ロック系のアイドル多くない?
「アイドルらしからぬパフォーマンスをするアイドル」
「アイドルらしからぬ楽曲を歌うアイドル」
5~6年前ならばマイノリティで面白がられたこういったキャッチコピーのアイドル。
でも、今はそのキャッチコピー、全然新しくもないし、面白くもない。
こんなキャッチコピーをつけているアイドルだらけになっているからだ。
最近デビューしたアイドルは、正統派アイドルよりも何かしら曲にもキャラにも癖のあるグループが多いように感じる。
正統派でやるとしてもAKBグループやハロプロがいたら何かしら特徴をつけないと注目もされない。
そんな”個性”の1つとしてアピールするグループが最近多いのが「ロック」を歌うアイドル。
「ロック」に目をつけるのは良いところに目をつけてるとは思う。
ロックが好きな音楽ファンはお金を落としてくれる人が多い。
テレビに出ないロックバンドでもライブはそれなりの規模でもソールドアウトすることは珍しくないし、大規模で人気な音楽フェスはロックフェスだ。
でも、それは成功の近道であるようで、実は普通のアイドルをするよりも成功が難しいいばらの道かもしれない。
ロックが好きな人は「ロック」というものに個人的な特別な価値観を持っていたりする。
音楽に詳しかったり楽器をやっている人も多い。
アイドルとしてのかわいらしさよりも、音で勝負しなければならない部分も大きい。
しかも第一線で活動している人気バンドや実力派のミュージシャンを相手にだ。
以前だったら「ロック」を歌うだけでも個性になっていただろう。
ベビメタは世界的に成功しているしBiSやBiSHだって音楽的にも評価されている。
正直今からロックを歌ってもすでに注目されているグループが沢山いる。
これから注目されることは難しいとは思う。
今キテるロック系のアイドル
今人気が急上昇しているロックを歌うアイドルはBiSHとPass Codeだと思う。
ベビメタはすでに別次元の比べられないほどの人気になっているのであえて除外したが、アイドルファンやロックファンを除く一般層まで浸透する可能性があるグループはこの2組だと思う。
BiSHは幕張メッセイベントホールでのワンマンライブも成功させるほどの人気で、まだ一般層までは存在が浸透してはいないが、トップアイドルと言っていいかもしれない。
人気や勢いは他のグループと比べても頭一つ抜けているなと思う。
Pass CodeもメジャーデビューをしZeppや新木場スタジオコーストなど千人以上の規模でワンマンライブも行った。
数千人から数万人が集まるロックフェスのステージに立ってパフォーマンスもした。
関連記事:【ライブレポ】2017.7.22 BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL “REVOLUTiONS“@幕張メッセイベントホール -
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個人的にこの2組に続く人気になるのではと思っているグループがいる。
それはヤナミューことヤなことそっとミュートというグループだ。
まだまだBiSHやパスコと比べると全然人気はない。
でも、個性や実力では負けていない。
そして上記2組とはまた違った音楽性を持っている。
BiSH、パスコ、ヤナミュー。
この3組はロックを歌うアイドルとしては関連付けることができると思う。
しかし、ロックでも歌っているジャンルもファンにすべく狙っているターゲットも違う。
曲の方向性だけでなく、音作りやライブのコンセプトも違うように感じる。
BiSHの曲の方向性や音作りについて
まずは3組の音楽性の違いについて。
これは3組それぞれの曲を聴いてもらった方がわかりやすいと思う。
BiSHの知名度や人気を急上昇させるきっかけにもなった人気曲のオーケストラ。
この曲の面白いところはドラムだと思う。
ドラムの手数がかなり多いのだ。
視聴音源の冒頭のイントロのドラムも手数が多く高速だ。
BPMがそれほど早いわけではない、どちらかというとミドルテンポの曲にも関わらず。
