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【漫画】『箱の男』の簡単ネタバレ・レビュー【都会】

引用元:箱の男

 

今回は、都会さん著書、

「漫画『箱の男』のネタバレ・レビュー

についてご紹介していきたいと思います。

 

『箱の男』の結末までの話をザックリとまとめました!

 

ただまとめてみたら意外と長くなってしまったため、手っ取り早く話の内容と最後を知りたい方は下記の『もくじ』から『ものすごく簡単なネタバレ』に飛んでください。

 

『ものすごく簡単なネタバレ』は7行でまとめてあります。

 

しかし『ものすごく簡単なネタバレ』は端折りまくっていて興醒めかもしれないので、ちゃんと話の流れを知りたいという方はぜひ最初からお読みください^^

 

20211031021617

ネタバレに記されているセリフは省略しているため一語一句同じではありません。

 

ご了承ください。

 

 

登場人物の紹介

 

20211031021617

最初に主な『登場人物』を紹介しておきます。

 

飯間 香織 :由美子の母親

飯間 直樹 :由美子の父親

飯間 由美子:香織と直樹の娘

 

岡田 シン :香織の元夫

賢治    :由美子の彼氏

 

由美子と母の秘密、箱の中の父

 

父と母と3人で一軒家に暮らしている、小学4年生の飯間 由美子。

 

優しい父と優しい母に育てられて何不自由なく過ごしてきた由美子だったが、そんな由美子には母とだけ共有しているある秘密があった。

 

それは父の直樹が箱から出てこないことだった。

 

直樹はリビングに置いてある、人ひとりが立ったり寝たりできるくらいの大きな箱の中に常に入っていてそこから一切出てこないのだ。

 

箱の右下には腕一本が出せるくらいの丸い穴が開いており、直樹はそこから食べ物を入れてもらって箱の中で食事をしたり、箱の中でした排泄物を袋に入れて穴から出して処分してもらったりしていた。

 

直樹の生活は全て箱の中で完結していたのだった。

 

直樹は由美子が物心が付く前から箱の中に入っていたため、由美子は父親である直樹の顔を見たことがなかった。

 

しかし直樹は穴越しに由美子と話をしてくれたり、穴から腕を出して由美子の頭を撫でてくれたりするため、由美子は寂しいと感じたことはなかった。

 

母の香織は、

「お父さんは心の病気で箱の中から出てこないの」

と由美子に話す。

 

そして、

「箱のことは誰にも言ってはダメよ」

と言う。

 

幼いながらに自分の父親は少し周りと違うと理解していた由美子は、この香織との約束をキチンと守り、直樹が箱の中に入っていることは誰にも話さずにいた。

 

そんなある日、由美子は友達との間で親の結婚式の話題が出たことで自分の両親の結婚式のことも気になり、

「結婚式の写真が見てみたい」

と香織にねだってみる。

 

由美子がしつこく写真を見せて欲しいとねだるため、ついに根負けした香織は由美子に結婚式の写真を一枚見せる。

 

ウエディングドレスとタキシードを着て写る両親の写真を見た由美子は、

「嘘!パパイケメンじゃん、箱の中にいたらもったいないよ」

と、初めて見た自分の父親の姿にはしゃぐ。

 

箱の中に入っている自分の父親は写真で見るとごくごく普通の人、それどころかとてもイケメンだったのだ。

 

箱の中にいるのは誰なの…?

