以下の書籍を参考にして、「解決」を諦めて「観察」に切り替える、持続可能な働き方を考えます。
多くの人と関わりながら進める仕事をしていると、ミスを減らすためのルールや、業務をスムーズにするための論理的な提案が、なぜか「冷たい」「融通が利かない」と拒絶されてしまうことがあります。私は、こうした状況になるたびに「なぜ分かってくれないのか」と悩み、相手を説得しようと傾向が強くなっていました。ただ、視点を変えて「これは、個人の性格の問題ではなく、『異なるOS同士の通信エラー』なのではないか?」と考えてみるようにしました。
今回は、いろんな職場で発生する「分かり合えなさ」の正体を構造的に分析し、悩まずに働き続けられることを目的に考察したいと思います。

職場には「2つの言語」が存在する
職場で感じてしまう摩擦の原因は、使っている「言語(プロトコル)」の違いにあるのではないかと考えられます。書籍『「具体⇔抽象」トレーニング』の視点を借りると、職場には大きく分けて2つのタイプが存在するということです。
「具体(ルール)」で話す人
「AならばBである」という、明確な定義やルールを重視するタイプです。仕事において「正しさ」や「効率」を優先し、曖昧な指示や矛盾を嫌います。トラブルが起きたときは「仕組み」で解決しようとします。
「抽象(空気)」で話す人
「その場の状況」や「みんなの納得感」を重視するタイプです。仕事において「関係性」や「調和」を優先し、厳格すぎるルールを「窮屈だ」と感じます。トラブルが起きたときは「話し合い」や「お互い様」で解決しようとします。
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どちらが優れているということではないのですが、この2つのタイプが同じ職場で働くと、必然的にバグ(摩擦)が発生します。あるひとが「この手順は非効率です」と具体で提案しても、もうひとりの話し相手は「まあ、今まで通りでいいじゃない」と抽象で返してくる。これは、FMラジオの電波をAMラジオで受信しようとしているようなもので、ノイズが走るのは物理的に仕方のないことだと考えます。
良心的な人が陥る「負荷転嫁」の罠
システム思考では「負荷転嫁(Shifting the Burden)」という概念があります。これは、根本的な解決を先送りにして、安易な対症療法に依存してしまう構造のことです。職場で誰かがミスをしたり、曖昧な指示で現場が混乱したりした時、責任感が強く、真面目な人ほど、こう考えてしまいます。
「私がフォローしておこう」
「私がマニュアルを作って整えよう」
これはとても尊い行動ですが、システム全体で見ると、逆効果を生み出すことがあります。そのひとが献身的に穴埋めをすることで、組織は「問題は起きていない(誰かがなんとかしてくれる)」と誤認し、いつまでたっても根本的な体質が変わらないままになってしまいます。良かれと思ってやっていた「尻拭い」が、実は組織が自ら変わる機会を奪い、献身的におこなったひとの首を絞めるだけの結果になってしまうことがあります。献身的・真面目に仕事をおこなう人は、どこかで、この「自己犠牲のループ」から降りる必要があると考えます。