スーパーのコメ平均価格 5キロ4194円 2週ぶり値上がり
スーパーのコメ平均価格 5キロ4194円 2週ぶり値上がり | NHKニュース | コメ、農業、小売業
2026年2月6日午後5時37分
(2026年2月6日午後6時09分更新)
全国のスーパーで2月1日までの1週間に販売されたコメの平均価格は、5キロ当たり税込みで4194円と前の週より6円値上がりしました。値上がりは2週ぶりです。
農林水産省は、全国のスーパーおよそ1000店でのコメの販売価格をまとめて毎週、発表しています。それによりますと、1月26日から2月1日までの1週間の平均価格は、5キロ当たり税込みで4194円と、前の週より6円値上がりしました。値上がりは2週ぶりです。
価格をみると、産地と品種が単一の銘柄米の平均価格は前の週より16円安い5キロ当たり税込み4358円、ブレンド米などは20円高い3788円でした。また、販売された割合は銘柄米が71%、ブレンド米などが29%で、割高な銘柄米の割合が前の週より2ポイント上がりました。コメの取り引きに携わる関係者の間では、在庫水準の高まりなどを理由にコメの価格は下落するとの見方が強まっていますが、依然として高止まりが続いています。

どうして、米の在庫がふえても、米の値段がさがらないのでしょうか?食費に直結する問題なので分析してみました。
この因果ループ図 全体が示しているのは、「市場の論理」対「政治・構造の論理」の戦いです。通常、経済学の教科書通りであれば、在庫が増えれば価格は下がります(図の右側にある「B1: 期待される調整」のループ)。しかし、日本のコメ市場においてはこのメカニズムが正常に機能していないと考えられます。なぜなら、その背後に「これ以上価格を下げさせない」という強力な3つのブレーキ(抵抗勢力)が存在すると考えられるからです。
物理的なブレーキ: 農地分散による高コスト構造
政治的なブレーキ: 選挙とJA(農協)の集票システム
流通のブレーキ: 赤字回避と構成比の罠
これらが複雑に絡み合い、価格を「高止まり」という一点に釘付けにしています。
【構造的な生産コスト】物理的制約のループ
(図の下部:黒と青の矢印ライン)

コメの値段が下がらない最大の「物理的」な理由は、生産コスト(原価)が極めて高いことにあります。そして、その高コストは、農家の努力不足ではなく、日本の土地利用の構造そのものに起因しています。
① 農地の分散・非効率性
日本の農地は、歴史的経緯により細切れになっています。パッチワークのように小さな田んぼが点在しており、大規模な農業法人であっても、借り受けた農地が一箇所にまとまっていません。農業の現場では以下のような非効率が発生しています。
移動のロス
コンバインやトラクターなどの大型機械を、ある田んぼから別の田んぼへ移動させるために、一度公道に出て、また狭い農道に入るという作業を繰り返します。作業時間よりも移動時間の方が長くなることさえあります。
管理のロス
水管理のために、車で何キロも離れた田んぼを何十箇所も見回る必要があります。
② 構造的な生産コストの高止まり
この「移動」と「手間」は、そのまま人件費と燃料費に跳ね返ります。 どんなに高性能な機械を導入しても、農地が分散している限り、そのスペックを活かしきれません。結果として、「お米1kgを作るためにかかるコスト」が世界水準と比べて異常に高くなります。
これが「価格の下限(フロア)」を形成します。生産コストが例えば1万2000円かかっているなら、市場価格がそれを割ることは(赤字になるため)物理的に不可能です。この「構造的な高コスト」が、価格下落圧力に対する最初の、そして最強の防波堤となっています。
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【政治と既得権益の維持システム】岩盤規制のループ
(図の左側:R3の自己強化ループ)