 

父親が箱の中に入っている秘密を守り続けてきた由美子。

 

そんな由美子は17歳になった時に初めて彼氏ができる。

 

彼氏の賢治は優しくてとても頼りがいがある男せいだったため、由美子は思い切って賢治に父親のことを打ち明けてみる。

 

リビングで写した箱の写真を見せながら、

「パパが心の病気でね、ずっと箱に入ったままなの」

と話す由美子に、賢治は内心驚きつつも必タヒで平静を装い、

「…お父さんって箱に入る前は何してた人なの?」

と聞いてみる。

 

「分からない…ママもパパも昔のことは話してくれないし…あ、でも写真は一枚あるんだ」

と言いながら由美子が両親の結婚式の写真を直樹に見せると、

「あ、写真検索…」

と直樹は思いついたように写真の直樹の顔をスマホで撮り、検索をかけてみる。

 

賢治は直樹の顔を写真検索してみれば、もしかしたら昔働いていた頃の何かが引っかかるかもしれないと考えたのだった。

 

賢治の予想は的中し、検索画面にはあるクリエイターの顔が同一人物としてヒットする。

 

そのクリエイターは、『箱クリエイターの男せい』とサイトで紹介されていた。

 

サイトには箱クリエイターの男せいが開発した大きな箱も沢山紹介されていた。

 

その中に、今直樹が入っている箱もあった。

 

「この箱…うちにあるのと一緒だ」

と驚く由美子に、

「箱クリエイター…?なんか…すごい人だね、でもなんか腑に落ちたかも、やっぱアーティストだから箱で生活したり人とは違うことをしちゃうのかな」

と、賢治は直樹の素じょうが分かり少しホッとしたような顔をする。

 

しかし2人がサイトを更によく見てみると、なんとサイトは毎日更新されており、更には箱クリエイターの男せいが妻と子どもたちと一緒に撮った最近の写真も掲載されていた。

 

その妻子は当然香織と由美子ではなく、由美子と賢治はこのサイトの箱クリエイターの男せいと今由美子の家で箱の中に入っている男せいは別人だと気付く。

 

「じゃあ今箱に入ってるのは誰…?」

と混乱する由美子に、

「普通に考えると…お母さんは最初この箱クリエイターの人と結婚して、離婚して…その後再婚して、再婚相手が箱に入ってるってことかな…」

と、賢治は仮説を立てる。 

 

賢治の仮説に、

「箱クリエイターの男せいはお母さんの元夫で、今箱に入っている男せいはお母さんの再婚相手?」

と戸惑う由美子は、

「…その場合私はどっちの男せいの子供なんだろう?」

と、新たな悩みができたことに顔を曇らせる。

 

由美子の本当の父と母

 

『箱の中の男せい、直樹は一体誰なのか?私の本当の父親なのか?』

と悩んだ由美子は、ある日母親の留守中に母親の部屋に忍び込み、鍵の付いた引き出しを針金でこじ開けて漁ってみる。

 

何か父親に関するものが出てこないかと漁る由美子は、引き出しの中から見覚えのない男物の財布を見つける。

 

その財布の中には児童館のカードや歯医者の診察券などが入っており、名前の欄に『飯間 由美子』と書いてあった。

 

自分の名前が書いてあるけれどこんなカードは知らないと由美子が戸惑っていると、なんとそれらのカードの保護者欄には『飯間 恵』と書いてあった。

 

『どういうこと!?なんでお母さんの名前じゃないの?飯間 恵って誰?』

と混乱した由美子は、帰宅した香織にカードを見せ、

「飯間恵って誰?私ママの子じゃないの?箱に入っているのは誰なの?全部教えて」

と、静かに訴える。

 

『ずっと隠していた秘密を知られてしまった…!』

と焦る香織だったが、由美子のすべて知りたいという覚悟の決まった顔を見てこれ以上隠し続けることは不可能だと察し、観念して由美子に全てを話し始める。

 

生まれなかった子『ゆみこ』

 

今から十数年前。

 

31歳の香織は箱クリエイターのシンと結婚し、幸せいっぱいだった。

 

お腹に赤ちゃんも宿り、エコー写真でもう女の子だと教えられた香織は、

「生まれたら『ゆみこ』と名付けよう…」

と娘の名前も決めて、生まれるのを心待ちにしていた。

 

そんなある日、シンは、

「僕たち家族の愛の形、『kizuna』」

と説明しながら、自宅の一軒家に『kizuna』と名付けられた大きな箱を運び入れる。

 

