
毎年1月9日~11日までの3日間、関西を中心に、
商売繁盛祈願行事の
「十日戎」(とおかえびす) が開催されます。
関西地域では「えびす様」を親しみを込めて
「えべっさん」と呼んで、
「十日戎」(とおかえびす) のことも
「えべっさんの日」として
1年の商売繁盛や家内安全、漁業豊漁などを
祈願して、多くの参拝客で賑わいます。
- えびす様
- 十日戎(とおかえびす)
- 縁起物
- 「十日戎」が行われる主な神社
- 西宮神社の「十日戎」
- 京都ゑびす神社「十日ゑびす大祭」
- 大阪今宮戎神社「今宮十日戎」
- 堀川夷神社「十日戎 宝の市神事」
- 住吉大社「市戎大国社例祭」
- 堺戎神社「戎祭」
- 大阪天満宮「天満天神えびす祭」
- 野田恵美須神社「宝の市大祭」
- 布施戎神社「十日戎」
- 枚方「片埜神社」「えびす祭」
- 茨木神社「茨木十日戎」
- 貝塚市・脇浜戎大社「十日えびす」
- 池田市・呉服神社「池田えびす祭」
- 水門吹上神社「天神戎祭」
- 和歌山県橋本市・慶賀野蛭子神社「十日戎」
- 春日大社境内「佐良気神社」「十日えびす」
- 滋賀県・豊国神社「長浜十日戎」
- 岡山・吉備津神社「十日えびす」
- 徳島・事代主神社「えびす祭」
- 福岡・十日恵比寿神社十日恵比寿「正月大祭」
えびす様
「えびす様」は日本の神様で、
七福神の中では唯一の日本古来の福の神です。
古くから「漁業の神」でもあり、
「商売の神」ともされていますが、
他にも五穀豊穣・開運招福・学業成就などの
御利益があると言われています。
彫刻や図像などでは左の脇に鯛を抱え、
右手に釣竿を持つ姿が一般的です。
「えびす神社」は全国に点在し、
「蛭子」あるいは「事代主神」などを
御祭神とする神社で、
恵比須(恵比寿・恵美須・恵美寿)、
蛭子、夷、戎、胡、蝦夷などと
異なる意味を持つ漢字で表現され、
それぞれが日本の民間信仰における
「えびす」の多様な側面を示しています。
・恵比寿(えびす)
七福神の一柱で、漁業や商業の神様。
釣竿と鯛を持つ姿で描かれることが多い。
・蛭子(えびす)
日本神話に登場する神。
イザナギノミコトとイザナミノミコトの
間に生まれた最初の子供で、
後に「蛭子神」として祀られました。
・夷(えびす)
元々は「異国の人」や「野蛮な人」を
指す漢字ですが、海から漂着した人々や
漂着物を「えびす」と呼ぶようになり、
それが神様と結びついたとされています。
・戎(えびす)
戦(いくさ)や武器などを意味する漢字で
「夷」と同様に
異民族を指す言葉としても使われ、
「えびす」の語源の一つと考えられます。
・胡(えびす)
Chinaの北方・西方などの異民族を指した
漢字ですが、「えびす」の語源の一つとも
されます。
「蛭子説」の代表が
兵庫県西宮市の西宮神社で、
「事代主神説」の代表格は、
福岡市の十日恵比須神社です。
そして親しみを込めて、
「えびっさん」「えべっさん」「おべっさん」
などとも呼ばれています。
十日戎(とおかえびす)
「十日戎」とは
毎年正月10日、主に関西圏を中心とした
恵比寿神社で行われる戎祭を
「十日戎」(とおかえびす) と言います。
別名「えべっさん」と呼ばれます。
毎年1月9日から3日間行われ、
9日が「宵戎」(よいえびす)、
10日が「本戎」(ほんえびす)、
11日が「残り戎」(のこりえびす) または
「残り福」(のこりふく) と呼ばれています。
「十日戎」の期間中には、
笹に縁起物を飾りつけた
「福笹」や「熊手」が授与され、
1年の商売繫盛を願う人で賑わいます。
「十日戎」の由来
