【Unit1 ブログリレー2日目】こんにちは、Unit1(製薬企業向けプラットフォームチーム)とデータ基盤チームを兼務しております石塚です! ブログリレー1日目は佐野さんによる「たった9行でAIレビュー導入!Claude CodeとGitLab CIで全リポジトリにAIコードレビューを導入した話」でした。
Devinに代表される自律型AIエージェントの話題を目にする機会が増えてきました。その実力については、 「本当に人間の作業を代替できるのか?」 「どうすればうまく使いこなせるのか?」 など、多くの開発者が期待と疑問を寄せているのではないでしょうか。
この記事では、エムスリーのチームが実際にDevinを導入し、レガシーコードのマイグレーションや社内Q&A対応といったリアルな課題に取り組んだ具体的な活用例と、そこから得られたTipsを共有します。
Devinの導入を検討している方にも、すでに活用している方にも、ヒントとなる情報があれば幸いです。

- Who is Devin? そもそもDevinって何者?
- 活用1 : レガシープログラムのマイグレーション
- 活用2: "生き字引"としての社内ドメインQ&A受付
- 活用3 : 帳票設定の追加と検証
- Devinを"最高の相棒"に育てる6つのTips
- まとめ
Who is Devin? そもそもDevinって何者?
まずは、Devinの主な特徴を簡単に紹介します。
- 自律型AIエージェント: 人間の指示を受け、自律的にタスクを計画・実行するAI。
- 柔軟な仮想環境: Devin上で複数の開発環境(セッション)を同時に立ち上げ、並行作業が可能。
- 対話中心の開発体験 (Conversational DX): 多くのAIツールがエディタの拡張機能として提供される中、DevinはSlackやGitHubのPRといった、普段我々がコミュニケーションに使うプラットフォーム上での対話を標準インターフェースとしています。これにより、まるでチームメンバーに作業を依頼するように、自然な対話を通じて開発を進めることが可能です。個人的には、この開発体験をとても気に入っています。
- ACUによる料金体系*1: Devinの作業量はACU(Agent Compute Units)という独自の単位で計測され、タスクを実行すると消費されます。
- Deep Wiki: リポジトリを自動でインデックス化し、アーキテクチャ図やコードベースの概要を含むWikiを生成する機能。生成されたWikiは、Devinへの質問時にも参照されます。
そんなDevinを、我々のチームではどう使いこなしているのか?具体的な活用シーンを3つ紹介します。
活用1 : レガシープログラムのマイグレーション
Unit1には、顧客向けに作成する歴史あるレポートプログラムが多数存在します。これらのプログラムは、コスト効率、スケール、メンテナンス性の向上を目指し、例えば以下のようなマイグレーションを日々行っています。
- 参照データソース: Oracle → BigQuery
- プログラム言語: Bash → Python
そこで、Unit1ではDevin向けにマイグレーションガイドを作成し、それを元に作業を指示しています。
# Devinへの指示例 @migration-guide.md に従って、このOracle/BashベースのレポートプログラムをBigQuery/Pythonベースにマイグレーションしてください。
歴史的経緯から顧客ごと・サービスごとに仕様が異なるため一筋縄ではいきませんが、Devinが出してくるPRは体感で6〜7割の精度。ここから人間がレビューでやり取りを重ね、10割に近づけていきます。 この「6〜7割の壁打ち相手」をアウトソーシングでき、かつ複数並行で作業を進められるのは、マイグレーション作業において絶大な効果を発揮しています。

活用2: "生き字引"としての社内ドメインQ&A受付
Unit1が扱うサービスは多岐にわたり、必要なドメイン知識は膨大です。仕様の追加や更新も頻繁で、知識の管理・共有に課題がありました。 そこで、点在するConfluenceのWikiやドキュメントを1つのリポジトリに集約し、いわゆるRAG (Retrieval-Augmented Generation) の基盤を育てています。
このドメイン知識リポジトリをDevinに連携させ、Slack経由で質問すると回答してくれる「生き字引」として活用しています。