「kizuna?」

と大きすぎる謎の箱に戸惑う香織に、

「この箱には仕掛けがあってね、まず外側の壁を下、左の順にスライド、その後内側の壁を上、右、左にスライドしないと開かないようになってるんだ、互いの信頼と協力がないと使えない箱kizuna、箱根細工のからくり箱から着想を得たんだ」

と、シンは得意げに語る。

 

しかし、

「こんな危ない箱、赤ちゃんが間違えて入っちゃったら大変でしょ!」

と香織は怒り、

「えー」

と不服そうにするシンに、

「出産までにはあなたの仕事場に送ってね!」

と念を押す。

 

香織はいまいちシンの感せいにはついていけないのだった。

 

そんなある日、香織はお腹の胎動がなくなっていることに気付く。

 

急いでシンと病院に行く香織だったが、残念ながらお腹の赤ちゃんは流れてしまっていた。

 

2年後。

 

流産してしまった香織は精神を病み、ゆみこという小さな娘の幻覚が見えるようになっていた。

 

香織は自分にだけ見えるゆみこと話したり、kizunaの箱の中で遊んだりした。

 

kizunaの箱は結局香織の流産の件もあり、自宅に置きっぱなしになっていたのだった。

 

そんなある日、シンは自身の作った数々の箱がニューヨークのアートチームに認められて一緒に働こうと誘われる。

 

「信じられないようなビッグチャンスだ」

と喜んだシンは、香織と共にニューヨークへ渡ろうとする。

 

『子供が流れてしまったことで自分も随分落ち込んだが、そろそろ香織と共に立ち直らなければいけない…環境を変えれば香織もゆみこの幻覚が見えなくなるかもしれない…』

とシンは考えたのだった。

 

しかし香織はニューヨークへ行くことを断固拒否した。

 

「私はこの家に残る、だってゆみこが…ゆみこの部屋もあるのに…飛行機だってゆみこが…」

と相変わらず幻覚のゆみこを気にする香織にシンは必タヒに説得を試みたが、結局拒否し続ける香織に限界を感じ、離婚届と結婚指輪を家に残して悲しそうにひとりニューヨークへと旅立つ。

 

ゆみこの幻覚と共に家に残された香織は、

「パパ行っちゃったよ、いいの?」

と不安げに聞くゆみこに、

「いいのこれで」

と、寂しげに笑いかける。

 

香織は流産したあとに病院から「今後妊娠することは難しい」と言われてしまったため、

『シンは自分と一緒にいても幸せになれない』

と思い、自分から離れてくれたシンに少し安堵していたのだった。

 

由美子を娘にし、直樹は箱に監禁

 

シンが置いていった離婚届を提出し独り身になった香織は、ある日スーパーで、

「由美子!」

と呼ばれている3歳くらいの女の子を見つける。

 

「ゆ…みこ…?」

と香織が反応すると、由美子の父親らしき男せいが怒りの形相で現れ、

「勝手にフラフラすんな!次いなくなったら置いてくからな!」

と怒鳴り、由美子の腕をグイッと掴んで舌打ちをする。

 

そんな父親の姿を見た香織は、

『カゴの中お酒しか入ってない…由美子ちゃんはちゃんとしたもの食べさせてもらってるのかしら…母親は家にいるの?だとしても子供にあんな態度…きっとまともな環境じゃない…』

と由美子の身を心配し、つい二人のあとをつけて自宅を特定してしまう。

 

マンションに入っていく2人を見届けた香織は、

「って、これじゃストーカーじゃない…」

とハッと我に返り、気不味そうに家へと帰る。

 

しかしその後もどうしても由美子のことが気になった香織は、由美子の保育園を特定したり、由美子の父親を尾行をしたりと、由美子親子の動向を探り始める。

 