それなのにドラムの音の1つ1つは繊細な音をしているようにも感じる。
ちなみにBiSHの曲はオーケストラに関わらずドラムの手数が多い曲も多い。
ライブでバンドが再現する場合は実力派のドラマーでないと叩くことが難しいだろうし、ツインドラムでないと完全再現は難しいかもしれない。
ライブでこの手数で叩けても、音の表現としてはどうしても粗いものになってしまうかと思う。
👇BiSHの生バンドでのライブ映像(画像をクリックで動画になります)
BiSHは生バンドを引き連れてのライブツアーを行ったこともある。
その時は楠瀬拓哉というドラマーが担当していた。
元ヒステリックブルーのメンバーで、他にも多くのミュージシャンをサポートした経験がある一流ドラマーだ。
それでもドラムはライブ用にアレンジをして叩いている曲もあった。
むしろ実力があるからこそライブ用に上手くアレンジできたのだとは思う。
また、スタジオ録音の音源だと多くの楽器の音を重ねている。
オーケストラもギターを複数本重ね、ストリングスやピアノなど他にも様々な音を重ねている。
他の楽曲でもギターだけで3~4本重ねている曲も珍しくないように感じる。
生バンドとライブを行ったときはバンドの音だけでは足りなかったので、オケも流して演奏と同期させていた。
これらのことからBiSHの楽曲はライブでバックバンドをつけたときの再現性は重視してなく、音源として作りこんでいる完成度の高い楽曲にすることを意識していると感じる。
そして、このように音を重ねて完成度を高める編曲はJ-POPとしても成立しているロックバンドの曲に多いように感じる。
ロキノン系バンドが好きな人に興味を持ってもらえそうな音。
その中でもJ-POPを聴く層にもファンが多いような人気バンドのような音作り。
極端な例えかもしれないが”アイドル会のBUMP OF CHICKEN”的な音作りに感じる。
BiSHの曲の方向性や音作りはロックとして曲の形を崩さずに、普段はロック以外を聴いている人にも引っかかるような部分も取り入れているのだろう。
そのため現在のアイドルグループの中では正統派でないにも関わらず、頭一つ抜けた人気や勢いを獲得しつつあるのだと思う。
Psss Codeの曲の方向性や音作りについて
次はパスコことPass Codeの曲を聴いてみよう。
同じロックを歌っているとしてもBiSHとは全く系統が違うことがわかるかと思う。
BiSHのオーケストラよりも激しい演奏だが、ドラムの手数はそれほど多くはない。
音はBiSHと同様に多めに重ねてはいると思う。
それでも重ねている音の系統は違うように感じる。
ギターの音の重ね方は近い部分もあるが、それ以外の音はパスコの場合打ち込みの音やシンセサイザーの音を重ねていることが多い。
そしてボーカルの声にもエフェクトをかけている。
あとはBiSHにはないデスボイスと言っていいほどのシャウトもあったり。
👇Pass Codeの生バンドでのライブ映像(画像をクリックで動画になります)
パスコも生バンドでのライブやツアーを行ったことがある。
回数で言えばBiSHよりも多いし、頻繁にバックバンドを従えてライブを行っている。
むしろバックバンドがいることが基本で、いないライブの方が少なくなっている。
バックバンドはキーボードとギター2本とベースとドラムの5人体制だ。
パスコの曲もバンドで演奏するとなると難しいとは思う。
そのためか生バンドだとい一部は音源とは違う簡略化されたアレンジにもなっているし、オケの音と楽器の音を同期させている部分もある。
曲に関してはBiSHと同様に作りこまれている。
しかし、パスコはライブではバンドをつけてパフォーマンスすることも大事にしているように感じる。
Pass Codeの音楽のジャンルはラウドロックだ。
その中でも電子音も組み合わせているピコリーモというジャンル。
日本でラウドロックをやっているバンドは音楽フェスの常連であったり、バンド自らが主催してフェスやイベントを開くことも多い。