現在は回答精度の検証中でエンジニア内で試行錯誤の段階ですが、将来的にはエンジニア以外のメンバーにも展開し、Unit1のドメイン知識へのアクセスを効率化できると期待しています。 また、Slackのスレッド内でのやり取りも貴重なドメイン知識の宝庫。リアクションをトリガーにDevinがスレッド内容を要約・ドキュメント化する仕組みも活用しています。
活用3 : 帳票設定の追加と検証
Unit1では、顧客向けのレポートに関する設定追加・削除といった運用作業も日々発生します。 これは、アラートをトリガーにビジネスサイドが要否を判断し、エンジニアが設定変更と検証を行うというフローです。作業自体は単純ですが、レポート数が多いため"ちりつも"で大きな工数となっていました。
そこで、設定追加、アラート検証、PR作成といった一連の作業指示を言語化し、SlackのリアクションをトリガーにDevinへ作業を依頼するワークフローを構築しました。これにより、人間が対応すると"ちりつも"で大きな工数となっていた定型作業をDevinに任せることができ、エンジニアの作業時間削減に繋がっています。
Devinを"最高の相棒"に育てる6つのTips
【計画】複雑なタスクはWeb UIの"Askモード"でDevinと壁打ちしよう
- 指示の複雑度によって、Devinとの対話インターフェースを使い分けるのがおすすめです。特に、ある程度複雑で、Devinとプランを壁打ちしながら進めたいタスクの場合、SlackよりもWeb UIの利用を推奨します。
- Web UIでは、Devinが作成したPlanがMarkdown形式で綺麗に展開され、全体像を把握しやすくなっています。また、Devinがセッション上で現在実行しているコマンドやファイル編集の様子をリアルタイムで"覗く"ことも可能です。
- 加えて、Web UIからは"Askモード"を明示的に利用できます。Slack経由の指示だと、こちらの意図に反してプランの実行まで突き進んでしまうことがありますが、"Askモード"を使えば、Devinに次のアクションを確認させ、承認ベースで作業を進めることが可能です。これにより、意図しない暴走を防ぎつつ、安全に壁打ちができます。

Devin Web UI上のプランを表示して確認している様子
【信頼】"Confidence: High"を引き出すガイドを育てろ
- DevinはPlanを共有する際、その内容に対する自信度を
High/Middle/Lowの3段階で示してくれます。もしLowと評価された場合は、渡したガイドや指示が不十分である可能性が高いです。Planの内容をよく確認し、Devinと対話しながらガイドを改善することで、Highの評価が得られるような精度の高いプランを目指しましょう。
- DevinはPlanを共有する際、その内容に対する自信度を
【柔軟性】曖昧な指示こそDevinの腕の見せ所
- Devinの面白いところは、「一時的にこの部分をコメントアウトして実行して」や「調査用の使い捨てファイルを作って試して(コミットはしないで)」といった、人間同士の対話で使われるような曖昧なニュアンスを汲み取ってくれる点です。これにより、より柔軟な指示が可能になります。
【定型化】ガイドを
@で与えて作業をパターン化- 繰り返し行う作業は、
@migration-guide.mdのようにガイドとして定型化しておくことをお勧めします。@でガイドを呼び出しつつ、その場で必要な追加指示を与えることで、効率的にタスクを依頼できます。
- 繰り返し行う作業は、
【分担】実行確認はDevinの仮想環境にお任せ
- ローカル環境で実行するとリソースを消費したり、他の作業と競合してしまうような実行確認taskも、Devinの仮想環境上に任せることができます。これにより、自身の開発環境をクリーンに保つことが可能です。
【感謝】"ありがとう"がACUを節約する!?人間らしいFBを忘れずに
- 良い仕事をしてくれた時は、感謝を伝えることを忘れないようにしましょう。直接的にDevinの性能が向上するかは定かではありませんが、こうしたポジティブなフィードバックの積み重ねが、より良い協業関係に繋がると我々は考えています。
- もちろん、間違いを指摘することも重要です。人間に対してフィードバックするように、具体的なFBを返すことが、Devinをより良い「相棒」に育てる近道です。

Devinが小躍りしている様子
まとめ
Devinは、単なるツールというよりは、「同僚」と呼べるような新たな協業のパートナーになりつつあります。 その開発体験は、従来ツールとは異なる性質を持っています。
生成AIの進化は凄まじく、Devinに似たエージェントも次々登場しています。しかし、今回紹介したTipsは、特定のツールに限らず、これからの「AIとの協業」時代において普遍的に役立つ考え方のはずです。
エムスリーでDevinや多くの生成AIツールと共に未来の開発をしたい方、ご興味をお持ちの方は、ぜひ以下のページからカジュアルにお話ししましょう!
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*1:ACUに関する詳細は、Devinの公式ドキュメントをご参照ください。