その結果、由美子の父親は妻に不倫されたことで妻と離婚し、由美子の親権取ったこと、休職中だけれども仕事を探す様子はなく昼間からハ°チンコに通っていること、由美子に暴言と暴カを繰り返していることなどを知る。

 

やはり由美子にとってよくない環境だと心を痛めた香織は、なんとかして由美子を救出できないものかと考える。

 

そんなある日、由美子の父親は夜遅くに保育園に由美子を迎えに行き、帰り道で、

「コンビニ行くからここで待ってろ」

と言って、暗い公園にひとり由美子を置いてコンビニへと行ってしまう。

 

心細さから、

「ままーままー」

と膝を抱えて泣き始めた由美子を木の陰から見ていた香織は、今がチャンスだと思い由美子に近付き優しく頭を撫でる。

 

「ままっ?」

とハッと顔を上げる由美子に、

「ままだよ」

と、香織は微笑む。

 

その後香織は由美子を自宅へと保護し、再び公園に戻って由美子の父親と接触し、

「私由美子ちゃんと保育園が同じクラスの岡田です、由美子ちゃんここで泣いてて、迷子かと思って家に来てもらっていて…」

と嘘をつき、父親を自宅へと連れて来る。

 

『めんどくせーことになったな』

とうんざりしたような顔をしている父親に、

「由美子ちゃん、この中でかくれんぼしているので見つけてあげてください」

と、香織はkizunaの箱を見せる。

 

「何ですか?これ…」

と大きい謎の箱に戸惑う父親に、

「夫がものづくりが趣味で…子供の秘密基地みたいなものです」

と香織は更に嘘をつき、まんまと父親をkizunaの箱の中に誘導する。

 

そして父親が箱の中に入った瞬間に、バタンッと扉を閉める。

 

「え…」

と驚いた父親は、

「岡田さん?ちょっと」

と狼狽え、やがて閉じ込められたのか!?と気付き、

「開けてください!開けて!開けてください!開けてください!」

と、大きな声を上げる。

 

そんな箱の前で香織は、

『やってしまった…でもこれで由美子ちゃんは私のもの』

と悲しげに涙を流しながら、両手を広げて喜びに打ちひしがれるのだった。

 

真実

 

由美子の父親、直樹を箱に監禁した香織は、由美子と本当の親子になるために動き始める。

 

まず直樹の人間関係を調べ上げた香織は、直樹が天涯孤独で由美子以外に血縁がなく、親しくしている友人や知り合いもいないことを知る。

 

とりあえず直樹のことを誰かに探される心配がないことに安心した香織は、その後直樹と夫婦になるために直樹と自分の名前で婚姻届を提出する。

 

婚姻届は無事に受理され、香織は晴れて正式に由美子の母親になれた。

 

由美子は幼いため自分の本当の母親の姿を覚えていないのか、香織のことをすっかり母親だと信じ込んでいた。

 

「まま、まま」

と懐いてくる由美子に、香織は心の底から満たされていた。

 

由美子が手に入ったからか、香織はいつの間にかゆみこの幻覚も見なくなっていた。

 

何もかも計画通りに進み喜ぶ香織だったが、しかし箱の中に閉じ込めた直樹は定期的にドンッドンッと箱を叩き、

「出せ!出せー!俺が何したっていうんだよ?出してくれよ」

と大声を出して暴れる。

 

そんな直樹の声に、

「パパがまたドンドンしてる、出てきちゃう?」

と由美子が怯えるため、香織はどうにかして直樹を生かしたまま黙らせることはできないものかと考える。

 

そこで香織はリビングに一人でいる時に、

「落ち着いてください、ずっとここに閉じ込めるつもりはありませんから、18歳、由美子が自立して一人で生きていける年齢になったらここから出します」

と、とりあえず直樹に話してみる。

 

しかし香織の話に18歳!?とギョッとした直樹は、

「ふざ…けんな、15年もこの中で生きていけるわけないじゃないか、俺がタヒんだらあんた杀殳人犯だぞ?どんな事情があるか知らないけどこんなことで人生棒に振らないほうがいい、今出してくれたら罪だって軽く済む」

