
「寒の水」(かんのみず)とは、
1月5日前後の「小寒」から
「寒の内(寒中)」の水のことを言います。
この時期に汲んだ「寒の水」は、
雑菌が少なく清らかなので美味しいです。
その上、長期保存に向いていることから、
この時期に作られた日本酒・味噌・醤油などは
腐らないと言われています。
また発酵もゆっくり進み味に深みが出るため、
日本では古来より「寒」の時季に
醸造文化が発展して来ました。
(「寒仕込み」「寒造り」)
「寒の水」は痺れるほどに冷たく、
どこまでも透徹しています。
その冷たさ極まった様子から、
神秘的な力があると信じられています。
飲むと身体に良いとされるとか、
霊力もあるとも言われることから、
「寒の水」を汲み置きをしておいて、
薬として飲んだり、寒の水で米を炊いたり、
「寒餅」(かんもち)を搗くにも、
「水餅」といって餅を漬けて保存するのにも
使われました。
他にも、「寒晒粉」「葛粉」を作ったり、
「紙漉き」や「寒糊」(かんのり) 作り、
布を晒すのにも用いられます。
更に江戸後期、文化10(1813)年に出版された、
総合美容読本『都風俗化粧伝 』には、
お白粉を溶く水は、雑菌が少ない
「寒の水」が良いとしています。
そのため「寒中」に集めた雪を
壺に入れて取って置き、夏になって
お白粉を溶く水として用いたようです。
江戸時代の女性達がお化粧をする際に、
一番気を使っていたのはお白粉でした。
白粉を水で丁寧に溶いて、
顔全体だけではなく、耳・首筋・胸元まで
ムラにならないように、
また塗ったか塗らないか分からないように
丁寧に塗るようにと言われていました。