なぜ、非効率な農地の分散が放置されているのでしょうか? ここは「政治とカネと票」の論理が介入します。
①産業資本主義の古いOS
日本の政治、特に自民党の農林族議員の根本にあるのは、「供給側(生産者)を保護する」という古い産業資本主義のOSです。消費者が安く買えることよりも、生産者が高く売れる(守られる)ことを優先する政策基盤があります。
②小規模農家と「数の論理」
政治家にとって最も重要なのは「選挙に勝つこと」です。ここで冷徹な計算が働きます。
大規模農家(効率的): 数が少ない(票にならない)。
小規模農家(非効率): 数が圧倒的に多い(票になる)。
農地を集約して大規模化・効率化を進めると、農家の「数」は減ります。これは政治家にとって「票が減る」ことを意味します。したがって、「非効率な小規模農家がたくさんいてくれた方が、選挙には有利」というインセンティブが働きます。
③JA(農協)のビジネスモデル
この構造を強固にしているのがJAです。JAは、農家に対して肥料や農薬、機械を販売し、金融(JAバンク)や保険(JA共済)で収益を上げています。農家が大規模化し、経営能力を持つと、JAを通さずにメーカーから直接肥料を安く買ったり、銀行と直接取引したりするようになります(JA離れ)。
逆に、小規模で経営能力の低い農家ほど、JAに依存してくれます。つまり、JAにとっても「農家は小規模で、自立していない方が儲かる」と考えられます。JAは小規模農家を束ねて巨大な「集票マシーン」となり、政治家に票と献金を提供します。その見返りとして、政治家は「減反政策(供給を絞って価格を維持する)」や「企業参入規制(農地の集約を阻む)」を維持し、小規模農家を保護します。
この「R3: 政治と既得権益の維持システム」が回り続ける限り、農地の集約は進まず、生産コストは下がらず、結果としてコメ価格は高止まりし続けます。
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【流通の抵抗】会計と心理のループ
(図の右下:B2のバランスループ)

生産現場や政治の問題に加え、流通(卸・小売)の現場でも価格を下げられない事情があります。
① 過去の高い仕入れコスト
スーパーや卸売業者は、数ヶ月前に高い価格でコメを仕入れています。もし現在、在庫が増えたからといって急激に値下げを行うと、「売値 < 仕入値」となり、売れば売るほど赤字になります。企業として、この「逆ザヤ」は絶対に避けなければなりません。
② 在庫評価損の回避
また、会計上の問題もあります。倉庫にある在庫の価値は、市場価格(時価)で評価されます。市場価格が暴落すると、持っている在庫の価値も暴落し、決算書上で巨額の「評価損」を計上しなければなりません。これを避けるために、流通業者は「値下げを先送りする(Delay)」という行動をとります。「今は高止まりしているが、また上がるかもしれない」という期待を持ち、安値で手放すことを拒みます(売り惜しみ)。この「B2: 流通の抵抗」ループが働くことで、在庫が増えてもすぐには店頭価格が下がらないという「粘着性」が生まれます。
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【構成比の罠】平均価格マジックのループ
(図の右上:R1の自己強化ループ)

はじめにとりあげた、NHKのニュース記事でも指摘されていた統計上のマジック、「構成比の罠」です。
① 選択肢の限定と高級志向
市場に「安価なブレンド米」と「高価な銘柄米」があるとします。流通業者が利益を確保したい場合、または安価な米の供給が細っている場合、店頭には利益率の高い「銘柄米」が多く並ぶことになります。消費者は、他に選択肢がないため、あるいは「高い方が安心」という心理から、高くても銘柄米を購入します。
② 平均価格の上昇
すると、統計データ上は…
・安価な米(3000円)が売れず、高価な米(4500円)ばかりが売れる。
・結果として、個々の商品の値札が変わっていなくても、「販売されたコメの平均価格」は上昇します。
記事にある「銘柄米の販売割合が71%に上昇した」というのが、これに該当します。消費者が高い米を買うよう誘導される(または選ばざるを得ない)構造が強化され、「R1: 構成比の罠」として平均価格を高止まりさせています。

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この因果ループ図から読み取れるのは、「コメ価格の高止まりは、誰かの悪意ではなく、システムの合理的な帰結である」ということです。
・農家は、分散した農地でコストがかかるため、安く売れない。
(生き残るための合理性)
・政治家は、票を守るために小規模農家を優遇し、集約化を阻む。
(選挙に勝つための合理性)
・JAは、組織の収益と権力を維持するために、現状の構造を固定化する。
(組織防衛の合理性)
・流通業者は、赤字と評価損を避けるために、値下げに抵抗する。
(経営の合理性)
それぞれのプレイヤーが、それぞれの立場で「合理的」に行動した結果、システム全体としては「非効率な生産構造が温存され、価格が高止まりし、消費者が負担を強いられる」という状態(合成の誤謬*1)に陥っています。この図から導き出される解決策は、単に「在庫を増やせばいい」という単純なものではなく「R3」の政治・既得権益のループを断ち切り、農地バンク*2などを機能させて物理的な農地集約を進め、生産コストの構造そのものを変革しない限り、一時的な変動はあっても、長期的には「日本のコメは高いまま」という状況は変わらない…ということがわかります。
結論
米の価格がさがることを期待せずに、別の食材を主食とするのが合理的な判断だと考えます。例えば、じゃがいも・さつまいも・オートミールなどなど…
小麦を原料としたパンは、為替リスクや、エネルギーコストが高く、国際情勢の影響をもろに受ける傾向が強いために、主食としては適さないと考えます。