と、何とかここから出してもらおうと香織を説得しようとする。

 

直樹を黙らせるにはこんな話では無理かと思った香織は、もっと本格的に直樹の心を操って自分に服従させなければならないとマインドコントロールについて学び始める。

 

マインドコントロールについて学んだ香織は、直樹が暴れたり暴言を吐く度に食事を与えなかったり、箱の穴から熱風を送ったりして直樹を衰弱させ、日に日に逆らおうという気がなくなるように洗脳した。

 

その結果、

「すみません…」

「ごめんなさい…」

と直樹は何かに付けて謝るようになり、すっかり大人しくなった。

 

そんな直樹に次第に由美子も安心するようになり、徐々に箱に近付くようになる。

 

ある日、直樹は箱の穴から見えた由美子に、

「おはよう…由美子」

と、恐る恐る声を掛けてみる。

 

すると由美子は、箱に素っ気なく背を向けつつも、

「おはよっ」

と答えてくれた。

 

久しぶりに誰かが自分の言葉に答えてくれたと喜んだ直樹は、

「はは…返事してくれた…」

と力なく呟く。

 

箱に入れられてから、

「誰も助けに来ないし、俺がいなくなっても誰も困らないし、俺なんて存在する意味…」

とすっかり自信を失っていた直樹だったが、その後も由美子と香織が誕生日を祝ってくれて穴からケーキを差し入れてくれたりと、何かと直樹に親切にしてくれるため、

『俺はあんなに由美子に酷いことをしてきたのに…』

と感動し、直樹は徐々に生きる希望を取り戻していた。

 

飴と鞭を上手に使いこなす、それこそが香織のマインドコントロールだったのだが、そんなことをされているとはつゆとも知らない直樹は、

「パパ、由美子ね、箱の中のパパ大好き!ずーっとずっとここにいてね」

という由美子の純粋な笑顔に、

「そう、か…由美子は箱の中の俺が大好きで、俺がずっとずっとここにいれば由美子は幸せなんだな」

と、今の自分を肯定するようにぼんやりと呟く。

 

その後も香織は気を抜かずに直樹のマインドコントロールを続けながら由美子を育て続ける。

 

そうして歪んだ家族だと気付かれないまま、由美子を17歳まで育てたのだった。

 

箱から出たくない

 

香織から全て聞かされた由美子は、

「何、その話、嘘…だよね?」

と、香織からの衝撃的な告白に青褪める。

 

そんな由美子に、

「ごめんなさい、18歳の誕生日に全て話して私は自首するつもりだったの」

と香織は悲しげに答える。

 

お母さんは私の本当の母親ではなかった、箱の中のお父さんは私の本当の父親だったけれど私が幼い頃に暴カを振るっていた。

 

お父さんはお母さんによって箱の中に長い間監禁されていた。

 

話の内容にショックを受けた由美子は、思わず家を飛び出して賢治に会いに行く。

 

近くの公園まで来てもらい泣きながら母親から聞いた話を全て賢治に話した由美子は、賢治の励ましもあり少し落ち着いて今後のことを考える。

 

本当の母親ではなかったけれど、いつも優しくしてくれていたお母さん。

 

幼い頃は暴カを振るっていたらしいけれど、箱に入ってからはめっきり優しくなっていたお父さん。

 

そんな2人のことをやっぱり嫌いになんかなれないと思った由美子は、一度ちゃんと家族で話し合おうと決心して家へと帰る。

 

『賢治君に聞いてもらってよかった、家族と向き合う勇気が持てた』

と家へ向かう由美子は気付いていなかった、夜の公園で話す2人の後ろにボイスレコーダーを持った何者かが潜んでいたことを。

 

家へ帰り、

「これからのこと、話そう、家族で」

と香織に伝えた由美子は、香織と共に箱の前にいき3人で話し合いを始める。

 

