
立春後、一旦春めいたのに、
冬のような寒さが戻って来ることを
「寒の戻り」(かんのもどり) と言います。
寒の戻り(かんのもどり)
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、
不意に「寒の戻り」(かんのもどり) が
襲ってくる日もあります。
「寒の戻り」(かんのもどり) は、
一般的に3~4月にかけて用いられる言葉で、
気象庁の「気温に関する用語」では
「寒の戻りとは3~4月に再び寒くなること」
と定義づけられています。
「寒の戻り」が起こる理由
春になりせっかく暖かくなってきているのに、
なぜ季節が逆戻りするように
「寒の戻り」が起きるのでしょうか。
その原因には次の2つの条件があります。
・「西高東低」の気圧配置になる
・「移動性高気圧」の気圧配置になる
「西高東低」の気圧配置になる

「西高東低」(せいこうとうてい) とは、
ロシアのシベリア地方で高気圧が発達し、
日本の東の海上には低気圧が発達する、
いわずと知れた「冬型の気圧配置」です。
春の暖かい日が続く中、低気圧が通過した後に
一時的に「西高東低」の冬型の気圧配置になる
ことがあります。
そうなると、北寄りの風が強まって
上空に強い寒気が流れ込み、
冬に逆戻りしたかのような寒さになるのです。
「移動性高気圧」の気圧配置になる
四季がある日本では、
季節毎に気象に特徴があり、
変化に富んだ天気が見られます。
春の天気は、太陽の高度が高くなり、
シベリア気団の勢力が弱まり、
日本列島はシベリア気団の影響を受けなく
なります。
その分、偏西風の影響が目立ち、
長江流域で発生した「移動性高気圧」と
「低気圧」が交互に日本を通過します。
「移動性高気圧」に覆われると、
春らしい暖かくて晴れの天気が多くなります。但し晴れの天気は長続きせず、
直ぐに「低気圧」によって天気が崩れます。
このように、短い周期で変化するのが
春の天気の特徴です。
ところが「移動性高気圧」の影響で
寒くなることもあります。
「移動性高気圧」の場合、
日中は晴れていて暖かいのですが、
地面の熱の放射を遮るものがないため、
放射冷却によって夜間から朝方にかけては
強烈な寒さに見舞われます。
このように「寒の戻り」が起こる原因は、
「西高東低の気圧配置」と「移動性高気圧」の
二種類あることになります。
場合によっては二つ同時に起こることもある
そうですよ。
「寒の戻り」に似た言葉
冴返る
春になって、一旦、緩んだ寒さが
またぶり返すことを言います。
「冴」には、「刺すような寒さ」
「沁み入るような寒さ」という意味があり、
春になってポカポカして来たのが、
一転、また寒く冷え込むことで、
一度暖かさを経験しただけに、
より冴え冴えとしたものを感じさる言葉です。
花冷え(はなびえ)
桜の花が咲く頃に寒さが戻ることを
「花冷え」(はなびえ) と言います。
春の季語で、手紙の時候の挨拶としても
使われます。
ところで日本酒には、
温度により様々な呼び名があり、
「花冷え」というものがあります。
日本酒は少しの温度の違いで、
まろやかになったり
キリっとした味わいになったりと、
味わいが異なる繊細なお酒です。
温度によって呼び方も異なり、
「冷や酒」は常温のことを指し、
それより冷たいお酒は「冷酒」で、
30℃~55℃まで温めたのが「燗酒」です。
<冷酒の分類>
| 雪冷え [5℃程度] |
氷水で冷やしたくらいの温度。 香りは立たず、 キリっとしたあっさりな味わい。 |
| 花冷え [10℃程度] |
冷蔵庫で冷やしたくらいの温度。 花が開くように、ゆっくりと飲む うちに香りがほころぶ |
| 涼冷え |
冷蔵庫から出して 少し経ったくらいの温度。 口当たりがよくとろみのある 味わい。 |
リラ冷え
北海道では5月末から6月初めに
オホーツク海高気圧の影響で気温が低くなる
「寒の戻り」のことを
この時期に咲き誇るライラックに因んで、
「リラ冷え」と呼びます。
「リラ(Lilas)」とはフランス語で、
英語では「ライラック(Lilac)」のことです。
今日では札幌市のシンボルにもなった
「ライラック」は、
北星学園の創設者であるサラ・C・スミスが
明治23(1890)年に故郷の米国から持ち込んだのが始まりと言われています。
「リラ冷え」とは、
俳人の榛谷美枝子 (はんがいみえこ) さんの
俳句から生まれた言葉で、
渡辺淳一さんの小説『リラ冷えの街』で
広く知られるようになったそうです。
榛谷さんが昭和43(1968)年に自費出版した
『句集 雪礫』の中で、
・リラ冷えやすぐに甘えてこの仔犬
・リラ冷えや睡眠剤はまだ効きて
などの俳句を発表しました、
この句が作家・渡辺淳一の目に留まり、
小説のタイトルに『リラ冷えの街』と著して、
世の中に広まりました。
若葉寒(わかばさむ)

文字通り、若葉の頃、4月下旬から5月にかけて
寒くなるという意味です。
こちらは「初夏」の季語になります。
