伝統的な日本の料理といえば、米を中心とする穀物、野菜、あるいは魚の料理がイメージされ、肉食文化は明治時代の文明開化ととともに始まったと思われる方も多いと思いますが、日本では古来から狩猟が盛んで、肉食はある意味“伝統的な食文化”でもありました。

- 仏教伝来により
- 日本古来の鴨肉、現在は貴重な「野生のマガモ肉」
- 鴨南蛮はそば屋の定番
- なんとアヒルはカモだった!? 「アヒルの肉」
- 現代のそば屋や精肉店で見るのは「アイガモ肉」
- 鴨肉の特徴は?
- 真鴨・合鴨・アヒルの特徴と栄養
仏教伝来により

肉食が禁忌されるようにはなりましたが、狩猟で得たシカ・イノシシ・ウサギ・タヌ・キジ・クマ・カモなどが貴重な栄養源として食べられてきました。(実際には牛などの家畜も食べられていたようですね)
最近ジビエ料理が注目
それは有害鳥獣対策・地域振興だけでなく、日本独自の食文化(肉食文化)の見直しでもあるかもしれません。
「鴨が葱を背負って来る」ということわざがあるぐらいですから、昔から身近な食材で、奈良時代の風土記には“鴨汁”の記述があり、江戸時代には鴨鍋・鴨すきなどが冬の定番メニューだったようです。
鴨肉は鶏肉に比べて味が濃厚
ビタミンA・ビタミンB群・ナイアシン・リノール酸・鉄などが含まれています。
栄養価が高いわりに低カロリーなヘルシー食材で、疲労回復効果が高く、貧血・生活習慣病の予防に対する効果も期待できます。
日本古来の鴨肉、現在は貴重な「野生のマガモ肉」

「カモ」と言われて、青い首の「マガモ」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。鮮やかな青緑色の頭をしているのは「マガモ」のオスで、カモのカップルはつがいで行動することで知られています。
「マガモ」は
いつでもどこでも見られるわけではありません。シベリアなどで繁殖したものが、冬になって越冬のために日本に飛来する「冬の渡り鳥」だからです(本州の山地や北海道の一部では、繁殖して一年中生息しているという説もあります)。
鴨南蛮はそば屋の定番

野生のマガモ肉は、明治維新以前から日本で食べられてきたと言われています。江戸時代、江戸の町でそば屋が普及しはじめ、メニューが多様化する中で生まれたのが「鴨南蛮」です。
その頃はまだ鶏肉が出回っていなかったため、身近な存在だった鴨肉が使われたようです。
ネギと相性が良いことから生まれたことわざ「カモがネギを背負って(しょって)くる」も有名ですね。
代表的な

狩猟鳥獣でもある「マガモ」ですが、現在、一般には野生のマガモ肉はほとんど流通していません。新潟県の一部の地域で、米で餌付けをして無双網(むそうあみ)という網でマガモを捕獲する猟を行っている猟師もいます。
東京の高級フランス料理店などで取り扱いがあり、食通をうならせているそうです。肉質はしっかりした赤身で弾力があり、かむほどに野趣豊かな味わいが楽しめるのだとか。
なんとアヒルはカモだった!? 「アヒルの肉」

「アヒル」は「マガモ」を食肉用に改良して家畜化した家禽(かきん)で、漢字で「家鴨」と書きます。つまり「アヒル」もカモの一種なのです。
その歴史は3000年以上にも及び、中国やヨーロッパ各地に在来種があります。世界各国で、古くから「アヒルの肉」は食べられてきました。
アヒルの肉
日本人になじみ深いのは「北京ダック」ですよね。丸焼きにしたアヒルの皮をそぎ切って、ネギやキュウリと一緒に薄い皮に包んで食べる料理です。高級中華の代表格でもあります。
アヒルの卵
加工した「ピータン」も、中華料理店の定番です。黒いゼリーのような見た目と独特の香りが特徴的で、日本人にとっては好き嫌いの分かれる食材ではないでしょうか。中国や台湾では、スーパーで普通に売られているそうです。
現代のそば屋や精肉店で見るのは「アイガモ肉」

田んぼの除草を行う「アイガモ農法」でお馴染みの「アイガモ」は、「マガモ」と「アヒル」を交配させたトリです。英語では「マガモ」も「アヒル」も「アイガモ」も、すべてduck(ダック)。
生物学上は3つとも区別の定義がなく、特に「アヒル」と「アイガモ」の境界線はあいまいなのだそう。
現在の日本で一般的に流通している「アイガモ肉」のほとんどは、食肉用にイギリスで品種改良されたチェリバレー種と言う品種です。軟らかくてクセがなく、おいしい出汁が出るために「鴨鍋」などに使われます。そば屋や精肉店で提供される「アイガモ肉」も、チェリバレー種が大部分を占めていると言われます。
「アイガモ肉」として提供されているチェリバレー種
ちなみにこのチェリバレー種ですが、見た目は白くて「アヒル」か「アイガモ」かはっきりと分かりません。そもそも生物学上は区別がないので、お肉として流通する場合に「アイガモ肉」と呼んでいるのです。
鴨肉の特徴は?

ヘルシー食材!
鴨肉は脂が多く感じられますが、脂肪の融点が低いため消化されやすく、体内に蓄積されることはないと言われています。
鴨肉の脂肪には血液をサラサラにする不飽和脂肪酸が多く含まれているので、生活習慣病の予防に対する効果も期待できます。
疲労回復に最適!

鴨肉に含まれるビタミンB群は肉体疲労・倦怠感からストレスまで、さまざまな角度で疲労に効果的です。
女性にオススメ!
鴨肉には不足しがちな鉄分が豊富に含まれ、貧血の予防・改善効果が期待できます。鉄分はコラーゲンの生成にも重要な働きをするので、美容の面でもオススメ!
真鴨・合鴨・アヒルの特徴と栄養

鴨肉と呼ばれる「真鴨」「合鴨」「アヒル」のそれぞれの特徴や栄養をご紹介します。
真鴨とは
真鴨とは、野生の鴨のことです。狩猟により捕獲する必要があるため、国産の真鴨が流通することはあまりありません。フランスでは、狩猟によって捕獲した野生鳥獣の肉である「ジビエ」が親しまれており、真鴨も含まれています。
渡り鳥として越冬のため飛来する真鴨は、日本では冬の味覚として食べられていた歴史があります。
味の特徴と料理
長い距離を飛来する野生の鴨の肉は、身が締まった脂の少ない赤味で、鴨独特の素朴な味わいと血の味が強いのが特徴です。代表的な料理は、日本で冬の味覚とされてきた「鴨鍋」や「鴨のコンフィ」などがあります。
合鴨とは

合鴨は、野生の鴨である真鴨と「アヒル」を掛け合わせた交配雑種。食用として改良された家禽で、鴨肉として流通するものの多くはこの合鴨です。
味の特徴と料理
脂の乗ったこってりした味わいと、厚みのある肉が特徴の合鴨。クセも少なく柔らかいため人気の食材でもあります。比較的安価で手に入りやすく、鴨南蛮そばや鴨のローストなどが自宅でも楽しめます。
アヒルの特徴と栄養

アヒルの特徴について見ていきましょう。
アヒルとは
真鴨を家畜化し、家禽化したものがアヒルです。アヒルの歴史は約3000年前にさかのぼります。アヒルは大型で卵もよく産んだため、世界各地で品種改良され料理に活用されていました。日本に伝わったのは12世紀頃であるといわれています。
味の特徴と料理
柔らかい肉質が特徴ですが、脂が多く肉が薄いため北京ダックに使用されることが多いようです。