上記動画はFear,and Loathing in Las Vegasというバンドが主催したMEGAVEGASというロックフェスにパスコが出演した際の映像だ。
PassCodeはBiSHと比べると幅広い層にアピールするよりも、ラウドロックが好きな人たちに向けてアピールしているのではと感じる。
そういった音楽が好きな人はライブに行くことも多い。
そしてラウドロックのライブは音圧が高いため音が大きい。
ラウドロックが集まるイベントやフェスにパスコが出演して生バンドでなくオケを流していたら、どうしても音圧で負けてしまう。
録音環境や音質にこだわれば音圧た上げられるだろうが、バンドが集まフェスでロックを歌うグループがカラオケでは見た目的によろしくはない。
そのため生バンドにこだわったステージをやっていこうとしているのではとも思う。
ちなみにパスコは最近はアイドルといっしょのイベントに出るよりも、バンドといっしょに対バンを行ったりフェスへ出演することが多い。
BiSHは幅広い層にアピールし、ファンを拡大したり知名度を上げようとしているように感じる。
しかし、パスコの場合は一部の限られたジャンルが好きな人やロックフェスへいく人たちにアピールをして、そういった人をコアなファンにするべく活動しているように感じる。
そのためPsssCodeはほかのアイドルとは違う独自のポジションを確立しつつあるのだと思う。
ヤなことそっとミュートの方向性や音作りについて
次はヤナミューことヤなことそっとミュートについて。
まずは曲を聴いてもらいたい。
90年代のオルタナ的なロックを歌うヤナミュー。
BiSHやPass Codeよりも楽器がシンプルな編成だ。
ギター2本とベースとドラムだけに聴こえる。
そして音作りもシンプルに感じる。
BiSHのように多くの音を重ねてはいないし、パスコのようにボーカルにエフェクトをかけたり打ち込みの音もない。
スタジオで練って編曲されたというよりも、ロックバンドがスタジオに集まって衝動的に音を鳴らしたような編曲。
録音も良いのでアイドルの楽曲なのにバックトラックから、まるでスタジオでバンド演奏を聴いているような生々しさを感じる。
ヤナミューは生バンドをつけてライブを行ったことはないが、バックバンドをつけたとしてもライブ用に編曲を変えることなく完全再現が可能な音作りだ。
もちろんヤナミューの音もBiSHやPass Codeとは方向性は違うが作りこまれている。
グループや曲のコンセプトがきっちり決まっていて、そこからぶれることのない楽曲を作っている。
Nirvanaなどのグランジロックやオルタナティブロックが好きな人にはぐっとくる音を鳴らしている。
ヤナミューがターゲットとしている客層はBiSHやパスコが狙っている層よりも、よりニッチな部分かもしれない。
グランジロックやオルタナティブロックのブームは20年以上前だし、現在の日本でそういった音楽で大人気と言えるようなバンドはいない。
下北沢や新宿のライブハウスへ行けばそういった音楽をやっているバンドもいるだろうが、シーンの主流からはずれているであろう。
つまり今でもグランジやオルタナを聴いている人は若者では珍しいし、聴いているとしても過去のバンドを聴いているアラフォーの方々ではと思われる。
例えばBiSHはロキノン系ロックが好きだったり、J-POPが好きだったりする層を開拓しようとしている。
そういった音楽ファンは人数も多くパイも大きい。
ちなみにBiSHにパイが大きいメンバーは皆無でry
Pass Codeが狙っているであろうラウドロックのファンも人数が多い。
数万人規模のフェスを主催するバンドもいるしアリーナ規模でライブをするバンドもいる。
BiSHと比べるとニッチではあるが、ラウドロックを好んで聴く人はかなり多い。
それに対してヤナミューはさらにニッチな音楽をやってニッチな層にアピールをしているように感じる。
そのため、BiSHやパスコと比べると人気の上昇には時間がかかるように思う部分もある。
しかし、実際は結成1年経たないうちに500人規模でのワンマンライブも完売させている。
結成1年弱のグループと考えると人気の上昇は想定以上の早さかもしれない。
