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『優しい棘』(流星ひかる、久保書店)感想


流星 ひかる

久保書店 2008-06
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表題作の抒情性がすばらしい

好きだなあこの1冊。♀♀物3篇とヘテロ物9篇が収録された短編集なのですが、表題作の百合話「優しい棘」のラストの抒情性がとにかくすばらしいです。やみたいな切ない百合話がツボな人はとにかく買っとけ! と叫びたくなるほど。その他の収録作品も、可愛らしい絵柄で描き出される静かで優しい世界がとてもよかった。

短編「優しい棘」について

ひとことで言うと女のコから女のコへの片想いの話なんですが、最後のコマのモノローグがよくてよくてたまりません。ある意味ド直球な表現なんですけれども、それをリフレインで配置してみせる思い切りのよさに惚れました。またこのコマの主人公の表情がいいんだ。かすかにひそめた眉が彼女の苦悩を、優しく閉じられた瞼は片想い相手への愛を、そして口が省略されているのは沈黙を守る決意を表していると思います。ここにこのお話のテーマが全部凝縮されていると思うんですよ。

ちなみに恋の障害として安直に「女同士だからダメ」的なホモフォビアが持ち出されていないところもいいし、お話後半のエロスも美しくて素敵でした。欲を言うと、

どこが気持ちいいかちゃんとわかってるよ だって女同士だもん

というヘテロにありがちなドリーム臭のする台詞(p. 164)がなければもっとよかったかも。でも、そのほかの部分があまりによかったので、この際チャラですチャラ。あんなに見事なラストシーンを見せつけられては、もう萌え転がる以外の選択肢は存在しません。

その他の収録作について

「おんなともだち」と「君はクロール」の2編が百合話。前者はセーラー服女子同士のプラトニックラブ、後者はスクール水着でのキスとちょっとしたエロあり。どちらも主人公のドキドキ具合が微笑ましいキュートなお話です。

それ以外の男女話も、少しダークな「天使たちは森の中」からオチがコミカルな「病みの左手」まで、どれもまんべんなく面白かったです。全体に漂う優しい雰囲気と、どぎつくないリリカルなエロ具合がいいですね。あと、貧乳へのこだわり具合も。

まとめ

表題作「優しい棘」のラストがとにかく最高。切ない系の百合話がお好きな方はぜひ。その他の収録作も、♀♀物・男女物ともどれもよかったです。




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