「パパが箱から出たあとは…どうなるの?」

と不安げに聞く由美子に、

「私は警察に自首しに行きます、由美子はこの家に住み続けて…大学卒業までの学費は通帳に入って…」

と香織がおずおずと話し始めると、箱の中から久しぶりにドンッと叩く音がする。

 

由美子と香織が箱に目を向けると、

「嫌だ…あの日箱に入れてくれなかったら由美子にもっと酷いことをしていたかもしれない、俺は箱の中で由美子とママと繫って、箱の中でやっと人間になれたんだ」

と、直樹が怯えるように話す。

 

「パパはこれからも箱の中で暮らしたいの?」

と聞く由美子に、

「うん」

と直樹は答える。

 

直樹の言葉にどこか安堵した由美子は、

「じゃあ、さ、何も問題はないじゃん、今まで通りでいいんじゃない」

と、香織に提案する。

 

由美子は今までの家族の形でこれからも過ごせるのなら過ごしていきたいと思っていたのだった。

 

由美子と直樹の言葉に、

『そんなこと…許されるの?』

と香織は狼狽える。

 

香織はけじめをつけなければいけないと思いつつも、やはりどこかで由美子と同じくできれば今の生活を壊したくないと思っていたのだった。

 

箱から出される直樹

 

由美子の18歳の誕生日。

 

学校に行く由美子に、

「由美子、お誕生日おめでとう」

と香織は声を掛ける。

 

「ありがとう、ママ」

と由美子は微笑んで玄関を出て行く。

 

由美子を見送ったあと、香織はリビングの箱の前にいき、

「今日が約束の日だけど、本当に出なくてもいいの?」

と、直樹におずおずと話し掛ける。

 

「うん…」

と箱の中から答える直樹は、

「あとママさえよければ、由美子が自立した後もずっと一緒にいてほしい、これからの人生も一緒に生きてくれませんか」

と、香織に話す。

 

マインドコントロールのせいなのか、あるいはそうではないのか、直樹はこれからもずっと香織と一緒に生きていきたいと思っていたのだった。

 

「それって…えっと…」

と戸惑う香織だったが、穴から差し出された手を見て、しばらくの逡巡ののちそっと手を握り返そうとする。

 

しかし2人の手が触れようとした瞬間、

『ピンポーン』

と、家のインターホンが鳴る。

 

香織が慌てて玄関へ出ると、

「警察です、通報がありまして、恐れ入りますが家の中を拝見させていただけますか?」

と、警官が2人立っていた。

 

どうやら由美子が賢治と公園で話していたあの日の夜、2人の後ろには香織の母親が潜んでいて、

「父親は母親に監禁されている」

という由美子の話をボイスレコーダーに録音していたらしかった。

 

香織の母親はお金にがめつく、

「香織が逮捕されれば孫の由美子の面倒は私が見ることになる、そしたら香織の財産は全て自分のものになる」

と考える毒親だったため、ボイスレコーダーを持って警察へ駆け込み香織の家へ警官を向かわせたのだった。

 

家へ上がり込んだ警官2人は、リビングの大きな箱を見て、

「こりゃ…」

と驚いたあと、

「聞こえますか?警察です、もう大丈夫ですよ、今から救助しますね」

と、箱の中の直樹に声を掛ける。

 

しかし直樹は、

「あ、えっと、大丈夫です、好きで入っているので、趣味なんです、問題ないでしょ?」

と、警官たちの救助を拒否する。

 

「長年監禁されて判断能力が麻痺している」

と察した警官らは無理矢理箱をこじ開けようとするが、箱の扉はびくともしない。

 

このままではいずれ箱を壊されてしまうと観念した香織は、

「よく聞いて、私が外側から扉を動かした後…」

と、箱の中の直樹に扉の開け方を教える。

 

