自分も奥田民生になりたいボーイ
奥田民生ってかっこいいなと思う。
音楽的な部分はもちろんなんだけど、人柄というか生き方と言うか、存在自体が個性的でかっこいい。
あんなふうにゆるく生きれたらと思うけども、自分がゆるく生きようとしても奥田民生にはなれないし、それどころかゆるめるモにもゆるキャラにもなれない。
ただだらしない人間になってしまう。
久々にリリースされた奥田民生名義でのアルバム『サボテンミュージアム』。
これも奥田民生という存在がにじみ出たような作品だなと思う。
この作品も奥田民生と同様、ゆるい。
でも他のミュージシャンには絶対に真似ができないような作品。
ゆるいだけではなく、ロックのアルバムとして抑えるところはきちんと抑えていて、ゆるいのにかっこいい作品だ。
それは奥田民生のキャラクターと同じだし、奥田民生だからこそ作れた作品ではと感じる。
ユニコーンともサンフジンズとも違うソロだからこそできる奥田民生の音楽。
1曲ずつレビューと感想を述べてみる。
01. MTRY
シンプルなロックンロール。
演奏も変わったこともやってなく、ロックンロールの教科書通りの演奏と言う感じ。
それなのに曲始まりのギターの音からしてすぐに奥田民生だとわかるような曲。
歌も演奏もあえて荒々しくしているのがかっこいい。
中盤のピアノソロがかっこいい。
アルバムの1曲目にふさわしい疾走感のあるロックンロール。
02.いどみたいぜ
1曲目の疾走感を引きずるようなロックンロール。
ギターの音がカッコいい。
中盤のギターソロも良い。
サビの後にテンポが一旦落ちるところも印象的。
その時のピアノの演奏も最高。
ベースとドラムのリズム隊はシンプルながら曲をしっかり支えるようなしっかりとした演奏。
03.サケとブルース
この曲は歌詞も面白い。
奥田民生的ブルースという感じ。
ダミ声の民生の声が心地よい。
この曲もピアノの演奏も印象的。
間奏のピアノとギターの絡み方が気持ちいい。
ベースもコミカルな雰囲気のベースラインで曲を引き立てていて良い。
04.エンジン
ミドルテンポの重めの演奏の楽曲。
3曲目の軽い演奏とは打って変わった感じ。
重い演奏ではあるが、アコースティックギターも鳴っているが、それが曲全体にフォーキーな雰囲気も出している。
演奏も曲も歌詞も奥田民生の十八番と言えるような感じ。
曲作りの特異なパターンに当てはめている感じ。
安心して聴ける名曲。
サビのメロディと歌詞は1回聴けばすぐに覚えられそうなキャッチーさ。
映画カーズの日本版主題歌にもなっている曲。
05.ミュージアム
今作はギター、ベース、ドラム、ピアノとシンプルな編成の曲が多いが、この曲は色々な音が鳴っている。
聴いていて楽しい曲。
個人的にはベースラインが好き。
アルバム収録曲の中では最もベースラインが動いていて聴きごたえがあると思う。
アコースティックギターとキーボードの音の絡み方も好き。
06.俺のギター
踊りたくなるようなロックンロール。
俺のギターというタイトル通り、ギターの音が印象的。
エレキギター2本の音の絡み方がカッコいい。
しかしギター以外の音も印象的な演奏をしている。
07.白から黒
スローテンポの重い演奏の曲。
個人的にはアルバム収録曲で最も好きな曲。
この曲もギターとキーボードの音の絡み方が絶妙でカッコいい。
演奏に良い感じの隙間があって、それが心地よいノリを作っている。
サビのギターはサビでも盛り上げるわけではなく、シンプルな演奏をしている。
でもそれによってじわじわと曲に酔いしれることができるような、じわじわと良さが伝わってくる名曲。
08.歩くサボテン
ドラムのリズムパターンが面白い。
そのドラムに合わせるようなベースも独特のノリを生み出している。
ギターとキーボードも演奏で一部あえて音をぶつ切りしているかのような演奏をしていて、それも演奏を印象的に感じさせる良いアクセントになっている。
09.ゼンブレンタルジャーニー
タイトルや歌詞はユーモアがあって面白い。
それなのに曲や演奏は硬派なロック。
途切れずに鳴っているキーボードの音が気持ちいい。
ドラムとベースはシンプルで安定した演奏をしているが、ギターはそれに比べると自由に弾いているように感じる。
楽器それぞれが他の楽器の音とのバランスを考えているような感じ。
10.明日はどっちかな
アコースティックギターの弾き語りで歌う民生のボーカルが心地よい。
奥田民生はシンガーとしても上手いことを実感できる曲。
途中の音数は少ないながらも印象的な歪んだギターの音が印象的。
11.ヘイ上位
アルバムの最後の曲はミドルテンポのロックチューン。
これも演奏がカッコいい。
サビのバックでなっているキーボードの音が好き。
ギターの音作りも面白いなと思う。
中盤のセッション部分でのギターのエフェクトの変化のさせ方が独特で印象的。
このアルバムではドラムはシンプルなリズムを刻むことが多かったけども、この曲は少し変わったリズムパターンも聴ける。
これはゆるいのか?
渋くて心地よくてシンプルなロックンロールアルバムに感じた。
収録時間も長いわけではなく、最後まで中だるみせずに聴くことができる。
しかし、1曲1曲を聴くと飛びぬけている曲はない。
奥田民生が作った作品だとすぐにわかるような曲ばかりではある。
しかし、そこに新しい挑戦や実験などはないように感じる。
嫌な言い方をすると、手癖で作った感じもする。
しかし、自分にとって『サボテンミュージアム』は長いこと聴き続けるアルバムの1つになるだろうなと確信している。
奥田民生の持っている、他のミュージシャンにはない良い意味でのゆるさが詰まっていて、それが他にない個性になっている。
奥田民生のキャラクターや生き方を真似して、表面だけゆるさを取り入れてもただだらしなくなることと同じように、ゆるいように見えて、他の人にはできない唯一無二の奥田民生の音楽になっている。
表面だけ他のミュージシャンが真似をしても、退屈な音楽になっていたかもしれない。
奥田民生自身がゆるいわけでもなく、奥田民生の音楽がゆるいわけでもなく、奥田民生や奥田民生の音楽を聴いた人の心をゆるめているだけなのだ。
ゆるいのにカッコいいロック。
そんな音楽をやっているのは奥田民生だけかもしれない。