ヤナミューが人気グループになると思う理由
ヤナミューはロックファンからすると聴きやすい音楽ではあるが、グランジやオルタナは今ではロックのジャンルでもニッチな方だ。
おそらくヤナミューに興味を持つ人はアイドルファンかアイドルファンの中でもグランジロックやオルタナディブロックが好きな人だとは思う。
アイドルファンはまだしもその中でもグランジが好きな人は珍しいかもしれない。
しかし、ヤナミューはそういった理由で興味を持った人をつかんだら離さないような魅力や仕組みがある。
それは音源でもそうだが、ライブでの拘りの部分も大きいと思う。
本日8/13(日)のUNITですが、ヤナミュー基準からしてもなかなかの爆音です。適音とも言えますが。スピーカー前は耳栓あった方がいいかもしれませんよー。あとは体で感じていただきたい。#ヤなことそっとミュート pic.twitter.com/IV0NBKfhTp
— ヤなことそっとミュート (@YanakotoSM) 2017年8月13日
これはライブ当日に公式Twitterアカウントが行ったツイートだ。
アイドルのライブで爆音だと注意喚起したり「爆音が適音とも言える」と発言したり耳栓が必要と言うグループは他にはいないだろう。
これは爆音を求めていライブハウスに通っているロックファンにアピールしているだろうし、他のアイドルとは違うというアピールもしているのだと思う。
そしてバンドにも負けないぐらいの爆音を出せるオケを作るには、こだわらなければ作ることができない。
録音方法や録音環境もそうだし、ただのMP3ではなくハイレゾ音源でないと不可能だと思う。
そういった『ファンになって欲しいと思っている層』が求めているであろうことを100%提供できるようにこだわっている。
そのこだわりがヤナミューを観た人に伝わったからこそ人気も拡大し、多くの人に評価され始めているのではと思う。
こだわらなければ認められることはない
これはアイドルやバンドにのみ当てはまることではないと思う。
音楽に関わらず、他のことでもそうだと思う。
どんなことにこだわって、どのようにそのこだわりを伝えるかということは成功のためには重要だと思う。
そのこだわりは個性にもなるし、他にはまねできないような強みにもなる。
BiSHもPass Codeもヤなことそっとミュートもやっている音楽はロックであるという共通点はあるが、方向性もこだわっている部分も違う。
しかし、この3組はこだわりをもって楽曲もパフォーマンスも作りこんだことで個性にもなり他のグループには真似できないものを作り上げている。
そのため人気も上昇し、一目置かれる存在になりつつあるのだろう。
冒頭でも述べた通り、ロックを歌うアイドルは今は多い。
数十組どころか数百組いるかもしれない。
しかし、その中でも人気が出たり評価されているグループは少ない。
それは「最近ロック系のアイドルが流行っているから真似しよう」という安直な考えで表面上だけ真似しているグループが多いのかもしれない。
表面上だけ真似することは簡単だ。
人気アイドルと似たような曲を作って、似たようなビジュアルをして、似たようなライブパフォーマンスをすればいい。
アイドルだけでなくバンドだって同じだ。
売れてるバンドと似たような系統の曲を作って、似たような演奏をして似たような歌い方をすればいい。
しかし、そこにこだわりはあるのだろうか?
そのこだわりを伝えるための戦略を考えたり努力はしているのだろうか?
他には真似されないような個性や自信はあるのだろうか?
それがなければただのパクリになるし誰にも認められない。
ファンが増えることもないだろう。
でも他にはないと言えるようなこだわりを持っていれば、誰にも真似できないような強みにもなるのだ。
BiSHにもパスコにもヤナミューにもそれはあるような気がする。
つまり、この3組がそれぞれ違う部分は『こだわり』の部分であり、共通している部分も『こだわり』の部分なのだ。
まだヤナミューは売れかけてるとも言えないポジションかもしれないが、こだわりがある限り、必ず今よりも人気は上昇するだろう。