十日戎の由来には諸説あります。
「御狩神事」(みかりしんじ)を
由来とする説
兵庫県西宮市にある「西宮神社」は、
えびす様を御祭神とする
「えびす神社」の総本社です。
「西宮神社」では、元々、年の初めに
その年の五穀豊穣や商売繁盛を占う
「御狩神事」(みかがりしんじ)という
神事が行われていましたが、それがいつしか
「十日戎」になったと考えられています。
「御狩神事」(みかりしんじ) とは、
平安時代から続く伝統的な狩猟神事で、
農作物を荒らす猪や鹿などの害獣を狩り、
その獲物を神前に供えて
五穀豊穣や安全を祈願する行事です。
恵比寿様が生まれた日に
あやかっているとする説
京都の「京都ゑびす神社」では、
恵比寿様が1月10日に生まれたという説に
あやかっていると言われています。
豊臣秀吉の御神像を隠して
祀ったのが始まりという説
滋賀県の「豊国神社」では、長浜町を築いた
豊臣秀吉を神として祀っていましたが、
豊臣氏滅亡後に取り壊されてしまいました。
そこで、長浜町の人々が隠して祀っていた
秀吉の「御神像」(ごしんぞう) を
「恵比寿様お祀りしている」として
「えびす宮」の裏側に隠して祀ったのが
「十日戎」の始まりと言われています。
御神像(ごしんぞう)
豊臣秀吉を神格化し、彫刻や絵で表したもの
豊臣秀吉を神格化し、彫刻や絵で表したもの
縁起物
福笹(ふくざさ)
「十日えびす」を代表する縁起物
「福笹」(ふくざさ)は
恵比寿様が持っている釣り竿を
見立てているとも言われ、
商売繁盛のご利益があると言われています。
実は「福笹」に使われているのは、
「笹」ではなくて「竹の枝」です。
古くから、繫殖力が強く、
冬の寒さにも負けず青々とした葉をつける
「竹」には神霊が宿ると信じられてきました。
神様の力で新たな生命が生まれ、甦り、
発展していくことを象徴している縁起物です。
更にこの「福笹」(ふくざさ) には、
「吉兆」と呼ばれる
「野の幸」 「山の幸」 「海の幸」の象徴を模した
縁起物「小宝 (子宝)」を付けてます。
そのため「福笹」は「𠮷兆笹」とも
呼ばれています。
・吉兆(きっちょう・きっきょう)
福笹に結びつけられる縁起物飾り一式を
指す言葉。
・小宝(こだから)
鯛、小判、米俵、打ち出の小槌、大福帳、
あわびのし、 銭叺 (ぜにかます)、銭袋、
末広、小判、丁銀、烏帽子など、
海の幸や山の幸を模した、
小さい縁起物の飾り自体を指します
かつては参拝客が笹を持参して、
神社で「吉兆」をつけてもらっていた
そうです。
「十日戎」のスローガンは、
「商売繁盛で笹もってこい」。
「笹を持ってきたら商売繁盛させてやるよ」
という意味と
「商売繁盛したら来年も笹を持ってきてね」
という意味があるそうです。
えびす様は長寿で、
耳が少し遠いと言われているので、
このセリフは大声で叫ばなくてはならない
そうです。

熊手(くまで)
「十日戎」では、「福笹」の他にも、
「熊手」が縁起物として売られています。
熊手は、農作業や掃除の時に
物を掃き集める道具であることから
「福や金運を掃き込む」「福や金運を集める」
として招福の縁起物となっています。
福箕(ふくみ)
「福箕」(ふくみ)は「福を箕ですくい取る」として、「熊手」と並ぶ縁起物ひとつとなっています。
「熊手」「福箕」を一年おきに買うと良いとも
言われています。
紅白の棒あめ「のし飴」(和歌山)
和歌山では、「えべっさん」の日だけ、
「のし飴」と呼ばれる縁起物の飴が
売られています。
千歳飴のように細長い紅白の飴で、
平仮名の「のし」の形にねじられています。