しかし扉の開け方を教わっても尚、

「嫌だ、嫌だ、出たくない」

と外に出ることを拒否し続ける直樹に、

「大丈夫、すぐ元の生活に戻れるから、このままじゃ箱、壊されちゃう」

と香織は優しく悟す。

 

香織の言葉に、

「…わかった」

と直樹もようやく観念し、教わった扉の開け方を試して扉の施錠を解除する。

 

ギィッと箱の扉が開き約15年振りに箱の中から出てきた直樹は、棒人間のようにやつれ、全身がお好み焼きの焦げの部分のように真っ黒になっていた。

 

そして強烈な匂いがした。

 

凄まじい姿に思わずその場にいた全員がたじろぐ中、

「自分で箱に入れてくれって頼んだんです、本当なんです、だから帰ってください、何にも問題ないんです」

と直樹はヨロヨロと警官らに近付き、

「ね、ママ」

と、香織に笑顔を向ける。

 

そんな直樹の姿を見た香織は自分のしでかしたことに今更ながらに恐れを抱き、

「私が…やりました、私が、15年間彼を閉じ込めました」

と、涙を流して警官に自供する。

 

箱を求め始める人たち

 

箱から救助された直樹はすぐに病院に入院させられた。

 

しかし直樹は病院でもずっと、

「家族のところに…箱に…返して…」

と、悲しそうにうめき続けていた。

 

そして香織は長年の監禁の罪で逮捕された。

 

由美子にも共犯ではないのかと捜査の手が及んだが、由美子は捕まる前の香織の、

「もし私が捕まることがあっても何も知らなかったフリをして」

という言葉を守り、

「私は何も知らなかった、父親はずっと心の病気で箱に入っていたと思っていた」

という供述を貫き通し、共犯の罪を免れた。

 

その後由美子は香織の仕事先の親切な女せいに面倒を見てもらい、なんとか生活を立て直す。

 

香織がその女せいに全てをお願いしていたため、香織の母親、つまり由美子の祖母には結局香織の財産が渡ることはなかった。

 

賢治にも支えられ、由美子は前を向き始めていた。

 

しかし連日ニュース番組で面白おかしく自分たちのことを『母親に洗脳された家族』『父親は箱に監禁されてストックホルム症候群に』などと報じているのを見ると、由美子は今までの幸せな生活を疑う気持ちも出てきて混乱するのだった。

 

それでも由美子は、

『正しさよりも自分がどう感じていたかを信じたい』

と思い、またいつか家族で暮らせる日を夢見るのだった。

 

一方その頃、ニューヨークに住んでいる箱クリエイターのシンはパソコンの画面の前で頭を抱えていた。

 

そんなシンの姿を見た妻は、シンが最近起きた日本のニュースを見て気に病んでいるのかと思い、

「酷いニュースね、あなたの作品をあんな犯罪に使うなんて…」

とシンを気遣い、

「家族がついてるからね」

と優しく慰める。

 

しかし妻が部屋から出ていったあと、顔を上げたシンの顔には不気味な笑顔が浮かんでいた。

 

パソコンの画面にはニュースではなく、箱を求める人たちの注文依頼画面が映し出されていたのだった。

 

ひっきりなしに入る注文。

 

みんな由美子の家のニュースを見て、

『俺も憎いあいつを箱に入れたい』

『私も疎ましいあの人を箱に入れたい』

と、シンの箱を密かに求めるようになっていたのだった。

 

『みんなが箱を求めている…俺が作った箱を…』

とシンは喜び、いつまでもパソコンの前でニタニタと笑い続けるのだった。

 

おわり

 

ものすごく簡単なネタバレ

 

