sexy Zoneへの楽曲提供で同様に繊細に作りこまれている。編曲のCHOKKAKUとの相性も良い。
11.Unreality
作詞:Komei Kobayashi
作曲:Fredrik"Figge"Bostrom、Pontus Soderqvist
編曲:Pontus Soderqvist
EDMで気持ちよく踊れるダンスチューン。ストリングスのリフがカッコいい。かなり洋楽的なアプローチの楽曲。
予想通り作曲も編曲もスウェーデンのミュージシャン。音だけ聴いていたら日本の楽曲とは思わない方向性の楽曲だからね。
12.Pheromon
作詞:上中丈弥
作曲:Mats Ymell、Jussi Nikula、Joakim Brunstrom
編曲:岩田雅之
ジャジーな雰囲気ながら音は打ち込みが印象的。ベースも良い。歌の音符の乗せ方がここちゃい。この曲でも、そうだけど、このグループ、ユニゾンで歌う部分よりもソロで歌っている部分の方が印象的。歌のメロディのリズムの載せ方が心地よい。
作詞はTHEイナズマ戦隊の上中丈弥ですね。イナズマ戦隊は泥臭く熱いロックを歌うことが多いバンドだが、この曲はロックではない。そういった曲で上中丈弥の詞が乗っかるのも面白い。
13.ラブマジ
作詞・作曲:水野良樹
編曲:田中ユウスケ、近藤隆史
ブラスアレンジ:本間将人
ストリングスアレンジ:美央
コーラスアレンジ:田中耕作
シンプルでさわやかな曲。J-POPの教科書通りに使ったような感じ。変わった曲が多い分引き立つ。ストリングスが特に良い。これがさわやかな印象的をつくっている。メロディも思わす口ずさみそうな感じ。
今作の中ではダントツで『ザ・J-POP』という感じの楽曲だが、関わったミュージシャンを見ると、それも当然と思ってしまう。J-POPの第一線で活躍しているミュージシャンばかりだからだ。
いきものがかりの水野良樹にagehaspringsの田中ユウスケ、ドリカムのサポートや上原ひろみのバンドにも在籍していた本間将人、水樹奈々のコーラスをしている田中耕作などJ-POPシーンでの一目置かれる存在の方々ばかり。これだけ集めれば完成度の高いポップスになるのは当然だろう。
14.Ignition Countdown
作詞:EMI K. Lyn
作曲:Fredrik"Figge"Bostrom、Susumu Kawaguchi、佐原康太
編曲:生田真心
EDMのダンスチューン。打ち込みの音がメインだけども、ギターのカッティングが良いです。あと、たまに入ってる歪んだギターも。打ち込みと生楽器の組み合わせが上手い。
日本人とスウェーデン人の共作。このような共作ができるのは珍しいと思う。
15.フィルター越しに見た空の青
作詞:MiNE
作曲:MiNE、Atsushi Shimada
編曲:DJ Mass(VIVID Neon*)、Shoko Mochiyama)
作詞作曲は天才凡人のメンバーであるMiNEとDJ SHIMADA。この2人は他にも多くのアーティストやアイドルに楽曲提供をしている。もちろんジャニーズのアイドルにも。自身もアーティストとして活動している。
爽やかでキャッチーなポップスが多い天才凡人。その強みは楽曲提供でも存分に生かされていると感じる。
16.最後の笑顔
作詞:タナカヒロキ(Lego big morl)
作曲:Kinboom、KOUDAI IWATSUBO
編曲:船山基紀
少し気の抜けたような演奏から始まる楽曲。それが楽しい。ポップなメロディ。ホーンとピアノも良い。ビッグバンド的な演奏。楽しい。
ストリングスが入るとより華やかになり聴きやすくなる。それぞれの楽器で面白いフレーズも弾いていて聴きごたえがある。ベースラインがいい。歌うように動いているベースラインが心地よい。イントロのギターが目立っては居ないが楽曲を支える重要な演奏に思う。
作詞はLego big morlのタナカヒロキ。個人的に好きなバンドです。
他のグループとは違う個性的な歌割り
基本はEDMが多いグループに思うが、様々なジャンルの音楽を取り込んでいるようにも感じた。それは自分が聴いてきた嵐や関ジャニ∞やV6など他のグループも同様だとは思う。
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しかし、他のグループとはボーカルのディレクションわが少しだけ違うように感じた。それは、ボーカルの歌割りへのこだわりだ。
歌割りが複雑だ。入れ替わりが多かったり、違うメロディを2人のメンバーがそれぞれ同時に歌ったりと。これは編曲をする上でも難しいやり方だとは思う。ただせわしなく感じさせてしまう可能性もあるからだ。でんぱ組のようにそのせわしなさが面白さや新しさ作る場合もあるが、それはかなり上手くはまった奇跡的なものだ。
しかしSexy Zoneにせわしなさは感じない。それよりも心地良さやかっこよさを感じる。これは作曲や編曲はポップスとして1人で歌っても成立しそうな曲が多いからだと思う。でんぱ組のでんでんぱっしょんとかももクロのマホロバケーションはグループ出なければ歌うことができないせわしなさなわけで。(それによる魅力もあるとして)
あくまで、1人でも歌うことができる通常のポップスとして成立しているところに、味付けとしての複雑な歌割りなのかなと思う。そして、これはボーカリストに歌唱力がなければできないことであり、Sexy Zoneの強みなのかなと思う。もちろん普通の歌割りの曲も収録されたいるけども、歌唱力の高さはそこでも感じる。
先輩グループの良いところを組み合わせたアルバム
去年発売された関ジャニ∞とV6のアルバムは日本人の作曲家の楽曲提供が多かった。レキシや石野卓球や秦基博など、楽曲提供者自身もアーティストとして活動している場合も多かった。
それに対して嵐のアルバムはスウェーデンの作曲家が多かった。実質スウェディッシュポップではと感じる程に。そして、日本でも本人がアーティストとして活動している楽曲提供者は少なかった。
これはどちらが良いとい話ではなく、それぞれのグループのカラーやアルバムのコンセプトによるものだと思う。
そして、Sexy Zone の『XYZ=repainting』にはそ両方がある。スウェーデン人も日本人も同くぐらい関わっている。それによって日本人だけでも出せないし、スウェーデン人だけでも出せないようなアルバムの個性が出ているように思う。
“新たなスタート”、“更なる挑戦”をテーマに掲げて『XYZ=repainting』は制作らされたらしい。このテーマを実現させるための挑戦の1つが、去年リリースされた先輩グループの作品の良い部分を積極的に取り入れ、その上で他とは違う個性を出そうとしたことではと思う。取り入れとと言っても似ているわけでもなくきちんと個性もある。作品としてクオリティの高いものになっている。
というわけで、メンバーの名前を1度も出さず、殆どメンバーには触れなかったSexy Zoneのアルバムのレビューでした。
一言でまとめると、音楽好きにもオススメです。