名前の由来は、紀州言葉で語尾に付ける
「のし」から来ているそうです。
「紅白の色」は新春を寿ぎ、
「ねじる」のは延命・長寿の意味が込められて
いるそうです。
明治時代に創案したのが最初で、
各地に広まりましたが、
のし飴を作る店は年々減少しており、
現在では製造のほとんどを
「うみの製菓」が担っています。
「十日戎」が行われる
主な神社
西宮神社の
「十日戎」
1月9~11日、兵庫県西宮市の「西宮神社」で
行われる阪神間最大の「十日戎」です。
9日深更の「忌籠」(いごもり) が明ける
10日午前6時に表大門「赤門」が開かれると、
参拝者が本殿へ「走り参り」をし、
先着3番までが「福男」に選ばれる
「開門神事福男選び」が有名です。
招福大鮪の奉納や有馬温泉献湯式が行われ、
期間中、境内には福笹を売る店が並びます。
京都ゑびす神社
「十日ゑびす大祭」
京都市東山区にある「京都ゑびす神社」では、
1月8日~12日、
「十日ゑびす大祭」が行われます。
「日本三大ゑびす祭」のひとつで、
縁起物を求める人で大いに賑わいます。
招福まぐろの奉納や湯立神楽が行われる他、
祇園町や宮川町舞妓さんの奉仕による
千両箱や福俵などの縁起物が付いた
吉兆笹(福笹)が授与されます。
大阪今宮戎神社
「今宮十日戎」
「大阪七福神」の恵比寿を祀る
「今宮のえべっさん」「ミナミのえべっさん」
「今宮戎神社」では、1月9日~11日、
大阪の市民にとって新春最大の年中行事の
「今宮十日戎」が行われ、
毎年約100万人もの参拝者が訪れます。
10日の「本戎」には、
毎年様々な有名人が乗って注目を集める
「宝恵籠行列」(ほえかごぎょうれつ)が行われます。
堀川夷神社
「十日戎 宝の市神事」
商売繁昌の神「蛭子大神」を祀り、
「堀川のえべっさん」「キタのえべっさん」と
慕われてきた「堀川夷神社」では、1月9~11日
「十日戎 宝の市神事」が行われます。
十日戎の3日間は門を閉じずに、
福笹の授与が夜を徹して行われます。
数百の露店が曽根崎まで続くほど盛況で、
商売繁盛を願う数十万の人々で賑わいます。
住吉大社
「市戎大国社例祭」
大阪住吉区の住吉大社では、1月9日と10日に
地元大阪では「すみよっさん」と呼ばれる
末社の「市戎大国社」で、
十日戎「市戎大国社例祭」が行われます。
大阪最古のえびす祭りと言われています。
堺戎神社
「戎祭」
南大阪随一の「えべっさん」として知られる
「堺戎神社」の「戎祭」には、
毎年数十万人の参拝客が訪れ、
福娘が授与する福笹や熊手など
縁起物を求める人々で溢れかえります。
150kgのもち米で搗いた「一石餅」の奉納も
有名です。
大阪天満宮
「天満天神えびす祭」
地元では穴場として知られる「えべっさん」。
一度は途絶えていましたが、平成18(2006)年の
「天満天神繁昌亭」の開館をきっかけに、
福笹の授与などが行われる
現在の「天満天神えびす祭」が復活しました。
「大阪天満宮」の福娘は「招福娘」と呼ばれ、
前年の11月頃に大学生・大学院生の中から
一般公募で選ばれます。
野田恵美須神社
「宝の市大祭」
「新年の幸運」「商売繁盛」を祈願する
多くの参拝客が訪れ、
福島区の花「藤の花」をあしらった簪をつけた
福娘から「福笹」などの縁起物を授与してもらいます。
境内には太鼓と鯛鉾 (たいほこ) が展示されます。
布施戎神社
「十日戎」
「河内の布施のえべっさん」こと
「布施戎神社」の境内には、
日本で一番大きいとも言われ、
多くの人に撫でられて膝や腰の色が薄くなった
鋳造のえびす像がお出迎え。