流産して心を病む香織。その後夫とは離婚

ある日香織は自分の子供につけようと思っていた名前と同じ『由美子』という女の子と出会う

由美子はシングルファザーに育てられている保育園児だったが、父親の直樹に虐待されていた

由美子を直樹の虐待から救い自分の娘にしたいと思った香織は、直樹を自宅の箱に監禁

その後色々と画策し、晴れて由美子を正式に自分の娘にする

しかし由美子が大きくなるになるにつれて箱に監禁した直樹の事情を隠しきれなくなり、由美子が17歳の時に全て打ち明ける

その後乗り込んできた警察によって直樹は箱から救助され、香織は逮捕される

 

【まとめ】

箱に入っていたのは由美子の実の父親の直樹

一緒に住んでいた母親の香織は、由美子の実の母親ではなかった

 

レビュー・感想

 

すごく…面白かったです。

 

絵柄はとても書き込みが少ないシンプルな感じでしたが、そんな絵のシンプルさが気にならないほど話が面白かったです(内容が割とドロドロなのでむしろこのシンプルな絵柄の方が生々しくなりすぎなくて良かったかもとすら思いました)

 

香織さんが絵日記の中で夫のことを『箱』呼ばわりしていて、

「あれ?夫なのに『夫』とか『旦那』とかではなく『箱』って呼んで(書いて)るの?もしかしたら夫じゃない人が入ってるの?」

と思ったら案の定でしたね。

 

由美子ちゃんの暴カ的な父親が出てきた辺りでまさかと思ったら、そのまさかでした。

 

いや〜由美子ちゃんの母親の振りをして、しかも由美子ちゃんの父親を箱の中に監禁するとは。

 

やっていることはド畜生ですが、しかしあまりにも見事な完全犯罪(?)のため見ていてとても気持ちが良かったです。

 

香織さん本当にすごい…別人の筆跡を練習して婚姻届を出して正式に直樹さんと夫婦になり、由美子ちゃんを自分の子供にするとは…と変に感心してしまいました。

 

巻き込まれた直樹さんは溜まったものではないでしょうけれどね。

 

しかし直樹さんは元が虐待父親だったため閉じ込められてもさほど胸が痛みませんでしたし、それに閉じ込められたあとに洗脳されてどんどん従順になっていく様も読んでいてとても興味深かったです。

 

人ってあんな風に洗脳するのですね…。

 

洗脳されていたから直樹さんは冒頭から「すみません」「ごめんなさい」が多かったのですね。

 

しかし洗脳しきれていない時に直樹さんが穴から腕を出して、親指を下に向けて静かにバッド(タヒねかな?)を示していたところにはゾッ…としてしまいました。

 

あのバッドのシーンは2回ほど出てきましたが、不穏な感じがしてとても良かったです。

 

あと最後に直樹さんが箱から出たくないというのも、長年箱で暮らしてきたらそう思うものなのかも?と思ってしまいました。

 

15年も箱で暮らしてきたらそれが普通みたいになってしまいますよね。

ストックホルム症候群のようにもなってしまっている感じでしたしね。

 

しかし冒頭の箱のニュースが、まさか由美子ちゃんの友達のさっちゃんの兄のニュースだったとは。

 

この辺りも意外せいがありつつも、しっかり伏線回収していて面白かったです(さっちゃんのくだりはあまりにも長くなりそうだったためネタバレには含まなかったので、気になる方はぜひ本編で確かめてみてください)

 

そして最終的に、

「こんな箱この世にあっちゃダメだろ、危なすぎるだろ」

と思っていたところに、まさかの最後に箱を求める人たちの怒涛の注文依頼画面で終わらせるという。

 

いや〜恐ろしい。

 

シンさんは香織さんの望み通りにどうやらニューヨークに渡って新しい家族を得て幸せになったみたいなのに、最後にこんな不気味な笑顔で終わらせるとは。

 

いや〜この終わり方もなんとも後味が悪くて良かったですね。

 

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「好きになったミハヤ先輩は女の子?男の子?」

『つれないほど青くてあざといくらいに赤い』のネタバレ・レビュー↓ 

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「みんな狂っててみんないい!」

アニメ『ENA(エナ)』のキャラ紹介↓ 

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