
日本海側は世界有数の豪雪国
日本は、世界的に見ても
非常に降雪量が多い国です。
主な大雪になる都市・地域は以下の通りです。
<世界中で最も雪が降る都市>
(人口約10万人以上)
| 地点 | 年間降雪量 (cm) |
|
| 1 | 日本 青森市 |
792 |
| 2 | 日本 札幌市 |
485 |
| 3 | 日本 富山市 |
363 |
| 4 | カナダ セントジョーンズ |
333 |
| 5 | カナダ ケベック |
315 |
| 6 | アメリカ シラキュース |
315 |
| 7 | カナダ サグネー |
312 |
| 8 | 日本 秋田市 |
272 |
| 9 | アメリカ ロチェスター |
251 |
| 10 | アメリカ バッファロー |
241 |
第1位 青森市、第2位 札幌市、第3位 富山市と
世界の年間降雪量のトップ3を
日本の都市が占めています。
国土のおよそ半分に当たる51.4%の地域が
豪雪地帯に指定されていて、
その豪雪地帯に約1,900万人の人が
生活を営んでいます。
豪雪地帯にこんなに人が住んでいるのは
世界で見ても、
珍しいことなんだそうです!
大量の雪を降らせる主な要因
こうした大量の雪を降らせるのは、
シベリアから北西の風に乗って流れ込んで来る
「シベリア気団」です。
「シベリア気団」は、
ロシア大陸の東部に発生した気団で、
日本から見ると北西にあります。
この地域は日本より緯度が高いため
寒さが厳しく、大陸上なので乾燥しています。 そのため、「シベリア気団」も
「寒冷」で「乾燥」しているのが特徴です。

「シベリア気団」は
西高東低の冬型の気圧配置をもたらし、
北西の季節風として
日本へ寒気をもたらします。
ではなぜ、低温で乾燥した空気の塊が
日本海側に大雪を降らせるのでしょうか。
それには「日本海」の存在があります。
「日本海」は暖流の対馬海流が流れることから
寒冷かつ乾燥した「シベリア気団」からの風は
相対的に暖かな日本海の海上を通過する際、
水蒸気と熱が次々に補給されます。
寒気は下の方から温められ、
上下方向で温度差が拡大するので
温度差を解消しようと対流が発生し、
雪雲が発達します。
この雪雲が風によって運ばれ、
日本海側の山、
2000m級の峰々が連なる北海道の大雪山系、
東北地方を北から南へと走る奥羽山脈や
それに続く越後山脈などにぶつかって、
山の麓に大量の雪を降らせるのです。
山にぶつかって里に大雪を降らせるのが
「里雪型」(さとゆきがた)、
山にぶつかった空気が上昇し、
冷やされて山岳地帯に降るのが
「山雪型」の降雪です。
またこの時に発達する雪雲は
「積乱雲」であることから、
積雪には雷を伴うことがあります。
特に、雪の降り始めの頃に発生する雷は、
「雪起こし」や「鰤起こし」などと呼ばれる、
初冬の季語となっています。

そして日本海側に雪を降らせて
水分を失った乾燥した空気が、
山々を越えて吹き下りてくるため、
冬の太平洋側では雪がほとんど降らず、
晴れて空気が乾燥することが多くなります。