「十日戎」は御利益を求める参拝客で
大変賑わいます。
枚方「片埜神社」
「えびす祭」
豊臣秀吉が大阪城を築城する際に
鬼門鎮護の社として定めた由緒ある
「片埜神社」の「えびす祭」では、
福笹などの縁起物を授かると、
福娘がしゃりんしゃりんと鈴を鳴らし、
福を撒いてくれます。
福娘による「えびす舞」も見所の一つです。
茨木神社
「茨木十日戎」
事代主命 (恵比寿様)、大国主命を御祭神とする
福笹や吉兆の販売は勿論、
1日2〜3回行われる餅まきも楽しみの一つです。
10日の「本夷」には、福娘が乗った
「宝恵籠」が市内各所を巡行します。
貝塚市・脇浜戎大社
「十日えびす」
泉州最古のえびす様で、泉州地方の人々から
「脇浜のえべっさん」と呼ばれ親しまれている
「脇浜戎大社」の「十日えびす」では、
「無病息災」を祈願し炭火の上を歩く
「柴灯大護摩供」(さいとうおおごまく) が
行われることでも知られています。
池田市・呉服神社
「池田えびす祭」
「呉服」(ごふく)の語源となった
「呉服神社」(くれはじんじゃ) の
「池田えびす祭」では、
金の烏帽子を被った福娘が
「福笹」「福箕」「福さらえ」などの
縁起物を授与し「商売繁盛」を祈願します。
水門吹上神社
「天神戎祭」
えびす様と大黒様が祀られている
「水門吹上神社」は、
紀州における「十日戎発祥の地」と言われ、
毎年たくさんの参拝客が笹と吉兆を求めて
訪れます。
また、「のし飴」発祥の神社としても有名で、
この「のし飴」は他では見られない
紀州特有のものです。
和歌山県橋本市・慶賀野蛭子神社
「十日戎」
高野街道の近くにあり、
古くから村の方に産土神として崇敬されている
「慶賀野蛭子神社」(けいがのえびすじんじゃ) の
1月の宵えびす、本えびすの両日には、
福笹、・縁起熊手を求める参拝者で賑わい、
婦人会の「慶賀野お焼き」は
この神社の名物です。
春日大社境内「佐良気神社」
「十日えびす」
蛭子神 (ひるこのかみ) が祀られている、
春日大社末社「佐良気神社」(さらけじんじゃ)では、毎年1月10日、「十日えびす」が行われます。
「吉兆笹」(きっちょうざさ) が用意され、
福娘が熊手や俵といった縁起物を授与します。
滋賀県・豊国神社
「長浜十日戎」
豊臣秀吉逝去後逸早く建立された
滋賀県長浜市にある「豊国神社」は、
江戸時代、徳川幕府の迫害を受け、
前立てに商売繁盛の神「恵比寿」を祀って
難を逃れたことから、
恵比須神の祭礼「十日戎」が
最も重要で盛大な行事となりました。
岡山・吉備津神社
「十日えびす」
岡山市の「吉備津神社」には、
福をかき集めると言われる「熊手」や、
福をすくうと言われる「福箕」が売られ、
備中神楽が奉納されます。
徳島・事代主神社
「えびす祭」
海の神・商売繁盛の神として
漁民や海産物の市場や商店主らに信仰される
徳島市通町にある「おいべっさん」こと
「事代主神社」では、
1月9~11日、「えびす祭」が行われ、
県下各地から福を求めてくる人達で賑わいます。
四国一の恵比寿祭です。
福岡・十日恵比寿神社
十日恵比寿「正月大祭」
福岡市の「十日恵比須神社」では
毎年1月8日から1月11日まで「正月大祭」が
開催されます。
8日「初えびす」、9日「宵えびす」、
10日「正大祭」、11日「残りえびす」と呼ばれ、
「福引き」や「芸妓かち詣り」などが有名です。
「福引き」は「十日恵比須神社」の目玉で、
1回2000円で福引に参加すると、
福笹(笹に御札を括りつけたもの)と、
張子の福起こし、福寄せ、干支、金蔵、
そろばんなどの「縁起物」がもらえるそうです。