以下の内容はhttps://www.jigowatt121.com/entry/2026/02/14/170841より取得しました。


物語への信頼が増す「後回しのサイン」について

FOLLOW ME 

Twitterなどで度々話題にする場面があるので、備忘録として書いておきます。

 

物語における、「もし構成として後で説明するつもりなら『後で説明する』という説明をしてほしい」という話。私はこれを「後回しのサイン」と呼んでいまして。最初に断っておきたいのは、このサインが無いから駄目!という主張ではありません。ただ、これがある方が物語への信頼が増すなぁ、と感じてます。

 

最新の具体的な例示として、『仮面ライダーゼッツ』の話題。

 

この物語には、「変身」と発声しゼッツになる主人公と、「擬装」と発声しノクスナイトになるノクスという登場人物がおります。それぞれ、使用するベルトのギミックは同じなのに、あえて違う見せ方をしている。また、同シリーズには以前よりいわゆる「疑似ライダー」という概念(仮面ライダーらしいビジュアルをしているが仮面ライダーではない存在を指す)があり、「疑似ライダーから仮面ライダーへの昇格」がドラマの核になることも少なくない。

 

ご多分に漏れずこのノクスというキャラクター、途中からノクスドライバーという新しいベルトを持ち出し、「変身」を発声して仮面ライダーノクスになるのです。疑似ライダーから仮面ライダーへ。シリーズの文脈を踏まえると盛り上がる内容ですが、なんと『仮面ライダーゼッツ』という番組、そこには踏み込まないのです。「変身」と「擬装」の何が違うのか、仮面ライダーとそうでない者の差は何なのか、設定面・ドラマ面ともにそれらを扱わない。

 

私としては、「なんでそんなA5ランク牛肉を常温で放置するような真似を……」と、悔しさでいっぱいです。とことん脂が乗っていそうな箇所なのに、物語も、キャラクターも、そこをスルーしちゃうだなんて。むしろ『仮面ライダー』的にはそこを扱うのが物語のサビですらありません!?

 

引用:https://x.com/zeztz7toei/status/1992391410872733879

 

……と、いうような内容をTwitterに投稿すると、『ゼッツ』の例示に限らず、このような引用やリプをいただくのです。

 

「後で説明されるのでは?」

 

いや、違うんですよ。違くないけど違うんですよ。もちろん感覚や嗜好の違いという前提があるのは承知ですが。私が求めているのは、説明そのものよりも、「後で説明するから安心してくれ」という作り手からの目配せなのです。

 

今回の例示であれば、例えばノクスが「変身」し仮面ライダーになった際に主人公や周囲の登場人物が「 “変身” !?」「そんな!ゼッツと同じ!?」と驚いてみせるとか、対立関係にある(コードナンバーファイブやシックスあたりの)キャラクターが「ノクスの野郎が『変身』だなんて、おこがましい!」と腹を立てたりとか。

 

つまるところ、現状だとこの「変身と擬装の違いに触れない」というステータスが、「後から説明される設定や謎」なのか「物語上の何かしらのノイズや瑕疵」なのか判断できない、ということなのです。これを、(作り手が)仮に前者のつもりならそうであると伝わるサインを発してくれると嬉しいな、という。ワガママと言われればそれまでの、そういう願いの話であります。

 

この「後回しのサイン」をあえて定義してしまうなら…… 「後に説明される予定の謎や設定を」「物語内の人物の反応などを通して」「『これは未解決の問題である』と明示する行為」、となるでしょうか。

 

決して、「謎を早く開示しろ」という話ではありません。謎や設定には「鮮度」がありますから、新鮮なうちに次々と明かしてポンポン進めたり、あえてじっくり熟成・発酵させたり、その技法は様々です。ただ、熟成させるのであれば冷蔵庫のその肉に「熟成中!」と付箋でも貼っておいてくれた方が嬉しくて、それがないとただ放置され腐っている肉なのか判別ができないのです。

 

また、この私の言う「後回しのサイン」は「伏線」とは異なります。「伏線」の厳密な定義は、一見なにげない台詞や描写が後の展開で重要な意味を持ち、受け手の驚きや納得を喚起するもの。なので、あえて「どうして!?」などと驚かせて謎を謎としてラベリングすることとは違う、といいますか。昨今なんでもかんでも「伏線」と言われすぎておりその鬱憤は果てしないのですが、語り始めると長くなるので割愛しますね。(「後回しのサイン」は、強いて言えば「ランプシェーディング」が近いかもしれません。)

 

とはいえ。最初に書いたように、この「後回しのサイン」が無いから駄目!とか、そんな話ではないのですよ。

 

インターネットではどうしても、やれ整合性、やれ伏線、やれ設定の穴と言われがちですが、一番大切なのは「受け手個々人の作品への信頼度」だと感じていまして。仮に設定面がズタボロで矛盾だらけでも、キャラクター描写にブレが無いから好き。登場人物の言動が支離滅裂だけど、通底しているテーマが非常に強固で共感できるから好き。そんなことは往々にしてあり得るわけです。それは、ひとえに自分から物語への「信頼」に尽きます。では、どうやってその「信頼」を物語側は積み上げるのか。

 

私の言うところの「物語のサイン」、それをいくらか発してくれると「信頼」が醸成されると思うのですが、いかがでしょうか。「嗚呼なるほど、これは待っておけばいいんだな」と、そう思って待ちたいのです。

 

 

  • BANDAI

  • BANDAI

  • BANDAI

 




以上の内容はhttps://www.jigowatt121.com/entry/2026/02/14/170841より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14