但し非常に強い寒気が流れ込んで来た時には、
雪雲の一部が太平洋側にかかるため、
一時的に雪が降ることもあるそうです。
歴代最深積雪ランキング
気象庁発表の積雪記録は
測候所やアメダスなどの観測機器がある
地点だけになります。
歴代最深積雪ランキング
| 地点 | 積雪(cm) | 日付 | |
| 1 | 伊吹山 (滋賀県) |
1182 | 昭和2(1927)年 2月14日 |
| 2 | 酸ケ湯 (青森県) |
566 | 平成25(2013)年 2月26日 |
| 3 | 守門 (新潟県) |
463 | 昭和56(1981)年 2月9日 |
| 4 | 肘折 (山形県) |
445 | 平成30(2018)年 2月13日 |
| 5 | 津南 (新潟県) |
416 | 平成18(2006)年 2月5日 |
| 6 | 十日町 (新潟県) |
391 | 昭和56(1981)年 2月28日 |
| 7 | 高田 (新潟県) |
377 | 昭和20(1945)年 2月26日 |
| 8 | 小出 (新潟県) |
363 | 昭和56(1981)年 2月28日 |
| 9 | 関山 (新潟県) |
362 | 昭和59(1984)年 3月1日 |
| 10 | 湯沢 (新潟県) |
358 | 平成18(2006)年 1月28日 |
| 11 | 野沢温泉 (長野県) |
353 | 昭和59(1984)年 3月22日 |
| 12 | 安塚 (新潟県) |
350 | 昭和59(1984)年 3月8日 |
| 13 | 大井沢 (山形県) |
348 | 平成12(2000)年 3月1日 |
| 14 | 只見 (福島県) |
341 | 平成25(2013)年 2月25日 |
| 15 | 桧枝岐 (福島県) |
339 | 平成27(2015)年 2月15日 |
| 16 | 富士山測候所 (静岡県) |
338 | 平成元(1989)年 4月27日 |
| 17 | 幌加内 (北海道) |
324 | 平成30(2018)年 2月25日 |
| 18 | 倶知安測候所 (北海道) |
312 | 昭和45(1970)年 3月25日 |
| 19 | 朱鞠内 (北海道) |
311 | 昭和57(1982)年 3月10日 |
| 20 | 能生 (新潟県) |
309 | 昭和60(1985)年 1月30日 |
1位:伊吹山
1位は、滋賀県米原市にある滋賀県最高峰、
標高1377mの「伊吹山」(いぶきやま) です!
伊吹山の山頂にあった伊吹山測候所(当時)が
昭和2(1927)年2月14日に観測した1182cmです。
京都の「清水の舞台」の高さに匹敵します。
これは、日本は勿論、世界の山岳観測史上
1位としてギネスにも記録されていて、
この記録は現在も破られてはいません。
日本海で発生した雪雲が
伊吹山でぶつかって
大雪をもたらすメカニズムは
北日本の大雪と同じです。
今でも伊吹山山麓の関ヶ原は、
東海道新幹線や名神高速道路が
積雪の影響を受けることも多い場所ですが、
これは若狭湾からの季節風の
通り道にあるためです。
当時は超音波などを用いた
自動計測機器がなかった時代ですから、
伊吹山頂に置かれた測候所では、
常駐職員が観測地点に
約3mの雪尺と呼ばれる棒状の物差しを
継ぎ足して雪の深さを測ったそうです。
2位:酸ヶ湯(青森県)
2位は、テレビの豪雪を知らせるニュースなどで
引っ張りだこの「酸ヶ湯」(すかゆ) です。
「酸ヶ湯」には、津軽海峡に
暖流の対馬海流の分流が流れ込むことで
湿気が供給されることで、豪雪になります。
なお「酸ヶ湯温泉」(すかゆおんせん) は、
青森県の八甲田山系の標高約925mに位置する
300年以上の歴史を持つ国民保養温泉地第1号の
秘湯です。
ところで「酸ヶ湯」で
積雪などの観測を始めたのは
昭和54(1979)年のことだそうです。
道路の除雪対策や、
山間部の降雪状況を把握するために
敢えて「酸ヶ湯」に設置したとのことです。
現在は、有線ロボット積雪深計が
雪の深さを自動的に計測しています。
3位:新潟県魚沼市の守門
3位は新潟県魚沼市の守門 (すもん) です。
豪雪で知られる魚沼地方は、
日本海側からの湿気を含んだ空気が
谷川岳などの脊梁山脈に当たり、
毎年ドカ雪をもたらします。
人里での積雪の世界記録
寺野27尺
滋賀県伊吹山山頂(伊吹山観測所)での
積雪11m82cmは
山岳地での世界最積雪深記録ですが、
測候所のある人里での世界記録は、
新潟県中頸城郡寺野村
(現在の新潟県上越市板倉区寺野) の
高田測候所(平成19(2007)年廃止)で、
昭和2(1927)年2月13日に観測された
27尺=8m18cmです。
新潟県気象報告では「寺野27尺」という
報告が残されています。
高田(上越市)は、
新潟県内でも有数の豪雪地帯です。
これは新潟県沖を流れる対馬海流が
冬でも海水温は10度程あることから、
上空の寒気との温度差で、
対馬海流からは、温泉の湯気のように
たくさんの水蒸気が湧き上がり、
脊梁山脈 (せきりょうさんみゃく) 、
新潟県では谷川岳などにぶつかって
大雪となるのです。
新潟県上越市では、
寛文5年12月27日(1666年2月1日)には
1丈4尺(402cm)の大雪が積り、
そこに推定マグニチュード6.4の
「越後高田地震」が発生。
城下町は雪に埋もれてしまい、
「この下に高田あり」の高札が立てられた
ほどだったと伝えられています。
「寺野27尺」はその記録よりも
更に5m近く深いのです。
「寺野27尺」を記録した上越市板倉区にある
「久々野柄山」(くぐのからやま) 集落には、
電信柱風の「積雪世界一の標柱」も
立てられています。
昭和2年の日本の気候
ところで昭和2(1927)年の日本の気候は、
2月14日には滋賀県伊吹山で11m82cmという
世界最高積雪記録を観測した他、
その前日2月13日には
新潟県上越市板倉区寺野で
人里での積雪の世界記録
27尺 (8m18cm) を観測するなど、
冬は記録的な豪雪となった訳ですが、
実は夏は猛暑に見舞われていました。
7月22日には愛媛県宇和島市で40.2℃を記録し、
日本で初めて気温が40度を超えました。
東京でも、7月23日に最高気温35.6℃、
湿度52%の蒸し暑い日を観測しており、
当時は「10年に一度」レベルの厳しい暑さが
記録されています。
昭和2(1927)年は、冬の厳しい寒さ・雪と、
夏の記録的な熱波が共存した、
極端な気象の年だったのです。
1日の降雪量の世界記録
ところで1日の降雪量の世界記録は
昭和21(1946)年1月17日に
新潟県妙高市・旧関山駅で観測された
210cmです。
シベリアからの冷たい空気と日本海の暖流が
妙高連峰にぶつかり、分厚い雪雲が形成され、
大雪が降ったものです。
今でも妙高市は
一晩で1m以上雪が降ることも少なくないため、
スキー場が多数存在しています。
