
「節分」に、「柊」の小枝の先に
焼いた「鰯」の頭を刺した
「柊鰯」(ひいらぎいわし)を
家の軒先に挿す風習があります。
柊鰯(ひいらぎいわし)とは
一部地域でのみの風習
「柊鰯」(ひいらぎいわし)は、「節分」に、
「柊」(ひいらぎ) の小枝に
焼いた「鰯」(いわし) の頭を刺したものを
軒下に挿して飾って魔除けをする風習が
奈良県内を中心とした西日本や
福島県を含む関東地方などに、
現在でも残っています
(北海道や九州ではあまり見受けられません)。
「柊鰯」以外の呼び名
「柊鰯」(ひいらぎいわし) の他にも、
地域によっては「柊刺し」(ひいらぎさし) とか
「焼嗅」(やいかがし、やっかがし、やいくさし、やっさし)
などと呼ばれることもあります。





日本では昔から、
季節の変わり目である「節分」は、
鬼や魔物といった邪気が生じると
考えられてきました。
そこで鬼の嫌う「柊鰯」を家の入口に飾って、
「邪気の象徴である鬼を寄せ付けない」
「家の中に鬼を入らせない」という
「魔除け」をしたのです。
「柊」(ひいらぎ) の棘が鬼の目を刺し、
「鰯」(いわし) の悪臭で鬼を退散させるのです。
「鰯の頭も信心から」ということわざは
この風習から生まれました。
鰯の頭のようにつまらないものでも
それを信心する人にとっては、
非常に尊く思われるということ。
また物事を頑なに信じる人を揶揄する
時などにも使われます。
また正反対の説ですが
「鬼の好物の鰯で鬼を玄関へおびき寄せて
柊の葉で鬼を退治する」という話もある
そうです。
「柊鰯」を飾るタイミング
ところで「柊鰯」(ひいらぎいわし) は、
「節分」の夜に飾るのが一般的ですが、
地域によって飾るタイミングや時期は
様々です。
● 節分の日のみ
● 小正月の1月15日(または翌日16日)
から節分の日まで
● 節分の日から2月いっぱいまで
● 節分の日から1年間
変わったものでは、
「節分の日に飾った鰯の頭が
ネコに食べられるまで」というものも
あるようです。
飾る時の注意点
ニオイのする食材でもありますので、
飾っている間に
猫や鳥に荒らされたりしないよう、
注意して扱いましょう。
「柊鰯」の起源
「節分」に「柊鰯」を飾るという習慣は、
紀貫之の『土佐日記』に
正月の門口に飾った注連縄(しめなわ)に、
「柊の枝」と「なよし(ボラ)の頭」を
刺していたと記されていることから、
平安時代には既に始まっていたようです。
柊(ひいらぎ)
「柊」(ひいらぎ)は、古くから
トゲトゲした葉の形状から
邪気を寄せ付けない縁起の良い植物として、
「鬼門」に植えると良いと言われてきました。
「鬼門」(きもん) とは、北東の方角のことで
その名の通り「鬼(邪気)の出入りする方角」
です。
そのため「鬼門除け」として
「柊」を庭木や生垣として植えました。
『古事記』には、「柊」で造った
邪霊を鎮める儀礼用具
「比比羅木之八尋矛」(ひひらぎのやひろほこ)を
倭建命(やまとたける)が東国平定に向かう前に
父・景行天皇から授けられる話が出てきます。
「比比羅木」(ひひらぎ)という名称がつくのは、
矛の材料に邪気を払う神聖な樹木
「柊」が使用されているためという説、
形状が「柊」の葉に似ているためという説など、
諸説ありますが、儀式の際に使用したのでは
ないかと推測されています。
また地方によっては、
「柊」 (ひいらぎ) の代わりに
豆柄(種を取り除いた大豆の枝)を加えたり、
独特のニオイを持つ植物「トベラ」、
他にも、黒文字や竹、山椒の枝などを
使う所もあるそうです。
鰯(いわし)
「鰯」(いわし) は、
陸に揚げるとすぐに弱ってしまうことや
貴族が食べるものではない
卑しい魚であるということから、
その語源は「弱し(よわし)」とか
「卑し(いやし)」と言われています。
更に焼くことで臭気と煙を出すことから
鬼が近寄らないと言われ、
「魔除け」として利用してきました。
鰯を食べる
「柊鰯」で飾るのは、鰯の頭部だけのため、
頭部以外の部分をどうするべきか
悩む人も多いのではないでしょうか。
「鰯」の身の部分を節分の行事食として
食べる地域は多くあります。
特に西日本の一部の地域では
「柊鰯」を飾った後、
その日中に鰯を食べる風習が残っています。
「節分」の日に、
弱く、卑しく、臭いの強い「鰯」を食べると、
体内の「陰の気を消す」という
意味があると言われたことから、
旧暦の「大晦日」の「節分」の日の寒い時期に
無病息災の儀式として
栄養価の高い「鰯」を食べることが
定着したと考えられています。
「鰯」は、DHAやEPA、カルシウムなどを
多く含んでいて栄養価が高い食品です。
節分が終わったら柊鰯はどう処分すれば良い?
この魔除けに使った「鰯」は、
「紙に包み塩で清めてから捨てる」のが
一般的なようです。
「神社でお焚き上げをしてもらう」、
「庭に埋める」「灰になるまで焼く」
という説もあるそうですが、
現代社会では、どれも難しい・・・。
そのままゴミとして処分する際には、
邪気を払ってくれた感謝の気持ちを込めて、
「柊鰯」を塩でお清めしてから
半紙に包んで処分すると、
より丁寧になるのではないでしょうか?
